Re: ルビ: 親文字とルビの二重読み

MURATA Makoto 様

   小林敏です

誤解は与えるのは最悪ですが,そうでない例でも,何が要求される
読みか,一義的に決まらない例がかなりあるように思います.ある
いは,一瞬,理解にとまどいがでる例もあるかと思います.これら
はどう考えたらいいのかな.まず,思いついた例は,送り仮名があ
る例です.ルビは〈〉で示す

の気持〈きも〉ちが → の きも  きも ち が
 と読むのかな?
 の きもち きも が

は利〈き〉けるが → は き き ける が
 それとも
         → は きける き が

つまり、ルビの付く語だけで限ってよむのか,それとも単語単位
か?
尾行〈つ〉けていく → つ つ けていく
 それとも     → つけていく つけていく
          → びこう つ けていく

次に カタカナのルビを付ける場合,その言葉をルビのように音に
出して読んでほしいのではなく,どちらかといえば,漢字は普通に
読んでもらい,付加情報としてカタカナのルビを付ける例もある.
この場合は,どう考えららよいのかな? また,漢字はどうよんで
ほしいのかな判断に迷う例もある.

平仮名のルビの例でも同じ問題があり,漢字は漢字の一般的な読み
か,それともルビの読み方か?
湯泉〈ゆ〉 ゆ ゆ
 または おんせん ゆ
これは,後の方で読んでほしい

例 校正刷〈ゲラ〉 → ゲラ ゲラ
 あるいは   → こうせいずり ゲラ
これも後の方がいいようだ?

かくあれかし〈アーメン〉 →かくあれかし アーメンは,2度読
みの意味はあるし,こうとしか読めない

複合語は,どう読むか?
 空襲〈くうしゅう〉警報〈けいほう〉
  → くうしゅう くうしゅう けいほう けいほう
  → くうしゅうけいほう くうしゅうけいほう

とりあえず思いついたものを示しましたが,これから,いろんな本
を読む際に注意するようにいたします.

MURATA Makoto さん wrote

> 皆さん、
> 
> ルビを読み上げのときにどう利用するかはさまざまの
> 選択肢があるわけですが、現実には最悪の選択が
> なされることが多いようです。それは、親文字を読み
> 上げ、ルビも読み上げるという選択です。
> 
> 両方読み上げられると理解不能になることがしば
> しばあります。どちらも同じ音になれば理解できます
> が、そういう場合だけでしょう。
> 
> 親文字とルビの両方を読み上げると意味が変わって
> しまうということもあります。以前、ルビタグ(Unicode)のとき
> の故樋浦さんからの検討資料には以下の例がありました
> (木田さん、小林さんも一緒に検討していましたよね?)。
> 
>           でわない
> 彼の名前は 出羽内 です -> 彼の名前は出羽内でわないです。
> His name is Dewanai.   -> His name is NOT Dewanai.
> 
> はむし
>  羽虫 です。           ->  羽虫はむしです。
> This is an insect.         Ignore the insects.
> 
>     はなし
> いい  話  ですよ。     ->  いい話はなしですよ。
> This is a good deal        There is no good deal
> 
> はなし
>   話  にならない       ->  話はなしにならない
> Nonsense!                  You have to deal with it.
> 
> 以下は、サイパックの工藤さんからいただいた情報です。
> 
> スクリーンリーダにDOMツリーを渡してくれないアプリだと、
> 二重読みを回避するのは困難です。
> 
> 逆に言えば、渡してくれればスクリーンリーダさえちゃんと作れば回避できま
> す。しかし、現状はそうではありません。iOSではVoiceOverはDOMツリーを
> 受け取れるようですが二重読みをします。これはAnddroidのTalkBackでも同じ
> だと聞いています。
> 
> というわけで、二重読みは駄目!という注意を喚起する
> 資料を急いで作るべきではないかと考えています。W3C, APL,
> DAISY, WAICなどが候補です。
> 
> 村田 真



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 小林 敏(toshi)  2020年 7月 6日
 e-mail: binn@k.email.ne.jp
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Received on Monday, 6 July 2020 07:02:09 UTC