- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Thu, 22 May 2025 13:50:15 +0900
- To: Nat McCully <nmccully@adobe.com>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Cc: 浦山毅 <urara2116@gmail.com>
Nat McCully 様 みなさま 昨日(21日)の編集会議でNatさんから,なぜ3桁以上のアラビア数字について,縦組での正立配置が許容されるかという質問がありました.この点について,すこし補足しておきます. A まず,アラビア数字については,その数字を並べた位置により十,百,千,万などの位(くらい)を示します(そのために0(ゼロ)が必要になる).このことから,アラビア数字は,原則として,次が要求されます. - 横に密着させて配置する. - 並べて配置するアラビア数字の字間での2行にわたる分割はしてはならない. 例 234,567 又は 234 567 縦向き配置でも位置を示せるという意見もあるでしょうが,字幅が狭いので,原則としては,やはり横向き配置でしょうし,横向き配置の方が直観的に読みやすいでしょう. B 漢数字については,アラビア数字と異なり,十,百,千,万などの位(くらい)は,まさに“十”,“百”,“千”,“万”などの位(くらい)を示す文字(以下,単位語という)で示すのが原則です.ですから,“〇”(ゼロ)は必要としません(この漢数字に使用する“〇”(ゼロ)は漢字ではないという人もいます).こうした表記方法では,位置は問題とならないので,縦組も,横組も可能です. 例 二十三万四千五百六十七 C ところが,この単位語を使用する漢数字表記は,アラビア数字にならったのでしょうが,“十”,“百”,“千”の単位語をつかわない(“万”,“億”などは使う)表記方法が採用されてきました.今日では,全ての単位語を使用する方法よりは,“十”,“百”,“千”の単位語をつかわない方法が増えているようにも思います.この表記方法では,位置が位(くらい)を示すが,縦組も,横組も可能です(ただ,Aの横組にしたアラビア数字の方が数値の把握は容易のように思います).Bが縦組でよいのなら,その改良版のCも縦組でもよいでしょう,というか,縦組の世界でBの代わりにCが受け入れられてきた. 例 二三万四五六七 D 逆に,こうした表記方法は,アラビア数字の表記に影響し,以下のような表記方法が理工学書以外では,よく見掛けます. 例 23万4567 そうして,Cが縦組で正立させてよいのなら,Dでもそれでもいい(縦組で正立)と考えても,それは成り立つように思います.縦組で,Aを横倒しすると,いくらか読みにくくなりますから,それよりは正立を優先してよい,という考えです. なお,B, C, Dについては,2行にわたる分割が問題となります.Bは分割が可能です.Cにつても,これまで慣行として,分割は禁止されてきませんでした.(ただしInDesignの設定上の問題から,禁止とした例を見かけますが,たんにInDesignで設定したからそうなったのか,それとも明確に分割禁止の方針からそうしているかはわからない.私が前者ではないかと疑っています.) したがって,Dを縦組で正立させた場合もCにならって分割は認められてきました(禁止としている例はないわけでないが,少数派だと思います).なお,横組でのDは,万の前後は可としても,原則は分割禁止です. Cや縦組でのDが分割許容という点は,CもDも字幅は全角ですので,禁止にすると行の調整処理において,調整量が大きくなる例が増えるので,それは避けたいという事情もあります. Dを縦組で行う場合,正立させる,あるいは分割を許容するという問題は,縦組の数値は,年月日,年齢,比較的に区切りのよい数値,パーセントなどで,桁数もそれほど多くならない,という事情もあります. こうした,ある種の矛盾は,むつかしいのですが,ある種の割り切って考えるしかないでしょう. もちろん,アラビア数字を必ず正立させろということではありません.縦組で理工学分野のテキストを扱うことは少ないでしょうが,その必要があれば,Aで横倒しにするという方法はあってよいと思います. 以上,ご参考まで
Received on Thursday, 22 May 2025 04:52:04 UTC