RE: web における和欧間スペース

みなさな

 小林 敏 です.

私が,和欧間スペースがフォントにもよる,というの,以下のように事情があるからです.

 1 活字組版では,常備された最小のスペースは四分であった.Webでは,四分以外の各種の値が可能である.ですから,四分アキという値は,技術的な制約からの値であり,必ずしも見た目のバランスのよさからたきた値ということは保証されていない.

 2 活字組版の書体(フォント)は,種類が多くなく,明朝体とゴシックが主であり,漢字と仮名の字形のバランスも,あまり大きな違いはなかった.Webでは,フォントの選択肢が増え,しかも文字の外枠に対する字形の占める割合も,違いのあるフォントが増えている.
 
 *今日では,仮名の字形が大きく,漢字と変わらない例が,主にゴシック体であり,こうしたフォントでは,和欧間スペースはベタでもバランスをそれほど損なわない例がある.

 3 和欧間スペースは,和欧文だけでなく,アラビア数字でも行われていた.ですので,和欧間スペースは,アラビア数字と漢字や仮名のアキも同時に考えていく必要がある.この和文と混植する活字組版のアラビア数字の字幅は,多くは二分であった.Webでは二分でないものが多くなっている.文字情報技術促進協議会の代表的な明朝体の見本帳(“文字のかたち”)で見ると,二分のものは“リュウミン”と“MS明朝”だけである.
https://moji.or.jp/wp-content/uploads/2020/08/mojinokatachi_minchotaihen.pdf

 
 *二分という字幅の場合,アラビア数字とのアキは四分とするのに,奇数桁では半端がでないという,ある種の合理性があった.

 4 和欧間スペースやアラビア数字とのアキは,その前後に配置する内容にもよるので,理想的には,それを考慮しないといけない.そのような細かく制御できるタイトルのような場合と,ある程度の妥協の結果として平均的な値で選んで処理する本文とがある.こうした状況でも,アキに対する考え方は異なってくる.
 
なお,JLReq-Dでデフォルトを決めることが可能なら,そうすればよいし,決められなければ,こうした考えがあるということを説明すればいいように思います.

いずれにしても,和文と欧文,アラビア数字との混植では,そのアキを考慮しなといけない,ということ,そして,それはどのように考えていけばよいかを説明することが大切なように思います.

Received on Monday, 11 July 2022 07:19:19 UTC