- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 02 May 2023 14:16:54 +0900
- To: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
みなさま 小林 敏 です. 強調の方法には,紙の印刷では,以下のような方法が行われていた. 1 括弧でくくる 1.1 山かっこ 1.2 かぎ括弧 2 文字列の前後に記号を付ける 3 書体を変える 2.1 ゴシック体 2.2 その他 4 文字サイズを大きくする(小さくする) 5 圏点を付ける 6 下線,傍線を付ける 7 文字に色を付ける 8 文字の背景に色を付ける 9 字間を空ける アーシュラ・K.ル=グウィンは,“文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室”(大久保ゆう訳,フィルムアート社,2021年)で,“ダーシでは一時停止させた上にフレーズを目立たせられる”といっている.こうしたことから考えると,2倍ダーシで囲む方法も,ある意味で強調の役割を果たすといえよう. 方法により,強調の度合いは異なってくるが,どれが強い強調かは,一概にいえない.また,どのような強調の方法がどのような場合に用いられるかも一概にいえないであろう(ある程度の慣習はある). 最も一般的な方法は,対象の文字列をゴシック体にする方法である.いってみれば英文のイタリック体にする方法と似ている.ただし,翻訳書の場合は,原文のイタリック体を,日本語では圏点を付ける形式で示す方法とする例が多い.なお,英文では,ボールド体にする方法もあるが,これは強調の度合いが強く,あまり行われていない.他に英文では,大文字にする,文字の字間を空ける(レタースペーシング)という方法もある. なお,英文にならって,日本語の文字列を斜体にする方法も,たまに見かけるが,この方法は,慣用としてはまだ定着しているとはいえないであろう. このような考え方で,つまり印刷の世界での強調の方法がモニタの世界でも変わらないといえるか,というのが私の疑問です.紙とモニタでは見え方が変わってくるので,紙の方法は再考しないといけないのではという疑問です. 現在,印刷の世界での強調の最も一般的な方法は,対象の文字列をゴシック体にする方法です.モニタ上では,デフォルトのフォントはゴシック体ですから,まず,これは考え直さないといけない.また,印刷では費用がかかった文字色または文字の背景に色を付ける,という方法は,モニタでは簡単です.もしかすると,モニタではデフォルトにしてもよいかもしれない.
Received on Tuesday, 2 May 2023 05:18:25 UTC