標準字面の漢字

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

標準字面の漢字については,以下の本では,次のようになっています.明朝体の場合であり,また,これが一般的に妥当するかどうかはわかりませんが,参考になるかと思います.

鳥海修著“明朝体の教室 日本で150年の歴史を持つ明朝体はどのようにデザインされているのか”(Book & Design,2024.1)
だいぶ前に読んだ本ですが,文字をデザインする際にどんなことを考えて作業しているかが分かり,面白く読んだ記憶があります.

まず,文字をデザインする場合,以下の枠を設定する.

仮想ボディ(100%)>最大字面(96%)>標準字面A(93%)>標準字面B(82%)
我々が問題にしている枠としての標準字面は“標準字面A”のようです.()内の数値は,“游明朝体”の場合の数値です.参考までに“ひらがな標準字面”は83%,“カタカナ標準字面”は82%となっています.

まず“標準字面A”の天地サイズを決める文字として“東”を決める.ですから,“東”は,天地サイズに限れば,標準字面の候補になります.ちなみに“永”も,天地サイズに限れば標準字面Aとするとの説明にありますから,天地サイズに限れば,標準字面の候補になります.(ということは,標準字面A=標準字面と考えた場合,実際にデザインされた全部の漢字の数値を計測し,それの平均をとったものではなく,デザインする際の最初に決める数値ということになるのかな? そこはわかりません.)

ただし,左右サイズは“東”も“永”も,最大字面にするとの説明があるので,左右サイズについていえば,標準字面Aよりはみ出します.

図版をみた限りでは,“範”や“家”の字が,天地左右ともに標準字面Aの枠に接しています.

以上です.

Received on Wednesday, 29 January 2025 04:46:45 UTC