Re: CSSの提唱者ホーコン・ウィウム・リー氏の来日

アンテナハウスの村上です。

Junichi Niino <jniino2@gmail.com> wrote on 2010/05/06 14:42:19
> Publickeyの新野です。はじめまして。
> このところのCSSの縦書きなどの議論、興味深く拝見しています。
> 
> わたし自身は議論に参加できるほどの知識はないのですが、来週金曜日似、
> CSSの提唱者として知られるホーコン・ウィウム・リー氏がオペラのCTOとして来日されるそうです。
> 
> 「 Tomorrow’s Web Today ( 今日考える明日のウェブ ) 」 のご案内
> http://my.opera.com/chooseopera-Japan/blog/2010/04/21/tomorrow-s-web-today
> 
> オペラを宣伝するつもりは全然ないのですが、オペラはCSS WGに5名の人を送り込んでいる
> そうですし、おそらくリー氏もそれなりに発言力があるようにも思いますし、CSS WGやオペラ
> としての縦書きCSS実装について、もしかしたら議論できるチャンスかもしれないと思いまして。

このイベントに参加して、ホーコンさんと少し話をすることができました。
以下のような会話内容でした:

ホーコン:Antenna House Formatter が CSS3 GCPM (Generated Content for
Paged Media [1]) を実装してることはすばらしい。
Antenna House Formatter の CSS 組版機能は多く使われている?

村上:まだまだこれからです。

ホーコン:最近CSS3 GCPM仕様に加えたのは脚注を脚注領域内でインラインに
配置する機能だけれど、どう思う。

村上:必要な機能だと思うよ。CSSでは未実装だけど、我々のXSL-FO実装では
ユーザーからの要望があって独自拡張として実装している。

ホーコン:知ってる。Antenna HouseがCSS3 GCPMを実装することで、仕様完成に
貢献してくれるのがありがたい。

村上:私は今、電子書籍のEPUBの日本語対応の仕様策定に関わっているのだけれ
ど、電子書籍ビューワーというのはスクロールするものもあるけど大抵はページ
をめくる方式だよね。CSS3 Paged Media や CSS3 GCPM がいずれ役に立つように
なると思う。

ホーコン:同感だ。

村上:Operaに縦書きを実装することはありえる?

ホーコン:ない。日本の人達に聞いたが縦書きは要らないようだ。

村上:Webデザイナーたちは、横書きに馴染んでいるからね。でも、本を書く人
たちは縦書きを必要としているよ。だから電子書籍EPUBの縦書き対応のために、
CSSの縦書きの仕様 CSS3 Text Layout [2]が重要。
すべてのブラウザが縦書きをサポートする必要はないことは認める。
でも CSS3 Text Layout で定義する margin-before/after/start/end などの
論理プロパティは実装してほしい。
これらは縦書き用にデザインしたスタイルシートでも縦書き非対応のUAで
横書きで問題なく表示されるためのものだから。

ホーコン:それがないと互換性の問題が起きるということだね。
しかし、プロパティの数が増えすぎるのはあまりよくない。
スタイルシートのセレクタで縦書き用と横書き用のところを分けるのでだめか?

村上:いや、それではうまくいかない。

ホーコン:分かった。CSS3 Text Layoutドラフトをチェックして、後でコメント
しよう。

以上のような話をすることができました。
このような機会を設けていただいてありがたいです。

[1] http://dev.w3.org/csswg/css3-gcpm/
[2] http://dev.w3.org/csswg/css3-text-layout/

-- 
村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
http://twitter.com/MurakamiShinyu
Antenna House Formatter:
http://www.antenna.co.jp/AHF/
http://www.antennahouse.com

Received on Saturday, 15 May 2010 14:53:57 UTC