第6回SVG IG Japanミーティング議事録 - 2009年10月2日

皆様,

W3C/慶應の芦村です.

いつもお世話になっております.

10月日に開催されたミーティングの議事録をお送りいたしますので,
よろしくお願いいたします.

以上
よろしくお願いいたします.

Kazuyuki

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第6回 SVG IG Japan ミーティング

日時: 2009年10月2日 16:00-18:00
場所: 機械振興会館4F, データベース振興センター第3会議室

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参加者 (敬称略)
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JIPDEC 南
JIPDEC 高嶋
JIPDEC 川野
IPA 小林
Microsoft 五寳
KDDI 高木
インディゴ 松澤
SAL 佐々木 - オブザーバ
Mentor 峯 - オブザーバ
キヤノン 藤沢
W3C/慶應 芦村


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オブザーバ Mentor Graphics峯さんから
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SVG利用上の課題
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* IE+Adobe SVG Viewerでの表示
- 業務利用においては,IEでの使用が望ましいがネイティブサポートされてい
ない...

* IE6+Adobe SVG Viewerの問題
- パフォーマンスが悪い (遅い)
- 長期的なサポートの問題 (今後のIEではどうか)
- 日本語フォントの表示
- 大規模SVG表示時に不安定になる
- 印刷の問題

要望
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* 表示したままに印刷
- 印刷に関しては,標準化が止まっており,今のところブラウザ任せになって
  しまっている.

* 日本語を含む多言語フォントの表示
- Windows Vista上で日本語が表示できない (文字化けではなく,何もでない)
- そのため,現在は(SVGフォントによる)グリフを埋め込んでいるが面倒
- Adobe SVG Viewerのフォントの扱いが不適当???
- Google SVG WebやMap Toolkit等,他の実装系の利用も検討されたい.

* レンダリング順序の制御
- クライアント側で順序を制御したい (上書きで隠れる図があるため).
- SVG WGでも検討中だが,基本的には記述順に応じて上書きしていくもの.
- DOMツリー上で枝の順序を入れ替える方法は,現状のSVG DOM APIでも可能.

- アニメーションのような利用を考えると,動的に描画順序を入れ替えること
  が必要.
- Z-IndexについてはSVG WGで新機能として導入を検討している.


質問
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* <image> を利用したハイパーレイヤリングでのSVGへのDOMアクセス
- SVG Map Toolkitでは,SVG 1.1レベルのDOMにアクセス可能 (ただし隠しAPIかも)
- SVG仕様上はアクセスできるはず.

* IE9へのSVGネイティブ実装
- MSで検討中 (HTML5およびSVGサポート)

* SVG Map Toolkit正式リリース
- 今日はSECさんが不参加なので詳しくは不明
- 4月から,三重県のGISサービスを提供している
- Map Toolkitの公開は,SVG Map Consortiumの事情で一時的に停止中
- 年内には再開したい.
- 非営利な利用には自由に使用可能となるはず.
- 営利的な利用には別途応談.
- Tiling & Layeringという位置づけで,地図利用も想定した作り.



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FIT2009報告 (芦村)
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* 9/2-4の3日間,仙台の東北工業大学にて開催されたFIT2009に参加
FIT2009ページ: http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/

* 9/4(土),「マルチモーダルWeb」に関するW3C主催のパネルセッションを開催
W3Cセッション資料:
http://www.w3.org/2009/Talks/0904-fit2009/multimodal-web-ka/

* HTML5, SVG等を含めた,様々なモダリティのWebアプリケーションにおける統
合化について検討.今後の課題を洗い出した.


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SVG Open (藤沢)
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* 2009年10月2-4日,Mountain View (USA) のGoogleキャンパスにて開催
- HTML5への関心の高まりの影響か,今回は参加登録者が急増

* 話題
- GoogleのSVG Web, Chrome Frame
- HTML5におけるSVGサポート


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SVG Web/Chrome Frame - GoogleによるSVG表示の取り組み (藤沢)
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* Google SVG Web http://code.google.com/p/svgweb/
- Adobe Flashの描画エンジンを利用
- SVG基本描画, SMILアニメ, SVGフォント, ビデオ, オーディオ, DOM API ス
  クリプトをサポート

- ただしSVGの解釈はActionScriptでおこなっているので,地図表示など大きな
  サイズのSVGデータでは十分なパフォーマンスが得られない可能性がある。

* Google Chrome Frame http://code.google.com/chrome/chromeframe/
- IEをChrome化するプラグイン (10MB)
- SVGに対応して,HTMLとJavaScriptの処理速度が大幅に向上

- インストールすると,特定のメタ要素が記述されたHTMLファイルがChromeの描
  画エンジンで描画されるようになる.
- URLの先頭に"cf:"を付加すると,そのコンテンツがChromeの描画エンジンで
  表示される.
- IE6にも対応 (ただし,ChromeはWindows XP以降でないとインストールできない?).


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IPAフォントプロジェクトとSVGフォント (小林)
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IPAにとってのSVGフォントの位置づけ
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* オープンでフリーなフォントとして,IPAフォント(オープンソフトウェアセ
ンター)をリリースした.
- 一方,SVGフォントについては,以下の二つの外字ソリューションのうちの一
つとして検討を進めている.

