次期JLreqの構成

木田さま、みなさま、
小林龍生です。

木田さんに頂戴した宿題の答案。
JLreq(次期ヴァージョンのスコープ)

現行版のJLreqは、まず、活字の大きさ、1行の字数(行長)と1ページの行数を決定する基本版面の設計を冒頭に置いている。

一方、電子書籍ビューアーも含め、現今の電子化文書の閲覧環境は、ディスプレーや閲覧矩形(ウィンドウ)の大きさも、フォントサイズも多様であり、行間も含め、プリファレンスも含め、ユーザー側で選択できるようになっている。

次期JLreqは、このような情報の送り手側/コンテンツ制作側では、すべてをコントロールすることが出来ない環境での、〈読みやすく〉〈弱者に優しい〉読文環境(reading
environment)を目指すべきだと考える。

このような視点から、従来のJLreqの目次を見ると、不要な項目や重要度が下がる項目を定めやすくなる。
不要な項目(版面設計)

2.2 日本語文書の基本となる組体裁

2.2.1 組体裁の設計

2.2.2 基本となる組体裁

2.2.3 基本となる組体裁の主な設計要素

2.2.4 基本版面の設計要素

2.2.5 基本版面と実際のページの設計例

2.4 基本版面の設計

2.4.1 基本版面の設計手順

2.4.2 基本版面の設計の注意点

2.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用

2.5.1 基本版面からはみ出す例

2.5.2 基本版面で設定した行位置の適用

2.5.3 基本版面で設定した文字位置の適用
リフローを前提として再考を要する項目

第4章 見出し・注・図版・表・段落の配置処理

4.1 見出し処理(改ページ処理も含む)

4.1.1 見出しの種類

4.1.2 別行見出しの構成

4.1.3 見出しにアクセントを付ける

4.1.4 改丁・改ページ・改段処理

4.1.5 改ページ等の直前ページの処理

4.1.6 行取りの処理例

4.1.7 行取り処理した見出しがページ末にきた場合の処理

4.1.8 小見出しの前を1行アキにした場合の処理

4.1.9 同行見出しの処理

4.1.10 窓見出しの処理

4.1.11 段抜きの見出しの処理

4.3 図版の配置処理

4.3.1 図版配置の指定方法

4.3.2 図版配置の基本的な考え方

4.3.3 縦組における図版配置の条件

4.3.4 横組における図版配置の条件

4.3.5 JIS X 4051における図版配置の基本的な考え方

4.4 表の処理

4.4.1 表の構成

4.4.2 表の全体の組方向

4.4.3 表を配置した例

4.4.4 ページへの配置からみた表の種類

4.4.5 見開きに配置する表の処理

4.4.6 分割を可とする表の処理

4.5 行・段落などの行送り方向の配置処理

4.5.1 ルビなどが付いた場合の行間の処理

4.5.2 段落間処理

4.5.3 行送り方向の領域の調整処理
別の観点(機能論的観点)から再定義すべき項目

2.6 柱とノンブル

2.6.1 柱及びノンブルの位置

2.6.2 柱及びノンブルの配置の原則

2.6.3 柱及びノンブルの配置方式

3.3 ルビと圏点処理

3.3.1 ルビの使用

3.3.2 ルビの付け方

3.3.3 ルビの文字サイズ

3.3.4 親文字のどちら側にルビを付けるか

3.3.5 モノルビの親文字に対する配置位置

3.3.6 グループルビの親文字に対する配置位置

3.3.7 熟語ルビの親文字に対する配置位置

3.3.8 ルビが親文字よりはみ出した場合の処理

3.3.9 圏点の処理

3.4 割注処理

3.4.1 割注の利用

3.4.2 割注の文字サイズと行間など

3.4.3 割注を本文の2行以上にわたって配置する処理

4.2 注の処理

4.2.1 注の種類

4.2.2 注の番号

4.2.3 合印の処理

4.2.4 縦組又は横組の後注処理

4.2.5 横組の脚注処理

4.2.6 縦組の傍注処理

4.2.7 頭注(縦組)・脚注(縦組)・傍注(横組)の処理
機能論的観点からの補注

直接的に文字列を読むための機能以外に、書物によって具現化される機能は複数存在する。

異論はあろうが。。。

・注(annotation)

ルビ、脚注、傍注、頭注、割注、圏点など

・参照(link)

他のドキュメントの特定個所の排他的指示

URL+anchor

レガシーブックでは、書名、発行年、版、ページ、行で実現

・移動(navigation)

目次

柱

ノンブル

従来の書物の版面設計(版面デザイン)は、これらの機能論的な観点から見直す必要がある(≒従来の書物の表現方法に固執する必要はない)。
工藤智行氏(日本デイジーコンソーシアム、有限会社サイパック)によるアクセシビリティの観点からのnavigation

■ ナビゲーションとは何か

・本文を音声読み上げできればアクセシブルという大きな誤解

・ナビゲーションは読み上げ位置の移動を中心とした操作

・ナビゲーションは音声を中心とした読書で必須となる

・主としてリーディングシステム側の機能

・スクリーンリーダ等の音声UIを通じて操作できなければならない

・ナビゲーション機能が不十分だと音声を中心とした読書が困難

■ 具体的なナビゲーション操作

・前回読み終えた場所からの再生

・目次やインデックスから目的の場所への移動

・しおりの場所に移動

・前の章、次の章、前の節、次の節等への移動

・次ページ、前ページ、指定ページへの移動

・次段落、前段落、現在の段落の頭への移動

・フレーズ単位での前後移動

・5秒/10秒/30秒/一分といった時間単位での前後移動

■ 高度なナビゲーション操作

・表の読み上げ

縦方向、横方向、表見出しの読み上げ

・現在の読み上げ位置の音声での把握

現在の章、節等の名前、何ページ中何ページ、全体の音声の再生時間でのパーセンテージ

Received on Sunday, 1 August 2021 23:26:01 UTC