Re: 全角幅送りの議論


> この種の事柄を簡潔に説明するのは難しいです。なぜなら歴史的な事情と技術的な内容が相互に関係しているからです。

山本さんらしくて良いです。

> ここでの「フォントサイズ」は文字サイズと同じです。文字サイズの指定は、仮想ボディが正方形であれ長方形であれ、字送り方向に直交する方向での仮想ボディの寸法で行いますから、正方形であるか長方形であるかに依存しません。


はい、これが知りたかったことの要約です。60文字ですよ!


とすると、縦書きの場合は、仮想ボディの横幅が文字サイズということになりますか? 身の回りのソフトウェアはそのように動作しているようには思えないんですよ。それはバグ?

例えば長体を無理やり縦に組んだとします。もしくは新聞明朝を横に組んだとします。その定義を使うと、同じ大きさの文字を、横に組んだ時のフォントサイズと、縦に組んだ時のフォントサイズが、異なることになります。しかし、ワープロなどの動作を見ていると、字の大きさは字送り方向に関係なくフォントサイズのみで決まっているように見えます。

木田

> 2023/10/12 7:01、Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>のメール:
> 
> (コメントします)
> 概ね150-200字くらいの簡潔さで教えていただけると
>  
> この種の事柄を簡潔に説明するのは難しいです。なぜなら歴史的な事情と技術的な内容が相互に関係しているからです。
>  
> ここでの「フォントサイズ」は文字サイズと同じです。文字サイズの指定は、仮想ボディが正方形であれ長方形であれ、字送り方向に直交する方向での仮想ボディの寸法で行いますから、正方形であるか長方形であるかに依存しません。サイズを指定するだけの目的であれば、ボディが正方形だと想定しても何も問題はないのです。
>  
> ここで、そのように指定される文字サイズが「uselessだ」というのは、上に述べたグーテンベルク以来慣用となっている文字サイズの指定方法、つまり、個別フォントの、具体的なグリフの形状の特徴的な寸法、例えば、cap. heightやx-heightの高さを、文字サイズとして指定するのではなく、仮想的な正方形の活字ボディの寸法で文字サイズを指定する方法は、書体デザインによって、具体的な文字の形の大きさにバラつきが生じるという欠点を有している。という指摘です。
>  
> ただし、このことは、和文の等幅フォントの場合にはあてはまりません。なぜなら、同じ文字サイズでも書体ごとに大きさにバラつきは生じますが、その問題は欧文の場合に比べると小さく、また日本語組版では、正方または長方形のボディの各辺が、行長、文字の配置などの基準位置となっていて、文字のデザイン自体も、その仮想ボディに大きく制約されているため、文字の字形の部分を文字サイズの基準とすることができません。
>  
> 他方で、欧文フォントの場合には、写真植字以後、物理的なボディが喪失したため、ベースライン以外に主たる基準位置がなくなり、デザインによる大きさのバラつきが大きくなったため、このような指摘が1960年代末からなされ、cap. heightを文字サイズとするなど、いくつかの提案が出されましたが、全角(em)を文字サイズ指定の基準とする慣習には勝てず、業界の合意を形成することができませんでした。このことは、私がベースラインについて書いた文章でも触れたことです。
> 
> 山本
> 
> 
> 
>  
> From: 木田泰夫 <kida@mac.com <mailto:kida@mac.com>>
> Sent: Wednesday, October 11, 2023 2:19 PM
> To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp <mailto:binn@k.email.ne.jp>>
> Cc: 小林龍生 <tlk@kobysh.com <mailto:tlk@kobysh.com>>; JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org <mailto:public-i18n-japanese@w3.org>>
> Subject: Re: 全角幅送りの議論
>  
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> 
>  
> 
> スレッドの少し前の敏先生のコメントに関して質問です。山本さんかな?
> 
> 
> 2023/10/10 16:09、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp <mailto:binn@k.email.ne.jp>>のメール:
> フォントサイズは文字の縦方向が基準なので、縦書きなら基本方形幅に一致しますが、横書きなら基本方形の字送り方向とは直角方向の長さではありませんか?
> フォントサイズは文字の縦方向が基準ではない.縦組の場合は,文字の左右サイズ,横組では,文字の天地サイズ.ですので,字送り方向(定義された用語は字詰め方向)は,ここでいう“方形幅”でよい.
>  
> ここで私の意味するフォントサイズとは、コンピューター上でのフォントサイズなのですが、調べてみるとフォントに存在するem size という正方形の寸法だそうで。しかし、この em size と実際にデザインされる文字の間の関係は緩く、同じポイント数の欧文フォントを指定しても、実際に感じられる大きさはフォントによってまちまちなのはそのせいのようです。今のフォントサイズの定義なんて役に立たん!と言っているサイトを見つけました。
> Font size is useless; let’s fix it <https://tonsky.me/blog/font-size/>
> tonsky.me <https://tonsky.me/blog/font-size/> 
> <image001.png> <https://tonsky.me/blog/font-size/>
>  
> 日本語の場合、この事情はどうなんでしょう。em size = 仮想ボディとして、その中に長い方の辺が90%-95%? くらいになるようにデザインされていると仮定すると、長体を横に組んだ場合や、平体を縦に組んだ場合は、そのフォントサイズは字送り方向ではなく、それと直角方向のサイズに近い(実際には墨の部分の大きさより少し大きい)、ということになりそうです。
>  
> この理解は正しいでしょうか? 必須のポイントのみ、概ね150-200字くらいの簡潔さで教えていただけると嬉しいです ;)
>  
> 木田

Received on Thursday, 12 October 2023 00:09:46 UTC