第5回SVG IG Japanミーティング議事録 - 2009年7月3日

皆様,

W3C/慶應の芦村です.

いつもお世話になっております.

7月3日に開催されたミーティングの議事録をお送りいたしますので,
よろしくお願いいたします.

以上
よろしくお願いいたします.

Kazuyuki

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第5回 SVG IG Japan会議

日時: 2009年7月3日 15:00-17:00
場所: 機械振興会館

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出席者 (敬称略)
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Microsoft 五寳
SEC 湖海
インディゴ 松澤
JIPDEC 南
JIPDEC 高嶋
JIPDEC 須永
キヤノン 藤沢
KDDI 高木
W3C/慶應 一色
W3C/慶應 芦村 - 議事録


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1. SVG Parametersドラフト公開
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* 6/6に最新版を公開: http://www.w3.org/TR/SVGParam

* スクリプトを使わずに,宣言的に変数を実現
* HTMLにも適用可能 (プロパティ扱い)

記述例:
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[HTML]
[[
<object type="image/svg+xml" data="button.svg">
  <param name="color" value="green />
  <param name="label" value="Start" />
</object>
]]

[SVG]
[[
<rect x="10" y="10" width="80" height="20" fill="param(color) red" />
<text x="20" y="20" content-value="param(label) Untitled" />
]]

※content-valueアトリビュート,およびその値としてのparamによる変数指定


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2. SVG JIS規格化の最新状況 - JIPDEC
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* 5/28にJIS規格化に関するヒアリングが開催された (METI, JSA, JIPDEC).

* METIからいくつかのコメントがあった.

  コメント1: MAP ProfileとTiny 1.2を同時にJIS化
  - JIS規格書から参照するのはJISが好ましいため

  コメント2: SVG Tiny 1.2のJIS化対象範囲を,Map Profileが参照する部分に限定
  - 規格作成が迅速に行なえるため

=> SVG IG Japanで議論の上で回答

* JIPDECスケジュール案:
- 2010年8月から事業開始 ... 要確認

議論:
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高木:
リソースの問題はいかんともしがたいが,SVG Tiny 1.2は,一つの完成された
仕様書であるため,Map Profile関連部分に限定するのでなく,SVG Tiny 1.2全
体のJIS化が目標として妥当と考える.

ただし,中間過程としては,いくつかに作業を分けて取り組むのがよいかもし
れない.

H23年には部分的に完成し,H24年には追補を含め全体がJIS化されるのがよいと
思う.

藤沢:
「Map Profileが参照している部分」の定義は難しい.

Map ProfileはSVGの1モジュールとして捉えられるので,関連部分の切り分けは
難しい.

高嶋:
高木さんのおっしゃるように,優先度の高い部分から取り組むのはどうか.

藤沢:
その点は賛成できるが,「Map Profileが参照する部分」のみを取り出すのは難
しい.

高木:
利用頻度が少ない機能はあるが,「関連のない機能」というのは考えにくい.
優先度の高いものから取り組むことは妥当と思われるが,優先度が低いからと
いって,Map Profileで利用されない,ということにはならない.

芦村:
SVG IG Japanがお手伝いできる部分もあるのではないか.

藤沢:
ただし,JISの形式に合わせる部分はSVG IG Japan側でお手伝いするのは難しい
かもしれない.

高嶋:
JIPDEC内で,JIS形式に翻訳する担当者のリソースが不足しているという問題が
ある.内容のチェック等,レビューをIG Japanで手伝ってもらえると助かる.

高木:
JIS文書作成に慣れている外部のライタに委託するという手もある.利用可能性
について確認してみる.

ところで,JIPDECとしては,H23年中にJIS本体を出し,H24年は追補版で補完す
る計画と理解しているがよいか.

高嶋:
そう考えている.Map Profileを先行してH23年中にJIS化したい.

藤沢:
資料5ページのスケジュールでは,Map Profileが完了してから,Tiny本体に取
りかかることになっているが,並列で進めることができれば,作業に余裕がで
き,対象範囲を限定する必要がなくなるのではないか.

