- From: 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- Date: Tue, 10 Oct 2023 11:58:16 +0900
- To: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-ID: <CABzg0zv2rjQR2EHm+T36oHOU_uud4JmLgUniPcsPRUD2NEdPhQ@mail.gmail.com>
みなさま、 小林龍生です。 以下、ジャーゴンを使わない機能論的な書き方の試み。 《背景》 明治以降の日本語の活字組版は、物理的な制約もあって、正方形の断面をもった活字と、縦方向に半分の大きさを持った長方形の活字(主に、句読点や括弧類)との組合せで行われてきた。 このことは、活字以前の木版本や写経の伝統とともに、漢字を主体とした日本語の文章の読みやすさにも寄与してきた。 しかし、写植の技術が導入されるとともに、正方形を基準とする文字の並べ方が必須のことではなくなった。杉浦康平らが広告などのグラフィカルな表現で始めたいわゆる詰め組が、本文組にも反映されるようになった。また、新聞等では、本文そのものに、やや扁平な文字を用いることも多くある。 いずれにししても、漢字と仮名を主体とする日本語の文字の配置については、文字のデザインを一定の方形(正方形とは限らない)中に収め、文字と文字の間を空けずに配置することが、読みやすさに寄与するものと考えられる。 一方、現今、一般的な日本語の文章にも、英語を中心として、アルファベットで記述された文が挿入される場合が増えている。 活字時代から文字の幅が一定ではない(いわゆるプロポーショナル)文字で組まれてきた欧文の組版と、一定の方形を間を空けずに配置する方法で行われてきた日本語の組版を混在させた上で、読みやすさを担保することが、活字による紙への印刷だけではなく、WebDocumentや電子メール等の電子的媒体による表示においても、喫緊の課題となっている。 《基本方形概念の提案》 上記の背景を踏まえた上で、和欧混植や行頭行末揃えの処理を行う場合も、原則として、行送り方向の漢字や仮名のデザインを同一の方形内にそろえ、文字と文字の間隔を開けずに配置することが、読みやすさの実現に大きく寄与するものと考えられる。 和欧混植や行頭行末処理、句読点や括弧類の処理も、上記の原則からの逸脱(文字間隔を開けることによる調整)をできる限り少なくするべきである。 以後の議論においては、この漢字や仮名を収める一意の幅と高さを持った方形を《基本方形》と呼ぶこととする。 また、基本方形の字送り方向の長さを、基本方形幅(ほうけいばば)と呼ぶ。 通常、方形幅はフォントサイズと同一であるが、文全体に変形が加えられた場合、フォントサイズと一致しない場合もあり得る。 また、いわゆる斜体(スラント)が施された場合も、基本方形概念を拡張することが可能である。 基本方形に対応する英語としては、basic rectangle、基本方形幅に対応する英語としては、basic rectangle widthを提案する。
Received on Tuesday, 10 October 2023 02:58:33 UTC