Re: JLReq and Gap Analyses

村田 様

   小林敏です

刊本や写本の詳しいことは私は分かりませんが,少ない数ですが,
私が見た範囲では,一定の組体裁を決めて(版面のサイズ,行数な
ど),毎ページで,その配置方法を維持しようという意志は感じま
す.
以下の国会図書館デジタルコレクションで,古典籍が読めます.
http://dl.ndl.go.jp/
ここで例えば“経典余師”などと検索してもらえば,かつての四書の
参考書が読めます.

ただし,草双紙などでは,かなり絵と文字を自由に組み合わせてい
ますが,例えば,“江戸生艶気樺焼”などを見てみると,枠で囲んで
いるのは全ページで共通しています.

つまり,読んでいく際に,ある程度の枠組を決めていくことは,統
一感を維持し,読んでいく際の方法を決めてくれますから,そうし
た意味で必要なことと思います.

ただし,版面について,一定の大きさを維持するという活字組版の
技術的な問題(以下で説明します)と比べて,木版は,板の大きさ
という制限があったとしても,文字配置などは,自由があったよう
に思います.

活字組版で版面の大きさを一定に維持しようという技術的な問題
は,版を仕上げた後で,紙型をとる,あるいは,原版刷で,印刷機
に版を組み付ける際に,複数ページを枠(チェースという)の中で
固定する必要があります.この際に,各ページの組版サイズが不揃
いでは,そのたびに調整が必要になるが,一定のサイズであれば,
同じ方法でできるからです.

ですので,以前に潤平さんがPDFにし,APLのWGメンバーにお送
りした“写真で見る書籍の組版”を見るとわかるように,本扉,目
次,奥付などのように,本文よりは小さくできるページでも,本文
と同じサイズの版のサイズにしています.

以上です.

MURATA Makoto さん wrote

> 皆さん、
> 
> 基本版面という考え方は活版になって初めて出現
> したものでしょうか?それとも、似た考え方は木版
> や肉筆のころからあるのでしょうか?
> 
> 村田 真

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 小林 敏(toshi)  2019年 6月18日
 e-mail: binn@k.email.ne.jp
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Received on Tuesday, 18 June 2019 07:22:33 UTC