RE: 送りかアキか(再送)

> 次に,このモデルでは,各文字の基準位置を決めないといけません.基準位置は,決まっていれば(一定であれば),どこでもよいのですが,写植では仮想ボディの天地左右の中心(センター・センター方式という)と,仮想ボディの字送り方向の先頭,行送り方向の中心(トップ・センター方式という,縦組と横組で基準位置が変わる)がありました(ここは記憶ですので,文字の左右中央と天地中央で,縦横で変わらないであったかもしれない).

センター・センター方式とトップ・センター、センター・トップ方式が光学式手動写植機では用いられましたが、私はセンター・センター方式の手動機しか使ったことがありません。横組と縦組で共用できる利便性からセンター・センター方式が(写植の全盛期以後は)多く用いられたという記述が、『写真植字の15章』(大塚享、印刷学会出版部)にあり、また、写研の布施氏による『技術者たちの挑戦』(布施茂著、創英社/三省堂書店)には1955年のSK-3写植機以後、センター・センター方式に移行したという記述があります。しかし、小林さんが異級数の混植時の計算の煩雑さに触れられたように、デジタルフォントを使う環境では、センター・センター方式は計算が複雑になるだけで、ほとんど利点がないと考えます。トップ・センターとセンター・トップ方式が、動作のモデルとして考える上では良いのではないでしょうか。(ただし、和文のベースラインは、異級数揃えの揃え位置によって、全角の左/上、中心、右/下の位置が考えられますが)。

活字の場合でも、多くの場合、全角はボディ(body = 活字の胴体の縦方向の寸法)の大きさの正方形となり、その1/18を基準に字幅が設定され、欧文のベースラインの位置もそれぞれのボディの大きさに対して設定されました。日本の手動写植機の場合、たしかに、レンズによる縮小拡大率がリニアに設定されている写植機では、指定級数÷16級(モリサワの手動写植機の場合)が、縮小拡大率になりましたが、リニアでないレンズ系をもつ写植機の場合には、縮小拡大率で考えると、余計に話が難しくなったように記憶します。むしろ単純に指定級数=指定の文字サイズの正方形を全角として考える方が分かりやすいと思います。デジタルフォントの場合も同様ですが、写植の16級や17級に相当するマスターとなる全角の大きさはUPM(全角の単位数、例えば1,000とか2,048とか)で決まっているので、指定文字サイズ÷UPMが、指定サイズの全角の大きさのUPMとの比率となります。

山本
アドビ

Received on Wednesday, 6 October 2021 07:03:40 UTC