Re: グループルビの折り返し

敏先生、

熟語ルビの最も重要な性質だけを取り出すと、一つは分割ができるということ、もう一つは以下である、という理解は正しいでしょうか?

親文字一文字一文字に対応するルビの長さが全て対応する親文字の文字列長以下であって、かつ、対応する親文字の文字列長より短いものが存在する場合に、ルビを漢字の読みに対応させるように配置する。親文字をはみ出るルビが存在する場合は、ルビ全体をグループルビのように配置する。つまり簡単に言うと、心はモノルビだが、はみ出た場合は自動的にグループルビにしたい、という機能。

一文字一文字、という制限がありますが、例えば熟語訓を含んだ熟語に対して、これを熟語ルビ的に処理したいケースがあるのではと想像します(良い例を思いつきませんが)。このような場合はどのように考えられてきたんでしょう?


グループルビを折り返す時にルビの対応を示すため、熟語ルビを援用できないかと考えたのですが、実際にこれが有用なケースは少ないかも、という気もしてきました。単に分割の考え方を示すだけで良いのかもしれません。

「基本計画(マスタープラン)」は有用な例ですが、漢語と英語の対応で語順が同じとは限りませんし、オブ、など接続詞が入ってくるとお手上げです。この例のように明確に複数に分けられるなら「基本(マスター)計画(プラン)」と二つのグループルビすれば良いでしょう。もう少し例を見る必要がありそうです。

木田

> 2022/07/17 9:41、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> MURATA Makoto 様
> Yasuo Kida 様
> みなさま
> 
>  小林 敏 です.
> 
> グループルビの分割を可能にするために熟語ルビにすれば解決するか?
> 
> 細かく見れば解決しません.グループルビと熟語ルビは,その性格が基本的に異なります.しかし,複数の熟語にルビを配置するという点で,熟語ルビにグループルビ的方法で配置処理するのは,ある意味で便法ですが,便法は採用できるという道もあるいうことです.
> 
> グループルビ:複数の親文字にルビを対応させる.この配置方法は複数ある.複数の親文字は一体としたいが,その語構成では分割も考えられるので,その場合は分割してよい.
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> 熟語ルビ:原則として,親文字は複数であるが,親文字の1字ごとにルビを対応させる.これが原則で,この原則はできるだけ維持したい.したがって,親文字1字ごとに分割は可.しかし,1字の親文字に親文字サイズを超えるルビ文字列が付くケースがある.これをどうするかが問題で,方法は複数ある.もっとも簡単なのがグループルビに倣った処理またはモノルビの処理,もっとも複雑なのが,JLReqの附属書の“F 熟語ルビの配置方法”の方法.その中間的な処理もあり,処理法はかなり複雑である.この複雑な処理を様々に工夫していた.
> 
> ですので,熟語ルビの複雑な処理ができないケースが多いので,ケースにより,または考え方により,熟語ルビをモノルビで処理する,またはグループルビで処理するという現実はある.ただし,ルビを配置だけではなく,読み上げなど別の目的に処理する場合は,モノルビでは問題がでる可能性もある.
> 
> だからといって,熟語ルビをグループルビですべて処理するということは,現状では,問題が出るか,その主な問題は(簡便なルビ処理での範囲ではということ),1字の親文字に対応したルビ文字列の長さが,それぞれ親文字サイズ以下であり,その中に一部の親文字に対応したルビが1字の場合です.こうしたケースでもグループルビで処理したケースはありますが,多くはモノルビ的な処理です.
>  例:杞憂;きゆう  進化論;しんかろん
> 
> ですので,これを無視すれば(つまり簡便なルビ処理をさらに簡便にすればということ),熟語ルビは,すべてグループルビでよくなり,熟語ルビとグループルビは合体し,グループルビに分割可能な方法を取り入れるという方法は考えられないわけではありませんが,……
> 
> ですので,熟語ルビの複雑な処理が困難であるということで先送りするか,その処理が難しいので,簡便化をいっそう進めて取り込みやすくするか,ということです.
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> 熟語ルビの先送りまたは無視は,ある意味でやむをえないことであるが,熟語ルビという考え方は,なんらかの形で残しておく必要はあるように思います.

Received on Sunday, 17 July 2022 03:14:59 UTC