Re: web における和欧間スペース

小形 克宏 様

 小林 敏 です.

結論をいえば,ここで議論している人の間では,どの文字の組合せかという不一致はない,といってよいでしょう.“ワードスペース”という用語が出てきますが,それは問題を考えるための参照であり,あくまで問題は和欧間スペースです.そして,あくまで,ここで考えている処理は,字と字の組合せが問題であり,言葉と言葉の間の字間ではない.1語の中に仮名や漢字とラテン文字の組合せがを含んでいようが,その1語の中のラテン文字と和字との間隔も和欧間スペースの対象となる.

ところで,JLReqでは,字間は,基本的な事項は解説していますが,あらゆる字間を言葉では説明していません.これはJIS X 4051でも同様です.

では,どこで説明しているか? それは,文字クラスの定義と,その定義された文字クラスの組合せを表にしたもので示しています.JIS X 4051では,表5,JLReqでは“附属書B 文字間の空き量”です.

表にしたがって,代表的な字間を以下に示す.

プロポーショナルのラテン文字
 ラテン文字とラテン文字の字間 ベタ
 ラテン文字と仮名又は漢字の字間 四分
 *ラテン文字の単語とラテン単語の字間は,JIS X 4051でも,JLReqでも表に示していない.それは欧文語間(欧文スペース)を入れ,そのアキに従うということです.
 なお,欧文語間とラテン文字または漢字や仮名の字間は,表によればベタですので,以下の例の場合,“は”と“C”は四分アキ,“e”と“o”は語間スペースのサイズ,“e”と“で”は,四分アキ
 船はCape of Good Hopeで……

全角のラテン文字は,漢字と同じ扱い,したがって,漢字や仮名と全角のラテン文字との字間はベタ

したがって,
Tシャツ → Tがプロポーショナルの場合,“T”と“シ”は四分アキ,全角または縦組の縦中横ではベタ

NTTドコモ → プロポーショナルでも全角でも,“N”と“T”,“T”と“T”の字間はベタ,“T”と“ド”の字間は,プロポーショナルなら四分,全角または,縦組で縦向きにした場合はベタ
 *なお,縦組で,プロポーショナルの文字を縦向きにした場合,仮名や漢字との字間はベタであるが,これはJIS X 4051でも,JLReqでも明示的に説明していない.当時は,そうした処理が一般的でなかったからです.機会があったら,どこかに記述したいとは思っている.

したがって,ラテン文字1字の場合,単語の場合,複数の単語の場合,漢字や仮名との字間は別にしたいという考えも出てくる.もっといえば,言葉の構成,さらに仮名や漢字,ラテン文字の字形も考慮してとなれば,もっと複雑になる(ラテン文字のカーニングと同じ処理は考えられようが,ラテン文字とくらべて組合せの数が膨大になり,現実的でない).こうした細かい区分を行って処理することは,簡単ではないので,平均をとって,まあ,いってみれば我慢している.

ですので,和欧間スペースの望ましいアキを考えた場合,どんなケースを想定するかで,変わってくる.

逆にいえば,書名などのタイトルなどでは,漢字・仮名とラテン文字の字間は,文字の組合せが決まっているので,個々に字間は設定できる,また,そうした処理をしないといけない,ということでもある.

以上,ご参考まで.

  小形 克宏 さんwrote

>みなさま
>
>
>素朴な疑問です。
>ここまでの議論をよむと、「和欧間隔」とは和語と欧語の間隔のように読めます(た
>とえば山本さんは「ワードスペース」の語を使っています)。
>だとすると、1語の中で和字と欧字が混在する場合、その間隔はどう処理すべきなので
>しょうか?
>JIS X 4051もJLreqもこの違いを区別していないように思うのですが、私自身は間隔が
>あること自体に違和感を感じます。
>
>Tシャツ、あるいはNTTドコモ、YRP野比駅など、固有名詞を中心にこの例はそこそこあ
>ります。

Received on Monday, 25 July 2022 04:50:04 UTC