Re: 行頭約物

田嶋です。

行頭字下げをしない場合の追加例ですが、(別行にするパターンの)引用文が入った直後の段落を段落字下げせずに記述し、引用文を含む全体をひとつのまとまりとして示す、というようなケースはあります。


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 田嶋 淳
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> 2023/10/18 7:59、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> Koji Ishii 様
> 
>  小林 敏 です.
> 
>  Koji Ishii さんwrote
> 
>> 段落の先頭行を全角下がりとしない場合、つまり例えばこのメールで敏先生や私が書いているような体裁において、行頭約物をどうするべきか、という議論は、書籍組版では行われたのでしょうか?
> 
>> そのような体裁は、書籍組版においては稀であり、標準的なパターンが存在しないものなのでしょうか?
> 
> ここでは,上の質問に答えるとともに,例外状況についてまとめておきます.
> 
> 1 段落先頭行について字下げしない場合はあります.それは英語にならって,ドキュメントの先頭及び見出し直後の段落に限り字下げしないというものです.この場合,前のメールのaであれば二分下ガリ,dとeであれば天付きとなる.
> 
> 2 上の考えをさらに拡張して,すべての段落の先頭行を字下げしない書籍の例はあります.ただし,最近はあまり,1を含めて見なくなった.この場合,二分下ガリか天付きかは,よくわからないが,下げたくないという意思を考えれば,天付きかな.
> 
> 3 Webでは,段落の区別に1行アキとする例が多い.私の経験からは,この方法でも結構,段落先頭行について字下げしている例は多い(慣習の力は大きいですね).この1行アキとする場合は,段落先頭行について字下げしなくてもよいので,そうした例もけっこうある.この場合は,aもd(eも結果は同じ)もありえる.つまり折返しだけが問題で,二分下ガリと天付きと2つの方針が考えられる.
> 
> 4 見出し(主に1行ドリで前は1行アキ,又は空けない小見出し)は,字下げする場合と1字下げにする方法がある.1字下げで括弧が行頭にある場合,eであっても全角下ガリ,aでも全角下ガリかな(覚えていないが,理屈からはこうなる).ですので,eの場合,小見出しと本文の両方に括弧があると,位置がそろわない(けっこう,この例は見掛ける).
> 
> あと,細かい話ですが,小見出しのサイズは本文と異なる例がある(本文が明朝で,小見出しをゴシックにすると,本文9ポで小見出し8ポとする例は書籍では多い,最近は大きくする例も見かける).この場合の1字(全角)の基準は見出しの文字サイズではなく,本文の文字サイズです.縦組でいえば横並びをそろえるためです.ですので,この小見出しの字下げは,行頭の括弧の処理というよりは,字下げの問題ともいえる.
> 
> 小見出しを字下げしない場合は,たぶん括弧も字下げしない,aであっても,天付きにするのではないかな(最近は,この例は見ないので,よくわからない).
> 
> 5 引用文を挿入する方法は,括弧をつけて行中に挿入する方法と,段落をかえて(別行)にして示す方法がある.この別行で引用を示す場合,引用文を括弧でくくる方法がある(最近は,括弧でくくる方法は少なくなっているように感じている).この別行の引用では,本文がa又はdであっても,eと同じとする方法が一般的です.つまり二分下げにする.
> 
> 6 注番号を括弧でくくる方法がある.この場合は,段落先頭を字下げしないで,逆に2行目以下を字下げする.こうした場合,行頭の括弧は天付きが普通.つまり,aであっても天付き.
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> まだあるかな,まあ,このように冒頭の括弧は,けっこうめんどう.
> 
> ある意味,ここまで全て自動で処理しようと考える必要はないと思う.ある程度は問題箇所ごとの指定は必要になるでしょう.ですので,必要なことは,個別箇所で,こうした例外が指定できる方法が何かあればいいということになるかと思います.

Received on Tuesday, 17 October 2023 23:48:30 UTC