Re: JLReq TF Meeting notes draft フォント分科会 5/18

敏先生ありがとうございます。

行末の不揃いは実は私はとても気になります。主に横書きです。行末が短いと、そこでパラグラフが切れているような気がしてしまうから、かも、しれません。それを考えると全角引っ込むのは私はあまり好きになれないように思いはするんですが…

> しかし,それは程度問題でもあり,新聞のように行
> 長が10字くらい,雑誌などの段組の20字くらい,書籍の1段組の35字(横組)や
> 40字(縦組)くらい,とで分けて考えることも必要になるでしょう.


行が短いと、読みやすさか、美しさか、の妥協点が低くならざるを得ませんね。それなのに、新聞はずっとそうですね。英語でも紙の新聞は両端揃えかつ行が短い。何か理由があるんでしょうかね。両端揃えは読みての慣れと紙面の節約、と想像がつくのですが、行長の短いのはなぜなんでしょう。

こう、時間の隙間にちょこっと読むような場合、行が長いと次の行を見つけるのが大変、とかそういう理由でしょうかね。

木田

> 2021/05/23 16:24、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> 木田泰夫 様
> みなさま
> 
>  小林 敏 です.
> 
> a 行末の句読点や括弧の後ろが二分アキの問題
> 
> これには,2つの意見がある.
> 
> 1 行頭は,そろっていないのは,誰でもが気が付く.これに対し,行末は,そ
> れほど注意していない(末尾は,あまり注視しないものである).句読点や括弧
> の後ろが二分アキであろうが,ベタであろうが気にならない.上下の関係である
> 縦組では,特にそうである(横組は左右であるので,けっこう気になる).この
> 考えからは,行末の句読点や括弧の後ろの二分アキを行の調整処理の最優先箇所
> とする考えがでてくる.
> 
> 2 いやいや,行末も行頭と同じで,気になるので,そろえるのであれば,きち
> んとそろえ,行末の句読点や括弧の後ろは二分アキでなく,ベタにすべき.(こ
> の考えに従い,段落の最終行を除いて,行末の句読点や括弧の後ろをベタにする
> 例は,書籍や雑誌の組版で,最近はけっこう見かけます.これはDTPで,この処
> 理が簡単に可能になったこともある.しかも,ある程度の行長があれば,二分の
> 字間の調整は,ほとんど気にならない.)
> 
> 私の考えは,気にしだすと,すごく気になるが,そのことに注意しないと,あま
> り気にならないのではないか.つまり組版の専門家は2の意見になりがちであろ
> うが,一般の人は1ではないかと思っている.
> 
> b 行末の全角アキの問題
> 
> 行頭・行末そろえを前提にした場合,一部の行の行末で全角アキになることを許
> 容できるか? この問題は,たぶん,許容できないだろう.前述の句読点などの
> 行末のアキは,句読点などは行中では全角を原則とするから問題がないのであっ
> て,仮名や漢字の後ろが全角アキになっていれば,たぶん,気が付く人はある程
> 度あるでしょう.
> 
> ただ,文末の?や!が行末に配置される場合,その後ろが全角アキになる場合と
> ベタになる場合がある.これは許容されている.また,分かち書きで,単語又は
> 文節間を全角アキにした場合も,行末で全角アキになる場合とベタになる場合が
> ある.これも許容されている.ただし,これは,行中で全角アキになっているか
> らであり,それは読者もわかっているからであろう.
> 
> c 調整で字間を空けることについて.
> 
> まず字間をどの程度,気にしているか? これも専門家と一般の読者では差異が
> あるように思っている.私は,字間がすこしでも乱れていると,ベタ組でない場
> 合,少しの量のツメ組でも,アキ組でも気なり,特にツメ組では,本を読むス
> ピードや,理解の程度に影響がある.
> 
> でも,一般の人は,例えば,活字組版で,行の調整処理で,全角の調整に四分で
> 4箇所を空けた場合でも,気づけない人がけっこういた(私も出版の仕事を開始
> した直後はそうであった).ましてや八分で8箇所を空けた場合は,多くの人が
> 気づかない(いまでは私は八分でも,ほぼ気が付く).ただし,行の一部だから
> 気づかないのであって,行の全部の字間の空いていれば,気づくことが多くなる
> だろう.
> 
> ですので,全角を調整するのに全部の字間を使って処理する場合,1行が20字く
> らいであっても(私は,通常の読書中でも気が付くが),一般の人は,まあ,気
> が付かないであろう.ましてや,1行が40字くらいであれば,私でも気が付かな
> い.ただ,40字あっても,全角半とか,2倍の調整を行うと,通常の読書中でも
> 気が付く.
> 
> ですので,字間の調整は,ある程度の範囲であれば,許されるのでは,と考えて
> いる.
> 
> 次に,字間を調整した場合,隣り合う行での2字目以降の文字位置がそろってい
> ない問題はどうだろうか? 書籍や雑誌の場合で,行中に欧字が入る,あるいは
> 約物が連続した場合,隣の行の文字位置はそろわなくなる.こうした例は,けっ
> こう多い.この問題は,1行の行長や行間の大きさにもよるかもしれないが,一
> 般的にいって,あまり気にならないと思われる.ですから,隣の行とで文字位置
> がそろっていないことが問題ではなく,字間が他の行と異なる,その程度が問題
> になるかと思います.
> 
> ですので,全角のリズムが周りの行と同じであることと,行末が揃っていること
> と、どちらが重要かという問題は,別にいえば,ベタ組を厳守すべきか,行末位
> 置を厳守すべきかという問題になり,“どちらも,そうしたい”が答えであり,
> その解決は矛盾しています.しかし,それは程度問題でもあり,新聞のように行
> 長が10字くらい,雑誌などの段組の20字くらい,書籍の1段組の35字(横組)や
> 40字(縦組)くらい,とで分けて考えることも必要になるでしょう.
> 
>  木田泰夫 さんwrote
> 
>>> 一行文字数が少ない場合にこれを許容しないときれいな組版が困難になるという役
>>> 割はあるかと思っています。
>> 
>> 
>> これなんですよね。美しい組版と、誰にでも読みやすい組版、本来は両方達成できれ
>> ば良いのですが、当然ながら食い違う場合もあって、そのバランスをどこに取るかと
>> いうことでしょうかね。英語でも単語を途中でちょん切ってハイフンを入れて行を折
>> り返すことがありますが、あれは誰にとっても読みにくい。けれど justification の
>> 美しさを達成するには仕方がない。それと似たケースですね。
>> 
>> 字間を広げるのが標準的なやり方ですが、ラグ組とまでは行かなくても、その一歩手
>> 前、その行だけは後ろに全角空いても構わない、としたらどんな組版になりますかね。
>> 行末に句読点が来るとどうせ二分引っ込むんですから、拗音で時々全角引っ込んでも
>> 程度問題、ってことはないかな。私はあの行末約物による不揃いは気になるのですが、
>> 気になりついでということで。全角のリズムが周りの行と同じであることと、行末が
>> 揃っていることと、どちらが重要なんでしょうね。
>> 
> 

Received on Sunday, 23 May 2021 14:00:31 UTC