- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 18 Jun 2019 07:22:33 +0000
- To: MURATA Makoto <eb2m-mrt@asahi-net.or.jp>
- Cc: Nat McCully <nmccully@adobe.com>, "public-jlreq-admin@w3.org" <public-jlreq-admin@w3.org>
村田 様 小林敏です 刊本や写本の詳しいことは私は分かりませんが,少ない数ですが, 私が見た範囲では,一定の組体裁を決めて(版面のサイズ,行数な ど),毎ページで,その配置方法を維持しようという意志は感じま す. 以下の国会図書館デジタルコレクションで,古典籍が読めます. http://dl.ndl.go.jp/ ここで例えば“経典余師”などと検索してもらえば,かつての四書の 参考書が読めます. ただし,草双紙などでは,かなり絵と文字を自由に組み合わせてい ますが,例えば,“江戸生艶気樺焼”などを見てみると,枠で囲んで いるのは全ページで共通しています. つまり,読んでいく際に,ある程度の枠組を決めていくことは,統 一感を維持し,読んでいく際の方法を決めてくれますから,そうし た意味で必要なことと思います. ただし,版面について,一定の大きさを維持するという活字組版の 技術的な問題(以下で説明します)と比べて,木版は,板の大きさ という制限があったとしても,文字配置などは,自由があったよう に思います. 活字組版で版面の大きさを一定に維持しようという技術的な問題 は,版を仕上げた後で,紙型をとる,あるいは,原版刷で,印刷機 に版を組み付ける際に,複数ページを枠(チェースという)の中で 固定する必要があります.この際に,各ページの組版サイズが不揃 いでは,そのたびに調整が必要になるが,一定のサイズであれば, 同じ方法でできるからです. ですので,以前に潤平さんがPDFにし,APLのWGメンバーにお送 りした“写真で見る書籍の組版”を見るとわかるように,本扉,目 次,奥付などのように,本文よりは小さくできるページでも,本文 と同じサイズの版のサイズにしています. 以上です. MURATA Makoto さん wrote > 皆さん、 > > 基本版面という考え方は活版になって初めて出現 > したものでしょうか?それとも、似た考え方は木版 > や肉筆のころからあるのでしょうか? > > 村田 真 ――――――――――――――――――――― 小林 敏(toshi) 2019年 6月18日 e-mail: binn@k.email.ne.jp ―――――――――――――――――――――
Received on Tuesday, 18 June 2019 07:22:33 UTC