- From: 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- Date: Mon, 17 Jun 2024 15:26:01 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-ID: <CABzg0zu6akye7qtVst7MKDN5eULBweC1LyN0auq3=tQ=3WOzUg@mail.gmail.com>
敏さま、 小林龍生です。 常用漢字表の例示字形とJIS X 0213の例示字形が、一対一に対応している限りは、字形の差は問題になりません。 むしろ、先のアーティクルでぼくが取り上げた《隆》と《隆》や《塚》と《塚》のように、いわゆる人名許容と常用漢字表との対応関係をどう考えるか、の方が。 とはいえ、常用漢字表は、その適用領域を「一般の社会生活で用いる場合」に限定しており「専ら固有名詞に用いられる漢字」は明確に適用外とされているので、常用漢字表をJIS X 0213の《きれいな》サブセットと見做しても問題はないように思います。少なくとも、ぼくが参加したJIS X 0213原案作成委員会では、そのような立ち位置で作業を進めていたと認識しています。 2024年6月17日(月) 14:14 Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>: > 小林龍生 様 > > 小林 敏 です. > > ありがとうございます. > > 小林龍生 さんwrote > > >というわけで、現在は、“常用漢字表”と“JIS X 0213”でも,漢字の字体の捉え方,または,その示し方は全く同じです。 > > 常用漢字表で“*”の記号が付いている漢字があります.淫葛嗅僅惧恣煎詮嘲捗溺塡賭剝箸蔽頰喩など > > 例えば,“淫”(面区点1-1692)という文字は,“ノ”の下の三点は,常用漢字表では,下に広がった字形ですが,“JIS X > 0213”の例示字形では,上が広がった字形です.つまり,“JIS X > 0213”では,上が広がった字形でも,下が広がった字形でも包摂されていると考えられます. > > しかし,“常用漢字表”では,その違いは,デザイン差には例示されていなく,筆写の楷書字形と印刷字形の違いという項目で説明されている字形です.印刷字形として,上が広がった字形でも,いいとは,言っていないと思います.つまり,“JIS > X > 0213”では包摂されている字形が,“常用漢字表”で完全に包摂されているとは言っていないのではないか,その違いがあるのでないか.(ただし,“謎”は,表では2点しんにゅうであるが,1点しんゅうで印刷されていれば,それでよいという“字体の許容”の説明もあるが,筆写の楷書字形と印刷字形の違いという項目では,印刷字形としても許容できるという説明がないかと思います.) > > ですから,“常用漢字表”で“*”の記号が付いている漢字の字体の扱いは,“常用漢字表”と“JIS X > 0213”では,一致していないのではないか,という疑問が出るのですが,どうでしょうか. > > 2010年の改正以前の“常用漢字表”と“JIS X > 0213”については,6.6.3.1のc)で,包摂基準から除外された漢字の一覧があり,これにより,“*”の記号のついた“淫”という字などのような問題はないので,確かに“常用漢字表”と“JIS > X 0213”は一致していると思います. > > そして,“常用漢字表”と“JIS X 0213”が一致しているのであれば,“常用漢字表”は,“JIS X > 0213”は,互いに“共約/通約可能”と言えるのではないか,という疑問も出てきます. > >
Received on Monday, 17 June 2024 06:26:17 UTC