- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Fri, 14 Mar 2025 11:44:26 +0900
- To: 木田泰夫 <kida@mac.com>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
木田泰夫 様 小林 敏 です. 木田泰夫 さんwrote >ありがとうございます。なんと、均等に空けることができなかったのですね。それなら確かに、行の調整は組版担当者の腕の見せ所、ノウハウの塊になるわけですね。先輩の背中を見て覚えろ、みたいな。 いまでも,組版の品質の差はありますが,活字組版は,組版材料の準備の状況と組版担当者の腕の差異がけっこうあった時代で,印刷所によって組版単価の差異を付けることも,ある程度は可能であったのです. >1)が多い、と言うことは、事実上行頭揃え的になっていた? そうではありません.行頭付近は,注意がいきとどくが,行末になると,集中力がきれて注意が低下するだろうから,多少の乱れは許容できるだろうという考え方です. 行頭の括弧の位置はそろっていないと気持が悪いが,行末は,そこまで要求しないという,行頭と行末の違いがあるかと思っています. >手動写植になってこの辺りは柔軟になって、均等に空けられるようになったんですか? いや,手動写植の最後の頃は電子制御も取り入れられ,かなり高度のことも可能でしたが,私が使用した時代は,移動の最小単位は1歯(これも,その後は,より細かい単位が可能になった)でしたから,均等にはできなかった. ただし,活字組版ではできなかった,詰め組も可能でしたので,詰める調整では,約物のアキを詰める以外に,仮名の字間を詰める方法も可能であった.(この仮名の字間を詰めるという行の調整処理方法は,写研のコンピュータ組版の組版プログラムであるSAPCOLにも取り入れられていた.) ですので,行の調整処理のやり直しは,けっこう大変で,活字組版のように,その該当箇所だけを直せばよかったのに,手動写植では,簡単ではなかったので,該当箇所だけの修正というよりは,修正範囲を広げて,1行全体とか,場合によっては数行を打ち直して修正していた.(ですので,この校正も,けっこう面倒であった.) このへんが書籍の組版に手動写植が多く使われなかった理由のようにも思っています.(印刷がオフセットに変わったのに,組版は活字組版という方法を利用していた時代,まさに過渡的な方法もありました.) なお,高機能の手動写植が普及した時代は,書籍ではコンピュータ組版が使用された時代で,高機能の手動写植は,私はあまり利用していないので,くわしいことは知らない.
Received on Friday, 14 March 2025 02:46:32 UTC