- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Wed, 12 Apr 2023 15:56:10 +0900
- To: 小林龍生 <tlk@kobysh.com>, W3C JLReq TF <public-i18n-japanese@w3.org>
小林龍生 様 みなさま 小林 敏 です. 注記の使用例について,あらかじめリストアップしておくとよいかな,と考え,以下にまとめておきました(あらたに例があれば,追記いたします).参考まで. 1 言葉,事項の説明 1.1 言葉そのものの説明 *古典ものや漢文での語句の解釈だけでなく,すこし以前の文学作品(例えば,谷崎潤一郎)などで,若い人向けに注を付けている例をよくみかけます.新潮文庫などでは,巻末に後注で示す例が多いが,最近は,縦組の本で見開き単位で,その左端に示す傍注が増えてきたように感じている. *簡単な場合,その箇所に括弧書きで示してしまう方法もある. 1.2 地名や人名の補足説明 *地名・人名,特に人名の生年,没年を割注で示す例がある.教科書では行間注で処理する例もある. 1.3 ある用語・言葉などを,別の言語で示す. *ある用語を英語等で示す場合,一般に括弧書きで示すが,その言語の読みを片仮名のルビで示す方法もよく見かける. 1.4 略語を正式な綴りで示す *この場合も一般に括弧書きで示す例が多い. 1.5 事柄そのものの説明 *初心者用の経済学等の本では,用語の説明を注記で示している例もある.こうした用語の説明を縦組の書籍で行う場合,脚注で示す例をよく見かける.Webでは,これはポップアップでやるのかな? 1.5 校訂上の問題,文字の異同など *漢文,古典ものなどでは,校訂上の問題,文字の異同など,語句の解釈とは別形式の注で示す例をよくみかける. 2 説明事項の典拠 1.1 本文の説明事項の根拠を書籍,雑誌論文等で示す. *この場合は,その箇所ごとに注記で典拠を示す方法と,その箇所では“(著者名,刊行年)”で示し,巻末等の参考文献一覧との対応で示す方法とがある. 1.2 本文の説明事項の根拠をWebのURLで示す. *この方法は,最近はよく見かけるようになった. 1.3 本文の説明事項の根拠を対話,あるいは取材,その他の方法で,どのように入手したかを示す. *ノンフィクションだけでなく,やや学術的な本(社会学)などでも,こうしたことを注記で示す例をたまに見かける. 1.4 典拠を示すだけではなく,そのような理解にいたった調査そのものの経過を説明する. *最近,この手の注記が増えているようにも感じている. 1.5 説明事項の根拠だけではなく,それの参考文献を示す. *ある事項,例えば,インドのヒンドゥー・ナショナリズムを説明している箇所で,これについて詳しく知りたい場合は,これこれの文献があるよ,といったことを注記で示す. 3 本文の補足 1.1 本文でふれるには,やや枝葉になる議論を注記で示す. *藤田省三さんの本のように,本文より注記の方が重要な事項を書いてある例もあるが,…… 1.2 古典等で解釈を示す. *一般に元のテキストを示し,その後ろに割書きして示す.中国では,儒教の経書の解釈を〈注〉(伝,箋(せん),解,学ともいう),さらに注を詳しく解釈したものを〈疏〉(つまり注の注)とよぶようです. 詳しく解釈したものを〈疏〉(つまり注の注)とよぶようです. 1.3 本文でふれた事項の参考事項を示す. 1.4 経済学関係などの本で,本文では言葉で説明し,注記で数式を用いて証明する. 4 言語の翻訳 4.1 外国語の文を日本語の文に翻訳して示す. 4.2 日本語の古文を現代文に翻訳して示す. 4.3 漢文を読む下し文に,さらに通釈文にして示す. 5 図版と表の注 5.1 図や表の出典を示す. 5.2 事項や数値の補足説明を行う.
Received on Wednesday, 12 April 2023 07:01:43 UTC