RE: ラテン文字のボディの大きさ

またしてコメントいたします。



> ラテン文字とアラビア数字の全角文字の字形には,以下の2つが考えられます.

> A プロポーショナルな文字の字形を流用する

> B 全角ボディに合うように,プロポーショナルな文字でなく,新たにデザインする

>

>このAなりBのラテン文字とアラビア数字の全角文字を横組で使用し,かつ,OpenTypeの“palt”の機能を利用すれば,プロポーショナルな配置は可能になると考えてよいですか.



そのようになるように、'palt'のオフセット値を設定すれば可能です。ただし、それらの文字は全角文字と同じ文字コードからしかアクセスできません。また、アプリケーションは'palt'に対応している必要があります。そして、その場合でも、'palt'はデフォルトでは有効にはなりません。実際に、全角英数字に'palt'を適用しているフォントは存在します(例えば源ノ明朝がありますが、プロポーショナルとは字形が異なり、全角での使用に合わせて幅広に作られています)。



> 次にAの場合で“palt”を選んだ場合,たぶん,ラテン文字とアラビア数字の字幅は,そのフォントに付属しているプロポーショナルな文字の字幅を流用していると考えられます.ということは,横組で,Aで“palt”を選んだ場合,フォントに付属しているプロポーショナルなラテン文字とアラビア数字と同様な配置になると考えてよいですか.



個々のグリフの字幅についてはプロポーショナルのものと同じになりますが、その点以外については、文字の配置(特にスペーシングについては)同じにはならないと推測します*。なぜなら、全角の欧文と数字は、プロポーショナルの欧文と数字とは異なる文字コードを持ち、異なるUnicodeのブロックにあるため、本来組版ソフトウェアが想定する欧文・数字の文字とは認識されないからです。これは和文の中で記号的に用いる全角英数字の用途を考えると、妥当と考えます。



なお、上述では、文字を指定することはできるが、グリフを直接指定することはできない、できてもしないということを前提に説明しました。



山本

―――

*

ただし、Adobe-Japan1のようにフォントの外側でグリフに対応するIDとグリフとの対応関係を一意に定義しているグリフ集合を前提として、グリフクラス間の前後関係でスペーシングを実装している場合(これは、InDesignの場合には、環境設定/組版のCIDベースの文字組みに相当)には、文字コードに依存せずにグリフのクラスを特定できるために、ここで述べたようにはならない可能性があります。ただし、グリフの配置とスペーシングはグリフクラスの定義及びそれ以外の要因によっても影響されるため、その場合でも、プロポーショナルのグリフと同じ配列になるとは言い切れませんが……。

Received on Friday, 11 July 2025 05:31:07 UTC