- From: 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- Date: Mon, 17 Jun 2024 11:05:16 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-ID: <CABzg0zunFyrxGSowaOM=oJ1kd-NTZKLpo8Jdwo7ASejZGEXXLA@mail.gmail.com>
敏さま、みなさま、 小林龍生です。 以下、ご質問にインラインで。 2024年6月12日(水) 16:09 Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>: > 小林龍生 様 > みなさま > > 小林 敏 です. > > 小林龍生 さんwrote > > まず,“常用漢字表”,“JIS X 0208”及び“JIS X > 0213”という文字集合は,漢字部分についていえば,漢字の字種の集合ですか,それとも漢字の字体の集合と考えた方がよいですか,そうではない別のもと考えた方がよいと思いますか? > > > “常用漢字表”は,その前身の“当用漢字表”や“当用漢字字体表”を考えると,漢字の字体の集合と考えた方がよいと思いますが,ただ,“常用漢字表”は,1字種につき,標準(正体)の1字体だけを掲げている,ということかと思います(表で括弧内に示した字体は除外します). > 常用漢字表ですが。これは、字体表ですね。 しかし、漢字表にに掲げられているのは、JISの言葉を遣うと《例示字形》に過ぎないのですね。字体は、抽象概念だから目に見える形で示すことが出来ないのです。常用漢字表策定の当事者たち(文化庁国語課の課員や文化審議会の委員)も苦慮した跡が歴然で「個々の漢字の字体については、現行の常用漢字表同様、印刷文字として、明朝体が現在最も広く用いられているので、便宜上、そのうちの一種を例に用いて示した。」ちなみに、この(そのうちの一種)というのは、IPAのMJ明朝体です。 > もし,“JIS X 0208”及び“JIS X > 0213”が漢字の字体を示した文字集合とすると,漢字の字体の捉え方が異なっていると考えてよいのでしょうか? > このご質問こそ、ぼくがincommensurabilityの概念で議論したかったこと。 JIS X 0213とJIS X 0208では、符合位置が同じで例示字形が同じでも、その符合位置(字体)に帰属する字形の範囲が同じであることは保証されない、ということです。 ある符合位置(字体)に帰属する字形の範囲は、字体集合全体の中でのそれぞれの符合位置(字体)の相互関係で、相対的に決まる、とぼくは考えています。 また,“常用漢字表”と“JIS X 0213”でも,漢字の字体の捉え方,または,その示し方が異なっていると考えてよいのでしょうか? > これも、正鵠を射た質問で感服。 じつは、JIS X 0213:2012までは、このあたりのことがはっきりしていなかったのですね。そこで、というか。発行された常用漢字表の順番通りに排列された各例示字形とJIS X 0213の符合位置との対応関係を明確にし、それまでは、常用漢字表からは例だけが引用されていた6.6.2. 字体の実現としての字形のところを、本文も含めて丸ごと引用する形に変更することで、JISの原案作成委員会としては常用漢字表の考え方をそのまま踏襲することを示すようにしました。 というわけで、現在は、“常用漢字表”と“JIS X 0213”でも,漢字の字体の捉え方,または,その示し方は全く同じです。 もし,そうであるならば,“常用漢字表”と“JIS X > 0213”でも,漢字の字体の捉え方なり,その示し方が,なぜ一致できなかったのか,ともいえそうですが,そう考えてよいですか? > (歴史的な経過を無視した,ちょっと,いいすぎの質問ですが)もし,上の質問がyesなら,なぜそれができなかったのですか? > いえ、上にも記したように、 “常用漢字表”と“JIS X 0213”との間には、字体の考え方について、齟齬は一切ありません。 次に,こうした問題と,UCSのAnnex Aとは,どうつながってくるのでしょうか? その説明がほしい. > へい。ここは、ぼくの主張の眼目なので、ガラガラポンで書き直すアーティクルで丁寧に説明しますね。乞御期待。
Received on Monday, 17 June 2024 02:05:34 UTC