- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Thu, 30 May 2024 13:43:41 +0900
- To: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
山口 様 みなさな 小林 敏 です. デジタルテキストでの注の組版処理に何を書いたらよいかは,注の機能は話題になったが,組版処理方法については,まだ議論はほとんどなされていませんので,問題点をいろいろと出して議論がされていくとよいと思います. >「注」の要件requirementは次を含んでいる: >* 注を参照する本文の近くに置きたい >* 本文と区別されて、本文を読む邪魔にならない これは,その通りだと思います.そして,紙版では,注の分量,費用,処理のしやすさ,その他が絡んできて,原稿の内容により判断されてきた. さらに,注の機能として,その注は読む必要があるか,ないか,という判断(それは注の内容や読む人の目的によって変わってくる)が,常についてまわる.その意味では,書籍で多い,その本の最後に注を一覧で掲げるという方法も,ある意味で,本文とは距離が離れるが,最初に一覧して,それで注の参照を判断し,読まない,または必要なものだけ読む,どれが必要かといったことをまとめて処理できるという便利さがあります. 近くに置き,かつ,本文と区別されて,本文を読む邪魔にならない,という条件を考えると,紙版では,横組でいえば,脚注が,もっとも,この条件にあい,横組では脚注にしているものが多いのです.縦組では,この横組の脚注にあたる傍注という形式があるのですが,処理がやや面倒で,あまり採用されていなかったが,最近は,少し増えているように思います. ただ,横組の脚注や縦組の傍注の欠点は,注の分量が多いと,紙版では処理に問題を起こすということある.その点でいうと後注は,その問題が回避される(ただ,本文を分断するという欠点もある). ただ,注でも人名のごく簡単な短い紹介などは,割注で説明すると,最も近くであり,また分量が少なければ,本文を読む邪魔になる可能性も少ないので,選択できる方法です.その意味では,注ルビ(行間注)は,ごく近くであるという条件は同じですが,本文の流れを阻害する程度は,やや軽減されるので,選ぶことができる.ただ,その処理が割注ほど簡単でない(ここで簡単か,簡単でないかは,処理系が,そのような機能を持っているかどうか,それをカバーしているかどうかという意味で言っています). また,広い意味では,割注にしないで,括弧書きで補足説明するのも,ある意味で注です.しかし,このような括弧書きで補足説明するのも,ある意味で文章の構造を複雑にし,本文を読む邪魔になる可能性もあるので,括弧書きで補足説明は,いっさい許さないというルールを決めている出版社もあります.このあたりは,注の機能論的なテーマになるのかもしれない.(そういえば,ロバート・ダーントンだったかと思うが,紙版では,本文→注(または無理すれば注のさらに注くらい)は,処理できるが,それ以上は無理だ.しかし,Webでは注の注の注……(リンクをたどればよい),みたいに,いくらでもできるということを言っていた.) 次に,最近のWeb等で多いポプアップですが,私は毎週,新聞のデータベースを利用しているのですが,マウスを動かして操作することも多く,そうすると,不必要なポプアップが表示され,中身をよむ際にけっこう邪魔になるケースも多いのです.ですので,ポプアップが画面の下部に表示されるのは,一つの方法かもしれない. また,読者は性急です(特に私は).何か操作しないといけないのは,好ましくない,ということもある.視線を移動すれば,すぐ読めるというのも捨てがたいのです.(このことはルビをポプアップで示す方法がよいか,あらかじめ表示されているのがよいか,ということを考えてみるとよいかもしれない.) ということで,さて,デジタルテキストの注について,jlreq-dでは何を問題にし,どのように記述したよいのでしょうか? Taku Yamaguchi さんwrote >「7 見出し・注・図版」の「注」のところが、例えば、次のような内容になるのでし >ょうか。 > >「注」の要件requirementは次を含んでいる: >* 注を参照する本文の近くに置きたい >* 本文と区別されて、本文を読む邪魔にならない > >これを踏まえて、従来はざっくりと2つの判断があって(間にグラデーションがありま >すが) >* なんとしても近くに置く >* あきらめて遠くに置く > >紙の本では次のような方法を取ってきた >* なんとしても近くに置く >** 割注、注ルビ、脚注、頭注、傍注、… >* あきらめて遠くに置く >** 章末、巻末、… > >デジタルでは、従来とは異なる実現方法が考えられるし、すでに実装されている。例 >えば、Wikipediaの一部のページでは >* PCでは、脚注参照にマウスポインターをかざすと、ページ下部にある脚注本体が、 >ポインター付近のポップアップに表示される >* スマートフォンでは、脚注参照をタップすると、ページ下部にある脚注本体が、画 >面下部のポップアップに表示される >例: 「御堂関白記」の脚注 >https://ja.wikipedia.org/wiki/御堂関白記 >
Received on Thursday, 30 May 2024 04:46:27 UTC