Re: [jlreq] How to achieve spacing between Japanese and Latin characters, esp. in EPUB? (#280)

>・和文/欧文間にInDesign等では自動でスペースが入りますが、これはEPUB化のため
>にXHTMLにすると消えてしまいます。このため現状では場合によっては半角スペースを
>挿入するなどして見た目上のアキを作らなければならないことがあります。かなりの
>手間がかかりますので現場的には決して喜ばしい状況ではないです。これは本来組版
>的にはどうあるべきでしょうか。また、将来的に自動でアキが入る等の見通しはどう
>なっていますでしょうか。

問題はおっしゃるように,これは本来組版的にはどうあるべきか,組版処理はど
うするか(処理方法はどうなっているか,また,どうすべきか)の2つかと思い
ます.この問題は,和文の中にアラビア数字を挿入する場合にも同様な問題とし
て出てきます.以下では欧字とアラビア数字の両方を含めて考えてみます.

とりあえず,主に前者の本来組版的にはどうあるべきかについて,少しコメント
しておきます.

まず,活字組版ではどうであったか?

活字組版では,和文と欧文では,字詰め方向の仮想ボディに対する文字面の占め
る範囲が異なっていました.余白(サイドベアリング)が和文の方が文字にもよ
りますが,一般に大きかったのに対し,ベタ組で文字を並べた際に欧文は狭く,
かつ,一定の間隔に見えるように設計されていました.

したがって和文の中に欧字を挿入した場合,一般に和文と欧文の間が詰まってみ
えます.そこで,和欧文間を少し空ける組版処理が行われていました.この処理
は,個々の該当箇所にスペースを挿入していましたので,当然,不統一も発生し,
また,挿入する手間もかかりますので,スペースを挿入しないで,和欧文間をベ
タにする組版も,結構ありました.(見た目の体裁を重んじる書籍では,四分ア
キが好まれましたが,その書籍でもベタ組にした例はそれなりにありました.)

和欧文間のスペースの大きさは,一般に四分でしたが,二分とする方式もありま
した.四分とするのは,どこの印刷所にも準備されている最小のスペースが四分
だったという理由があります.(私の仕事していた時期には,八分スペース,1
ポイントスペース,さらに文字サイズによっては六分スペースもありましが,こ
れらは扱いがけっこう厄介で,和欧文間には用いられていませんでした.)

和欧文間を二分にするという考えは,例えば,複数の単語列が挿入された場合,
単語間は三分であるから,和欧文間は,それ以上の二分にした方がよいというこ
とのようです.

和欧文間を四分にするという考えは,欧文等が挿入される例としてはアラビア数
字が多かったという事情もありました.さらに,本文を明朝とした場合,その混
ぜ組に使用されるアラビア数字の字幅は,一般に二分でした(欧文の小文字でも
字幅が二分のものも多くありました).したがって,挿入されるアラビア数字が
奇数桁である場合は,前後に四分スペースを入れると,アキも含めて,そこに使
用される文字サイズの整数倍になります.つまり,行の調整処理を必要としない
ことになります(行の調整処理は活字組版で面倒な作業で,可能であれば避けた
事項でした).

ここで手動写真植字のこともすこし.手動写真植字では,行の調整処理は,活字
組版より,もっと作業が面倒でした.そこで,できるだけ行長に半端がでないよ
うに,アラビア数字の1桁は全角文字に,2桁は二分の字幅て前後ベタ組にしてい
た例もありました.(このように1桁に全角文字を用いる方法は,作業の簡便性
を目的とした処理なので,一般に使用するのは好ましくないでしょう).

ですから,和欧文間を四分にするという方法は,活字組版の種々の事情によるも
のの影響が強く,現在のように“行の調整処理”がそれほど面倒でないという中
では,その大きさは再検討される必要があるように思います.

挿入されるケースも,欧字の1文字,単語,複数の語,アラビア数字と様々です.
ではあるが,個々のケースで変えるのというのは簡単ではないので,一般原則を
決め,特に問題のある場合は,個別事情を考えるということになるでしょう.

また,フォントの設計も活字組版と現在は異なる事情があります.伝統的に活字
組版の文字の設計に準じたもの以外に,今日では,仮想ボディ一杯に設計したフ
ォントもあります(仮名も大きくした例もあります).仮想ボディ一杯に設計し
たフォントでは,組み合わせる欧文フォントにもよりますが,和欧文間をベタ組
にしても,その字間が狭い印象を与えない例もあります.

さらに,DTPなどでは和欧文間のアキ量を設定できる例があり,四分ではなく,
六分あるいは八分にした例もあります.30年ほど前ですが,一般的な明朝体でコ
ンピュータ組版で,和欧文間のアキを変えた見本組を作成し,何人かの編集者や
校正者,デザイナーに意見を聞いたことがありました.その反応としては,四分
ではなく,五分あるいは六分がよいと答えた数が多かったように記憶しています.
ですので,例にもよりますが四分は,ややアキ過ぎかもしれません.(見出しな
ど,特に文字サイズが大きくなると,四分アキは,あきらかにアキ過ぎの印象を
与えます.)

この和欧文間のアキ処理は,自動処理が望ましく,少なくとも四分アキとベタ組
が選択できる必要があるでしょう.さらに,アキ量の大きさもある範囲で選択で
きれば,なお良いでしょう.この和欧文間にスペースを挿入する方法は,便宜的
な方法としてはあるかもしれませんが,処理の方法が選択できないことになり,
できれば避けたい方法でしょう.


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