高嶋:
JIPDECでのマンパワーの不足により,作業を並列で進められない事情がある.
IG Japanの協力があれば,Tiny本体の作業を前倒して,Map Profileと並行して
進められるかもしれない.

高木:
Map Profile自体は小さな仕様でもあるし,こちらにも協力すれば,さらに作業
を早く完了できる可能性がある.

藤沢:
IG Japanに期待される作業は,具体的にはどのようなものになるか.

現時点の理解では,翻訳業者がW3C文書をJIS向け日本語文書に翻訳した結果を,
再度技術的観点から確認する,ということか.

高嶋:
JIS文書にする際の注意点は,主に文末の表現(shall/may等)であり,JIS化する
前の日本語化文書を確認してもらうのがよいと考えられる.

藤沢:
例えば,Tiny 1.2の翻訳結果が600ページ程度として,一人あたり100ページ程
度を分担することになるが,レビューの分担は可能か.

高嶋:
レビュー作業期間は,2009年末から2010年3-4月程度と考えられる.

全体意見:
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レビューをIG Japanで担当することは妥当だと考えられる.

高木:
民間側からは早期のJIS化が望まれているようだが,SVG Map (Tiling &
Layering) のJIS案をH21年度中に完成させることで,JIS化をH22年度に前倒し
することも可能なのではないか.

ただし,優先順位をつけたとしても,SVG本体のJIS案に関してはH21中に完成さ
せることは困難と思われるため,SVG Tiny本体とMap Profileの同時JIS化はで
きなくなるが.

ACTION:
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高嶋 - METIと再確認し,結果を次回IG Japan会議で報告する.

高嶋:
IG Japanの協力のもとに,Map Profileを早く完了できれば,JIS化委員会の開
催を早めてJIS原案を確定し,JISCに早く審議依頼することもできるかもしれな
い.

五寳:
原案を外部の者が参照することは可能か.

高嶋:
一般公開はされていないが,JIS化委員は参照可能.また,今後,IG Japanの議
題にも挙がると考えられる.


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3. FIT2009フォーラムでのW3Cイベント - 芦村
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* 開催概要
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/
- 2009年9月2-4日
- 東北工業大学 八木山キャンパス

* マルチモーダルWebに関するパネルセッション
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/event_D-02.html
  1. 講演 (芦村,荒木,藤沢,高木)
  2. パネル討論 (芦村,荒木,桂田,藤沢,高木,五寳)


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4. SVG Open 2009の準備状況
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* 開催概要
- 2009年10月2-4日
- Googleキャンパス@Mountain View, USA

* 進捗状況
- 基調講演: Sam Ruby (IBM), Brad Neuberg (Google)
- 論文審査: 88件のエントリ, Lightning Talkで対応する部分もあり


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5. Google SVG Webプロジェクト
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* 概要
- IEのSVG対応用JavaScriptツールキット
- SVG Open 2009の基調講演で発表予定
- 基本描画機能, SMILアニメーション, SVGフォント, ビデオ, オーディオ,
  DOM APIスクリプティング
- Flashの描画エンジン(60KB)

* SVG Webプロジェクトサイト
- http://code.google.com/p/svgweb/
- 想定される適用先: Wikipediaとwhitehouse.gove


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6. IE8の状況 - 五寳
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* IE8 では、ユーザーフィードバックなどからSVG 搭載のリクエストは受けて
  いたが、残念ながら当時の様々な要因によって、SVG機能はIE8には実装され
  なかった.

* 次期IEでの実装を目指して,Betaリリースに先立つプランニング時点でのス
  ペックレビューができるように米国へ働きかけているので、実現できたら協
  力をお願いしたい.

* SVG WG/IGとの協調を取り,その枠組の中にIG Japanが含まれるのが望ましい.


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7. その他,SVGの実装状況に関する議論
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藤沢:
HTML5およびSVGの実装を想定?

藤沢:
IE以外での状況は?

高木:
携帯業界ではWebkitの影響が高い.

芦村:
MozillaのFennecはどうか?

