注記の使用例

小林龍生 様
みなさま

 小林 敏 です.

注記の使用例について,あらかじめリストアップしておくとよいかな,と考え,以下にまとめておきました(あらたに例があれば,追記いたします).参考まで.

1 言葉,事項の説明
1.1 言葉そのものの説明
*古典ものや漢文での語句の解釈だけでなく,すこし以前の文学作品(例えば,谷崎潤一郎)などで,若い人向けに注を付けている例をよくみかけます.新潮文庫などでは,巻末に後注で示す例が多いが,最近は,縦組の本で見開き単位で,その左端に示す傍注が増えてきたように感じている.
*簡単な場合,その箇所に括弧書きで示してしまう方法もある.
1.2 地名や人名の補足説明
*地名・人名,特に人名の生年,没年を割注で示す例がある.教科書では行間注で処理する例もある.
1.3 ある用語・言葉などを,別の言語で示す.
*ある用語を英語等で示す場合,一般に括弧書きで示すが,その言語の読みを片仮名のルビで示す方法もよく見かける.
1.4 略語を正式な綴りで示す
*この場合も一般に括弧書きで示す例が多い.
1.5 事柄そのものの説明
*初心者用の経済学等の本では,用語の説明を注記で示している例もある.こうした用語の説明を縦組の書籍で行う場合,脚注で示す例をよく見かける.Webでは,これはポップアップでやるのかな?
1.5 校訂上の問題,文字の異同など
*漢文,古典ものなどでは,校訂上の問題,文字の異同など,語句の解釈とは別形式の注で示す例をよくみかける.

2 説明事項の典拠
1.1 本文の説明事項の根拠を書籍,雑誌論文等で示す.
*この場合は,その箇所ごとに注記で典拠を示す方法と,その箇所では“(著者名,刊行年)”で示し,巻末等の参考文献一覧との対応で示す方法とがある.
1.2 本文の説明事項の根拠をWebのURLで示す.
*この方法は,最近はよく見かけるようになった.
1.3 本文の説明事項の根拠を対話,あるいは取材,その他の方法で,どのように入手したかを示す.
*ノンフィクションだけでなく,やや学術的な本(社会学)などでも,こうしたことを注記で示す例をたまに見かける.
1.4 典拠を示すだけではなく,そのような理解にいたった調査そのものの経過を説明する.
*最近,この手の注記が増えているようにも感じている.
1.5 説明事項の根拠だけではなく,それの参考文献を示す.
*ある事項,例えば,インドのヒンドゥー・ナショナリズムを説明している箇所で,これについて詳しく知りたい場合は,これこれの文献があるよ,といったことを注記で示す.

3 本文の補足
1.1 本文でふれるには,やや枝葉になる議論を注記で示す.
*藤田省三さんの本のように,本文より注記の方が重要な事項を書いてある例もあるが,……
1.2 古典等で解釈を示す.
*一般に元のテキストを示し,その後ろに割書きして示す.中国では,儒教の経書の解釈を〈注〉(伝,箋(せん),解,学ともいう),さらに注を詳しく解釈したものを〈疏〉(つまり注の注)とよぶようです.
詳しく解釈したものを〈疏〉(つまり注の注)とよぶようです.
1.3 本文でふれた事項の参考事項を示す.
1.4 経済学関係などの本で,本文では言葉で説明し,注記で数式を用いて証明する.

4 言語の翻訳
4.1 外国語の文を日本語の文に翻訳して示す.
4.2 日本語の古文を現代文に翻訳して示す.
4.3 漢文を読む下し文に,さらに通釈文にして示す.

5 図版と表の注
5.1 図や表の出典を示す.
5.2 事項や数値の補足説明を行う.

Received on Wednesday, 12 April 2023 07:01:43 UTC