ソリューション1: IVS (Ideographic Variation Sequence)
=> キャラクタコードを持つ異体字同士の判別のため

ソリューション2: SVGフォント
=> キャラクタコードを持たない外字の表現のため

* ただし,上記の二つの外字ソリューションの取り組みを同時にやると,本来,
メインストリームであるIVSよりも,エラー処理の位置づけ(キャラクタコー
ドのない字(quasi-character)のため)のSVGフォントが流行ってしまう可能性
があり,IPA内では,「SVGフォント対応は後回しにするべき」という判断が
ある.
- 一方で,文字の位置を適宜制御するためには,メタ情報を扱えるSVGフォント
の方が都合がよい.

* 以下のような質疑,コメント等があったが,SVGフォントの詳細な扱いについ
て,今後引き続き,SVG IG Japanで議論していくことにする.


質疑
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* SVGフォントによるグリフデータは,IPAのフォントデータベースへ登録しさ
れるのか? それを通して,一つ一つのグリフとしてだけでなく,Web上で利
用可能なフォントセットとしてアクセスすることは可能か?
- SVGフォントをIPAが提供することも,TrueType等のフォーマットから変換し
て提供することも可能.

* 外字フォントとしては明朝体しか提供されない場合,本文がゴシック体だと,
混在してしまうのでは?
- フォントファミリーの分類をSVGフォントに指定できるとよいかもしれない.
- SVGの仕組みで,太さや文字端の処理は制御できるが.
- 文字をパーツから再構成するような取り組みもあったが成功していない.や
はり,違う書体は両方用意するべき.ただし,フォントファミリーを指定で
きるとよい.


その他コメント
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* HTML5では,<image>タグでグリフ記述のSVGを参照できる.
- さらに,今後は,SVGフォント自体をHTML5内に<script>で直接記述できるよ
うになっていく.


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SVG JIS化の状況 (JIPDEC 高嶋)
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* 本日10月2日,第一回のJIS化委員会を開催した.

* 「SIVG Tiny1.2」および「SVG MapProfile (SVGにおける地図の表現及びサー
ビス)」を個別にJIS規格化
- まず,「SVG MapProfile (SVGにおける地図の表現及びサービス)」のJIS原案
を作成.現状では,40ページ程度の仕様書.
- 10月から12月に渡って,JIS化委員会の各委員よりコメントを受け,修正して
いく.


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Tiling and Layering Moduleの状況 (KDDI 高木)
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* 「SVG MapProfile」の日本語ドラフト仕様文書を公開中.
http://blog.svg-map.com/2009/09/svg-tiny-12svg-.html

* タイトルは,「Tiling and Layering Module for SVG Tiny 1.2」でなく,
「SVG Tiling and Layering」とする.

* <globalCoordinateSystem> の 'srsName' 属性は,この名称でよいか?
- GMLとの互換性を意識して "srs" としているが,本来 "Spacial Reference"
の意味なので,地理情報以外への利用にはあまり妥当でないかもしれない.


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「SVG Tiling and Layering」の公開方法
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* IGからWGへ提案し,WG側でWDとして公開していく.
- 藤沢の方で,JIS原案の日本語仕様書を(日本語のまま)W3C WD形式にした文書
を作成完了.
- 10月中に英語版をW3Cサイトにアップして,11月のTPAC(W3Cの技術総会)で
HTM5およびSVG関係者に紹介.

* 英語版は,いつ,どう作成するか?
- Map Profileの英語版はあるが,現在のJIS原案とは整合が取れていない.
- 現状の「SVG Tiling and Layering」およびJIS原案にもとづき,英語版を更
新する.
- 後ほど,最終的なJIS原案とのすり合わせも再確認する.
=> 2009年11月(TPAC)をめどに第一案を作りたい.
=> 具体的な作成方針は,引き続き検討

* レビューにあたっては,本会議の参加者以外の協力も仰ぎたい.
- 基本的には,公開前の文書はW3C会員のみ閲覧可能だが,SVG WG議長の判断に
より,一般公開も可能と思われる.

* その他「SVG Tiling and Layering」仕様に関する検討課題

- HTMLにSVGをインライン記述する方式への対応可否

- (コンテナSVGは利用せずに)HTMLをコンテナファイルとしてimg要素でインポー
トSVGファイルを参照する方式への対応可否の検討

- 伸縮やスクロールなど,SVGソフトウェア用の標準的なUIは定義されるか?
= WebAppsでAPIは定義されているが...


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TPAC 2009 (W3C 芦村)
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TPACページ: http://www.w3.org/2009/11/TPAC/
Developer Gatheringについて:
http://www.w3.org/QA/2009/09/first_ever_developer_gathering

* 11月2-6日,Santa Clara Marriottにて開催.
- 技術総会(TP), 会員総会(AC)およびWG会議を併催

* 11月5日のTechnical Plenaryの中で,Web技術者を集めた会議 (Developer
Gathering) も行われる.
- 日本での開催も検討して欲しい.


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今後と次回会議
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* SVG Tiling and Layering
- W3Cドラフト形式にしたJIS原案文書を公開.それをベースにレビュー.

* 検討課題
- HTML5との兼ね合いについて,W3CのMike Smithを含めて議論
- SVG Web/Chorme Frame環境への対応可能性
- SVG外字ソリューションの検討

* 次回会議
- 2009年12月〜2010年1月を想定 (JIS委員会と同日)
- 16:00-18:00 機械振興会館4階 JIPDEC 第三会議室を予定


以上

Received on Tuesday, 13 October 2009 13:56:43 UTC