Re: 異体字の使用例

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

字体の問題は,それなりに,きちんと説明しないと,誤解を与える可能性(例えば,代用字の問題など)があるので,jlreq-dで,きちんと解説するということを行わない限り,問題としない方がいでしょう.

  木田泰夫 さんwrote

>とはいえ、挙げていただいた例の多くは印刷でのことで、また限定的ではありませんか? ウェブやメールなど電子媒体で意識的に異体字を使用している例は、固有名詞と異体字そのものの議論を除けば、私の経験の範囲ですがかなり稀かと思います。

青空文庫では,“旧字旧かな”で作成したデータはけっこうあります.

異体字の区別は,以下のレベルがあり,
 1 シフトJISでも区別できる
 2 Unicodeを利用すると区別できる
 3 IVSを利用しないと区別できない
 4 IVSを利用すると区別できるが,その区別は字体の区別ではなく,デザインの差と考えられるもの

2でかなりの区別が可能になったので,青空文庫では,“旧字旧かな”のデータが増えているのではとも思っています.

そして,常用漢字としての問題,表外漢字の字体の扱いという点では,印刷に限られた問題ではないと思います.

以下のような例は,前の字体にするか,後ろの字体を使用するか,Webでも両方を見かけますので,Webで字体が複数ある例は結構あるように思います.
 常用漢字の例 曾・曽 瘦・痩 麵・麺 頰・頬 塡・填 葛・葛
 表外漢字の例 摑・掴 噓・嘘 繫・繋 藪・薮 鶯・鴬 壺・壷 攪・撹 賤・賎 諫・諌 頸・頚 嚙・噛 瀆・涜

  "tajima@sanyosha.co.jp" さんwrote

>漢字の細かい字形の差違につきまして、各出版社さまごとに「この字形を正しい字形とする」という規定があり、本文印刷を担ってきた印刷会社はその細かな差違を正しく反映するための仕組みを時代に合わせて作って対応して来ています(いわゆる「出版正字」などとも呼ばれるようです)。

>ただ、あまりにも細かな字形の差違に過ぎないこと、多くはJIS X 0213やAdobe-Japan1の登場でカバーされているはずであることを考えると、JLreq-dのような出版に留まらない広い範囲を対象とする文書としては記述しないのが順当かなと思います(多少は「作字しないと出せない」文字もあったりはしますが)。そのあたりの文字はどこも具体的な字形は社外秘扱いだったりもしますし、「そういうものもあるよ」ぐらいの話と思っていただければ。

異体字の問題は,“あまりにも細かな字形の差違に過ぎないこと”という問題もありますが,それに限られたわけではないと思います.また,紙の出版物の問題に限られたわけではないと思います.

そして,出版の問題でも,気にする出版社とそれほど字体に気にしない出版社があり,また,細部になると多少の差異はあり,また,いくつかの選択肢はありますが,何が問題かは,共通の問題として,説明できるように思います.

Received on Saturday, 1 June 2024 04:25:39 UTC