須永:
インタフェールはモバイル対応になってきているようだが,本格的なモバイル
向けブラウザではないようにも思う.

高木:
「IEで対応されていれば,他のブラウザには拘泥しない」というユーザも多い.

Map ProfileがIEでサポートされていれば,政府機関,自治体等での利用に関す
る障害は非常に少なくなるように思われる.


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8. SVG Map Profile ツールキットの問題 - 湖海, 高木
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* IE用のプラグイン(ActiveX)が,3月31日をもって動作しなくなってしまった.
- 3年計画で取り組んでいた契約が切れてしまった.
- 改めて,7月じゅうをメドに更新モジュールを配布していく予定.

* H24のJIS公開を目指す活動にあたっても,SVG Viewer実装のために本ツール
  キットの公開継続は必要と考えられる.


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9. IPAフォント開発ツールとSVG - 藤沢 for 小林
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* SVGフォントワークショップが開催された. (6月26日)
- 小林さんからの報告を待つ.

* Webベースで,異体字や外字のグリフを独立したリソースとして参照・表示す
  るSVG外字ソリューションの構想もある.

* コミュニティによるIPAフォント拡充活動を支援するための,フォント開発環
  境を整備予定

* SVGグリフデータ記述仕様の検討:
- グリフデータ記述仕様案 (現在の案): SVG仕様に非準拠...
[[
<svg>
  <fontface font-family="IPAMincho">
   <gliph glyph-name="GID13135"/>
  </fontface>
  <g>
    <path d="グリフのパス"/>
  </g>
</svg>
]]

- 改良案: SVG仕様に準拠
[GID13135.svg]
[[
<svg>
  <defs><font>
    <font-face font-family="IPAMincho"/>
    <glyph unicode="GID13135" glyph-name="GID13135" id="グリフのパス"/>
  </font></defs>
  <text font-family="IPAMincho">GID13135</text>
</svg>
]]

[html]
[[
<html>
  <body>
    <p>テキスト<embed src="GID13135.svg"/></p>
  </body>
</html>
]]

高木:
複数のフォントを一つのグリフ定義SVGファイル内で定義し,フラグメントとし
てアクセスすることも可能か?

藤沢:
その方がエレガントだと思われるが,IPA側から,一フォント一SVGグリフファ
イルで定義したいという要望がある.

さらに,SVGフォントで指定した文字と,周囲の文字とのレイアウトの一貫性に
関する問題もある.

五寳:
ページ全体の拡大/縮小機能と,文字フォントのみの拡大/縮小の機能は,どち
らが有用か.両方とも有用か.

藤沢:
利用するPC環境(ディスプレイのサイズ)にも依存すると思われる.


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10. 今後の活動について
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10.1 SVG Tiling and Layeringの検討
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藤沢:
W3C Draft形式にしたSVG Map Profileの英文仕様書に,SVG IG Japanで議論し
た内容を反映させ,近日中にアップロードする.

それにもとづき,今後レビューを行なう.


10.2 その他,今後の検討課題
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- SVG外字ソリューション
- HTML5におけるSVG利用


10.3 HTMLとSVGの兼ね合いについて
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芦村:
SVGとHTML5の兼ね合いについては,W3C内で,担当のMike Smith (HTML5) およ
びDoug Schepers (SVG) を含めて方針を確認した上で,次回ミーティングには
Mikeを参加させることも検討したい.


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11. W3Cイベント案内
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一色:
W3C/慶應では,以下のイベントを企画しているので,ぜひご参加願いたい.

7/10-11: オープンソースカンファレンス関西 (http://www.ospn.jp/osc2009-kansai/)

7/24: W3Cフォーラム横浜 (http://www.w3.org/2009/07/w3c-forum-yokohama-20090724.pdf)

9/2-4: FIT2009 (http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/index.html)
特に,W3Cイベント (http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/event_D-02.html)


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12. 次回ミーティング
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* 2009年10月16 (金) 15:00-17:00
* JIPDEC 4F 第3会議室


以上

Received on Thursday, 9 July 2009 07:30:26 UTC