Re: JLReq TF Meeting notes draft フォント分科会 5/18

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

行長が短い利点は,親しみやすさ,読みやすさに影響があるのでしょう.もっと
も大きな理由は,段組にして行長が短いと行間を狭めることが可能になり,文字
収容字数が増やせるからということが大きいと思います.1行の字数が少ないと
文字サイズも小さくできます.雑誌では,例えば2段や3段は9ポイントとするが,
4段組では8ポイントにするといった例があります.

紙に印刷する場合,ページに収容する字数は原価に大きく影響します.Webでは,
そうした配慮は必要性が少ないので,ケースにもよりますが,ある程度は望まし
行長(1行に配置する字数)を考えていくことが大切のように思います.

ついでに段組に関連して,F.G.ケニオン著,高津春繁訳“古代の書物 ギリシ
ア・ローマの書物と読者"(岩波書店(岩波新書),1958年)に,以下のような
ことが書かれています.

巻子本(巻物)から冊子本に変わる段階で,冊子本には巻子本から写された痕跡
がある.それは段の幅の狭い3段組であったという.その後,経験をつむに従い,
段の幅が広くなった(つまり,1行の行長が長くなった).2段組になり,なかに
は1段組も出てきた.

日本語とは異なり,横組の巻子本は,段組で処理しないといけないので,それに
ならったようです.ですから,西洋の冊子本では,最初は段組であったようです.

  木田泰夫 さんwrote

>行が短いと、読みやすさか、美しさか、の妥協点が低くならざるを得ませんね。それ
>なのに、新聞はずっとそうですね。英語でも紙の新聞は両端揃えかつ行が短い。何か
>理由があるんでしょうかね。両端揃えは読みての慣れと紙面の節約、と想像がつくの
>ですが、行長の短いのはなぜなんでしょう。
>
>こう、時間の隙間にちょこっと読むような場合、行が長いと次の行を見つけるのが大
>変、とかそういう理由でしょうかね。
>
>木田

Received on Monday, 24 May 2021 03:56:17 UTC