- From: <tajima@sanyosha.co.jp>
- Date: Mon, 31 Oct 2022 15:20:17 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: Yasuo Kida <kida@mac.com>, Taku Yamaguchi <study.yamahige@gmail.com>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
小林 敏さま みなさま Webではなくリフロー型電子書籍での現状としてですが、JLreq-Dの対象としては共通ですので書いておきます。 > 1 図版の回り込みを行うか? 書籍では縦組では回り込みを行う例が多いが,横組では少ない. これはおそらく行っていない例が多いかと思います。RS側の設定で文字をかなり大きくした場合にレイアウトが破綻する可能性が高く、それをコンテンツ側の指定で回避することが困難だからです。また、紙の本では紙面の面積イコールコストなので大きな空白を作らずできるだけ要素を詰め込もうという意識が働きますが、電子ではそうではないので無理に回り込みしないでもよいという判断もありそうです。 > 2 キャプションは,どの位置が望ましいのか? 現状、キャプションは図版とまとめて画像化して配置がほとんどかと思います。理由はページ分割で図版をキャプションを泣き別れさせないためと、またSVG等の利用がRS側の対応の関係でまだ難しいためという事情もあります。技術的にはさらに、同一のXHTML内での縦横混在が難しいという事情もあるようです。 > 3 キャプションの字詰め 字詰めといいますか文字のサイズを本文同様に変動させられるかというと現状は図版とまとめて画像化ですので当然できません。SVG化してテキストを残したとしてもちょっと難しそうかなと思います。 > 5 図版の字詰め方向のサイズが大きい図の処理 これは元データでは横倒しになっていても電子化の際には回転させて正立させるケースがほとんどです。スマホやタブレットでは横倒しの図を見るために端末を回転させると自動で画面も回転したりしますので妥当な措置かと思います。 > 6 図版のサイズ 紙の本と同様のサイズの維持は求められませんが、「画面横幅の半分程度」「7割程度」といった図版同士の相対的なサイズは再現するようにしています。 > 7 図版をポップアアップで表示,別ウィンドウで表示 現状Apple Booksなどは普通に表示もさせつつ、図版をタップすると拡大表示するという挙動を取っているようです。本文中に図版を表示させず、完全に別ウィンドウに分離するというのは主要な閲覧デバイスがスマートフォンやタブレットである現状ではちょっとまだ難しそうかなと思います。ただ、図版の種類によっては本来的には別ウィンドウにする方が正しいものはあるかと思いますので、将来的にはそういうことができる方向に進んでも違和感はないです。 また、電子書籍での大きなサイズの図版配置の例としては、現在KADOKAWAのBOOK☆WALKERがACCESSの独自機能を使って実現している「めがイラスト」の例があります。ライトノベルの売りのひとつである折り込みの大サイズイラストを再現するためのものです。つまり既に実装例はありますが、標準化での対応ではありません。 電子書籍での回り込み関係では、将来的に紙の本ではよく見られるページの上部や下部に画像を配置してその上や下に本文を流す処理ができるようになればよいなとは思っています。現状図版の前後で本文が切れて大きな空白ができてしまうので。 *************************************** (株)三陽社 メディア開発室 http://www.sanyosha.co.jp/ 田嶋 淳 tajima@sanyosha.co.jp ※ブログ運営中です。 ご意見をいただければ幸いです。 http://densyodamasii.com/ *************************************** > 2022/10/31 14:00、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール: > > 木田 様 > みなさま > > 小林 敏 です. > > Webにおける図版配置処理の問題について,いくつか考えてみました. > > 図版の配置(表組の配置も似ている)では,以下の2つに大きく分けて考えるとよいでしょう.ここでは主にBについて考えることにする. > > A ビジュアルな雑誌のように,図版が主となる. > B 書籍の中にいくつかの図版が挿入される. > > Aの場合,印刷する雑誌ではレイアウト用紙に詳細な配置の設計図を作成して指示するのが一般的である.これに対してBは,図版配置の原則的な方針を示し,実際の配置位置は,組版の作業者にまかされ,決まっていく.原則的の指示とは,たとえな以下のように行う. > > 縦組:天・小口寄りに配置,説明の本文の先に図版を配置するのは避けたいが,すこし前に配置することは許容.図版の下部には文字の配置(回り込み)を行う.ただし,10字以下では回り込みはしないで,空けておく. > > 横組:説明のあるテキストの段落の直後に配置する(ページの途中では,段落の途中には配置しない.これで図版配置ができない場合,ページの下端または次ページの先頭に配置.図版は左右中央に配置し,回り込みはしない. > > Aの場合,固定レイアウト(例えばPDFにする),図版と説明を一体に扱い,そのブロック同士の関係を設定する,複数の配置領域を設定し,図版配置をある特定な慮域に配置,などといった方法が考えられよう. > > Bの場合,以下のような問題が考えられる. > > 1 図版の回り込みを行うか? 書籍では縦組では回り込みを行う例が多いが,横組では少ない. > デフォルトは,回り込みを行わないということでよいのではないか. > 回り込みを行う場合,どう設定するのか,図版の配置位置(字詰め方向の先頭または末尾),図版とテキストのアキ,回り込みを行うテキストの行長は,使用する文字サイズの整数倍にしないといけない. > > 2 キャプションは,どの位置が望ましいのか? > 縦組では,縦組にするか,横組にするか,図版の前か後ろか(上ヵ下か). > 横組では,一般に図版の下だが,上にする例もある. > その他,キャプションの配置処理では,いくつか注意したい事項がある. > *最近は少なくなったが,横組で左右中央に図版を配置する場合,図版の横にキャプションを配置する方法もある. > > 3 キャプションの字詰め > 一般的には,図版のサイズとそろえる,あるいは,すこし図版のサイズより小さくするという例が多い.しかし,横組で左右中央にする場合など,キャプションの行長は,必ずしも図版のサイズや本文の行長に揃えないで,適当な(適切な)行長にしている.この設定はどうするのか? > > 4 本文とテキストの位置関係 > 回り込みを行わない際には,段落間に配置すればよい. > 回り込みを行わない際の字詰め方向の配置位置は,一般には以下 > 縦組:上そろえ,やや字下げを行う例が多い. > 横組:左右中央が多い. > つまり,縦組と横組で異なってくる. > > 5 図版の字詰め方向のサイズが大きい図の処理 > 紙に印刷する場合,縦組では図版を右に90度回転,横組では図版を左に90度回転させて配置する方法がある.これはWebでありか? > > 6 図版のサイズ > 図版のサイズは,紙に印刷する際には,指定されるので,サイズの変更は一般に考えられない.Webではどうか,図版サイズが大きい場合など,サイズを変更してよいのか(テキストとの相対的なサイズという意味です)? > > 7 図版をポップアアップで表示,別ウィンドウで表示 > これは,どう考えればいいのか.図版サイズが大きい場合には別ウィンドウという方法はよいだろうが,一般的には,本文と対照して読みたいという例が多いので,私はあまり望ましいとは考えてはいない.
Received on Monday, 31 October 2022 06:20:37 UTC