Re: [jlreq-d] デジタルテキストにおける表の組版 (#36)

デジタルテキストにおける表の組版

(山口)表の罫線、日本は多めな気がするが、気のせいでしょうか?、それとも罫線を入れる/入れない基準がありますか?

binn:Webでは多いかもしれない.書籍では“不必要なケイは入れるな”というのが原則ですが,最近は多く入れている例も見掛ける.書籍の1つの考え方の例を出すと以下

binn:縦ケイは,項目区切りで入れる.ただし,表の最も左右(先頭と末尾)のケイは入れない.英語の本では,項目間を合う程度空けて,項目区切りの縦ケイは入れない方法もある.和文でも,これにならった例はあるが,それほど多くない.
横ケイは,先頭には入れる.次にヘッダー行が入るが,その後には入れる.
各項目を区切る横ケイは入れない.ただし,項目数が多くなり,ある程度のまとまり単位を区切る横ケイを入れる場合もある.
表の最末尾の横ケイは,入れる考え方と入れない考え方がある.最末尾の横ケイが入っていないと,“だらしなく見えるんだよね”という人もいる.
表組,特に数表組は,横に読むというよりは,縦に読むケースが多い.その際に項目を区切る横ケイはジャマになるので,入れないということでしょう.Webでも1行おきに色を付けた表がありますが,この表を縦向きに読む場合,1行おきに色を付けた行を追っていくのは,けっこう読みにくい.ですから,ケイの使用は,表を主にどちら向きに読んでいくかを考慮しないといけない.

(山口)この考え方は表のテキストが横組の場合という理解でよろしいでしょうか?表のテキストが縦組の場合は、この考え方を時計回りに90度回転して縦横入れ替えるのですね。こんな感じです20231030縦組みの表.pdf

binn:項目をどう配置するかは,ルールというか,経験で適当に配置します.たぶん,“20231030縦組みの表.pdf”にはしないでしょう.ところで,私が添付した“表の例2_1.pdf”は,縦組でも横組でも,このままの形式で使用します.つまり,縦組でも,表は数字が入る例が多く,このように横組の表にし,縦組では,天側(上側)の小口側(見開きの外側)に図版と同じように配置します.見本の“20231030縦組みの表.pdf”のようにはしないのが普通です.ただし,戦前には漢数字を使用し,見本のように縦組にした表も使用されていました.この形式であれば,段落間にも挿入できます.ただ,小さい表では,縦にした表は,私は,かなり前から,ほとんどというか,まったく見たことがありません.もっとも,年表や年譜のように数ページにわたるようなものは,縦組の本では,だいたい縦組にしています.

山口:スマホにとっては、たいていの表は大きな表になってしまいます。JLReq-dはスマホやスクロール操作を想定すると思いますが、JLReqはそれらを想定してないように読めます。JLReqは最低でもタブレットサイズの画面と、固定レイアウトのページめくり操作を想定しているようです。横組みの表を狭い画面からスクロールで読むと、ヘッダー列は最後に現れるし、ヘッダー行はお尻から見えてきます。「本文が縦組みでも表は数字が多いから横組が多い」ではなく、「本文が縦組みなら表も縦組みが自然だが数字/数表が厄介だ」ではないでしょうか。

山口:Wikipediaの源氏物語を元に、縦組みの例を2つ作ってみました。

山口:縦組みの中に縦組みの表を入ってる例
山口:縦組みの中に横組の表が入ってる例

山口:ちなみに、これらの例の表はHTMLのtable要素ですが、元の横組のHTMLのtable要素のママで、構造を変えていません。文章全体を縦組みに指定(body要素にwriting-mode:vertical-rl;を設定)するだけで、表は行列が転置してこのような縦組みになります。数表は横組みが読みやすいとなれば、個別に横組みに指定することになります。

binn:JLReqは,スクロールは前提にしていない固定レイアウトが前提ですが,jlreq-dでは,違ってきますので,かなり扱いは変わってくるでしょう.

binn:まず,ヘッダーの問題は,小さな表ではよいが,大きな表では,どこに表示するか,また,スクロールする場合,どのように表示するかが問題で,ヘッダーはスクロールしないで,固定する方法,あるいは,画面ごとに,複数表示などの工夫が必要でしょう.

binn:次に,アラビア数字の場合は,それほど長くならず,また,2行にできません.しかし,例の“源氏物語”の表のようにテキストが主な場合,まず,縦にするか横にするかは,アラビア数字とは別の考えが必要でしょう.そして,年譜とか年表は,縦組の本では,内容によりますが,縦組にする例が多い.さらに,コマ内でどのように折り返すかを考えないといけないように思います.で,こうした表の場合,字詰め方向の列の数がもっと多くなり,そうなると,各コマの字詰め方向の幅をどう設定するか問題になります.例では,折返しをしないで1行で表示していますが,書籍でこうした方を配置する場合,なんとか版面内に入るように字詰め方向の各列の幅を設定します.これが難しい.今ではExcelなどでシミュレーションできますが,昔は,えいやぁ!と適当に決めたものです(年表・年譜などでは年号・年齢など,まず決められる幅を決め,残りを他の列に適当に配分するようにしていた).それが変化するとなるとどうなるんでしょう.パーセントか何かで決めるなどにしないといけないが,年号・年齢などを固定し,残りをパーセントで配分するということも必要になる.

binn:その意味では,可変の世界で表を考えることは,表を図版的に考えるか(小さな表はこれですむようにも思うし,縦組でも横組でも表は横組にできる),そうでない場合,本文と同様にスクロールの対象にするか,さらに組方向,ヘッダーの扱い,字詰め方向の列の幅の決め方,ケイの用い方などを含めて,新たな発想を必要とするでしょう.

binn:特に数表組は,横に読むというよりは,縦に読むケースが多い.

(山口)これは、「何を列にして何を行にするか」の考え方とも読めそうです。例えば、添付していただいた「表の例2_1.pdf」でいうと、名称、寸法、面積が行見出しとして左端に縦に並んで、A列本版などが列見出しとして上端に横に並ぶ組み方はしないということでしょうか、こんな感じです表の行列の転置.pdf。
コンピューターのデータベースの世界で、属性を列、("A列本版","625☓880","0.550")といった属性の組合せを行と呼んだりしますが、表組みの考え方が先にあって、データベースの用語はそれを踏まえているのか。

binn:“何を列にして何を行にするか”ということでもありますが,数表組の場合,だいたい,“表の例2_1.pdf”のようにします.このような表で横に読んでいくと考えると,⑤のように横ケイを全部入れるという考えになる.たしかに横組で横に読むのだが,列単位で縦向きに数字を比較して読む場合が多いんだよ,となれば横ケイは不要になるんだよ,ということです.

binn:JLReqの“4.4.1表の構成”に図解して,横組を例に表の名称をつけたものを示していますので,参考にしてみてください.データベースとの関係はわかりません.また,属性というよりは,横組の表では,縦の列を“列”,横の列を“行”(横組の本では,“行”は左から右に横向きに配置します)と呼ぶようです.

binn:ご参考までに,だいぶ古い資料ですが,ケイの使い方,文字サイズ,行間をいろいろ組合せたPDFを添付いたします.
表の例2_1.pdf


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