Re: 全角という用語の使用状況

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

  木田泰夫 さんwrote

>> 2 分かち書きでは,単語又は文節の字間(語間)として全角アキ
>
>これはそもそも全角スペースである必要はあるのでしょうか? 私の感覚ですが、全角スペースの幅は広すぎるように感じます。もしくは、それが視覚障害者のために行われるなら、固定幅ではなく調節可能である必要があるかもしれません。

その通りだと,私も思います.ただ,全角スペースが便利というか,簡単に処理できるということだと私は思っています.

しかし,どれがいいかは,簡単ではありません.それに使う適当なものがあるかも問題です.意外と欧文語間スペースがいいような気もするのですが,1個だけで狭ければ2個入れて,行長の調整に使用すれば,それもよいと思っています.“分かち書き”の際に議論しましょう.

いずれにしても,“分かち書き”の語間は1つに決めることはできないよ,全角スペース以外の選択肢も考えてよいよ,ということかもしれない.

>同様な例ですが、苗字と下の名前を全角スペースで区切る場合があります。私はこれも広すぎるように感じます。例えば私の名前は「木田泰夫」であって「木田 泰夫」ではないよ、と。首をちょん切られたようです。苗字と下の名前を判別するために何らかのセパレーターが必要ならば、仕方がないから「木田 泰夫」くらいならギリ一体に見えるので仕方がないか、という感じの感覚です。

あはは! ただ,みんな面倒なので,そうしているだけ.私は,3文字なので,その際の状況(テキスト作成の環境や行長)で,いろいろ変えています.このメールでは,二分スーペースがUnicodeにしないと使えないので,全角アキにしています.

>英語ではどうなっているんでしょう。例えば、英語の組版規則の中に、括弧はem widthの1/3とか書いてあるんでしょうかね?

たぶん,ないでしょう.パーレンでいえば,和文でも,いろいろな字幅のもの(三分,四分など),いろいろありました.ただ,本文中では,字幅二分というか,全角のものが一般的でした.

>> となれば,この約物の字幅と,その連続の問題は,あくまで文字の外枠が正方形の場合に限定するという説明を入れれば,よい,その場合,プロポーショナルな場合は,それなりに,他とのバランスをとり詰める必要があるよ,いうことだけ書いておくという方法もありえる.

>内容自体は単なる例ですが、逆に一般的な場合を主にしてこんな風に書くのはどうでしょう?

>「開き括弧は、前の文字との間に空間が必要であって、タイプデザイナーはその空間をボディーに含める必要がある。それが行頭に来たり連続する場合にはその空間は削除する必要がある。その量をフォントの機能(halt/chws)により指定する。和字が等幅の場合にはその空間は全角スペースの幅の半分が標準的である。もしくは、括弧の字形の幅と同じ幅が標準的である」

この説明と,Apendixの表(文字クラスに応じた字間の表)との関係があるので,そう簡単ではない.

また,括弧の字形の字形もフォントごとに異なる.というか,かぎ括弧の縦組でいえば,縦線の長さは,フォントによって異なる(つまり字形そのものだけの字幅は異なる).(ちょっと,余分なこと,今日使用されている主な明朝体のかぎ括弧の形は,どうも私の好みでないものが多い.ですので,できるだけかぎ括弧は使いたくないというのが,私の率直な感想.また,かぎ括弧の前後のアキも,本を読んでいて空きすぎに感じている)

ですから,正確にいえば,フォントごとに約物字形は異なるので,それを考慮して,約物のアキを決めないといけない,ということになるが,それはできないので,一般的にはこうだよ,ということになる.

また,補足説明を囲むパーレンは,字幅二分として考えた場合,二分アキは,アキ過ぎにも思う.でも,一般的にいえば,二分ということで,とりあえず許容している.(昔に比べれば,パーレンの円弧の深さ(つまり,その円弧の半径の大きさ)は,浅くなってきている(半径が長くなっている)ので,よけいアキが気になる.

>> 6 行間は,二分アキとする例がある.これは文字サイズの1/2という表現で代替できる.
>
>これは、文字の行送り方向の幅の半分、という意味でしょうか? 文字サイズと言ってしまうと常に縦方向の幅ですので、縦書きにとっては文字送り方向、横書きにとっては行送り方向の大きさになってしまいます。これが問題となるのは長体や扁平体の場合ですが、これらの場合には、どうなるんですか?

ここでの説明では,指定の際の量を示しているのでなく,目安としての大きさを示す際の問題.したがって,厳密さは必要なく,おおよそ,こんなものよ,いう際に使用することです.

>とても基本的な質問ですが:従来の組版規則はフォントにある和字のグリフが統一した大きさの正方形であることを前提に書かれています。しかし、デジタル以前にも、長体や扁平体がありました。これらは従来の組版規則の埒外の存在だったのでしょうか? それともそれらを正方形の形に仮に変形させて、その上で組版を行い、そして元の比率に戻す、と言った考えだったのでしょうか?

おっしゃるように長体や扁平体はありましたが,基本的に,その際にどうするということはルールとしては,たぶん,考えてこなかったように思います.実際にどうしたかといえば,その場で適当に処理していたということでしょう.

例えば,本文組において,縦組で10ポイントを90%の扁平体にした場合,たぶん括弧も句読点も90%の扁平体にしたと思います.ですから,その場合,括弧も句読点の字幅は4.5ポ,アキは4.5ポということになったのでしょう.

詰め組も,書籍の本文組などでは,マイナス1歯ではなく,マイナス0.25歯という処理をやった例がある.これだと漢字もそれほど詰まらないので,利用できた.その際の句読点,括弧も全部,マイナス0.25歯で処理したと思います.それでないと,とても面倒.

若い頃は,マイナス0.25歯という処理例も,見ただけで区別できたが,最近は,そうした目も衰えているので,こうした字間処理やアキなどは,人により,どの程度影響があるかは,かなり個別性があるかと思います.

>> 何が言いたいかというと,新たな全角の定義はやめることもができる,ということ.そうなればJLReqの“正方形の文字の外枠をもっている文字”の定義も,jlreq-dでも利用できる.
>
>新たに「全角」は定義しようとは言っていません。私が提案したのは「全角幅」です。もちろん、別の言葉でも良いと思います。例えば「全角スペースの字送り方向の幅」とか。
>
>私の問題意識は、従来の組版規則が、統一した大きさの正方形を強く前提としていて、扁平や長体でさえ扱っていないのは問題である、ということです。記述は共通理解の範囲内ではありますが、もっと一般化されるべきで、そのために、字送り方向の幅(および別個に行送り方向の幅)の基準を作りたいということです。
>
>木田

いっていることは理解できます.そうであるならば,“全角”というあまりにも手垢のついた用語を使用しない方がいいように思います.“全角”あるいは“全角幅”であったとしても,特に組版の関係者は,自分の理解している“全角”という用語の意味にとらわれてしまう危険があるように思います.

CSSその他で,字送り方向の相対的な長さを示す単位はないんですか.それを流用するということも考えられると思います.

Received on Wednesday, 10 July 2024 03:03:09 UTC