Re: 両端揃えと行頭揃え

敏先生 & みなさま、

ありがとうございます。auto 処理が賢くなることは重要ですね。

この議論には、両端揃え、行頭揃えを jlreq-d において説明するためにとても良いポイントが含まれているように思います。

純粋に機能的な観点で、両端揃え、行頭揃えを分析してみました。私が誤解している点、訂正、または加えるべき点、などあればご教授いただけるとありがたいです。



両端揃えの利点欠点
利点
パラグラフあたりの行が大きい場合に幾何学的な美しさがある
欠点
行の調整処理が入ると、デザイナーが意図した字間から離れる
調整のためより複雑な処理が必要
行頭揃えの利点欠点
利点
調整処理がないので常にデザイナーが意図した字間で一定
処理が容易。高速
美しさに劣る
欠点
パラグラフ区切りが字下げの方法であり、かつほぼ全ての文字が全角であって行の折り返しを乱す要素が例外的である場合:例外的に行末が引っ込む要因があると、他が揃っているので、そこをパラグラフ境界であると誤認する恐れがある

両端揃えに望ましい処理
禁則を緩くする:調節量を少なくする
詰める方向の長さ調整を行う:調節量を少なくする
複数の行にわたる組版処理を行う:調節量を少なくする
行末句読点から半角を除く:行末の不揃いを避ける
行長に応じた自動的な禁則などの緩さの調節:調節量を少なくする。程度差はあるが行頭揃えでも望ましい
スペーシングの不均衡を避けるため、和欧文間が調節可能なことが望ましい(山本さん)
行頭揃えに望ましい処理
空行によるパラグラフ区切り:行末の乱れによってパラグラフ区切りが分かりにくくならないように


両端揃えに適した文
ほぼ全て全角である文:調節量が少ない
行の折り返しを乱す要素の少ない文:調節量が少ない
パラグラフの長い文:行末の揃いの幾何学的な美しさが出てくる
行長が長い:調節が目立たない
行頭揃えに適した文
プロポーショナルの要素の多い文:両端揃えでは調節量が多くなる
禁則対象の多い文:両端揃えでは調節量が多くなる
折り返し禁止の要素の多い文:両端揃えでは調節量が多くなる
行の折り返しを乱す要素のある程度存在する文:大多数が揃って例外的に乱れるといった現象を避ける
行長が短い:両端揃えでは調節量が多くなる
単語または文節区切りを採用した文
差の少なくなる文
会話文の多い文:どちらの処理方法でも行頭行末とも揃わない
パラグラフの短い文:どちらにせよ揃わない
//

> 2022/07/16 13:23、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> Yasuo Kida 様
> みなさま
> 
>  小林 敏 です.
> 
>  Yasuo Kida さんwrote
> 
>>> 1 Webの場合,携帯で読むことは,どんなドキュメントでも前提としないといけな
>>> いか.そうであるならば,Webの場合,行長は短くなる可能性は常に考えないといけ
>>> ない,ということになる.
>> 
>> これは yes です。つまり、携帯で読むことは,どんなドキュメントでも前提としない
>> といけない、です。
>> 
>> 理想通りに行かないのはこの世の常で、大きな画面から小さな画面まで単一のページ
>> デザインがうまくスケールするかというとそうでもない場合が多い。なので手間をか
>> けているサイトでは、携帯などの小さな画面用に最適化されたデザインをもっている
>> ことが多いです。その場合にはレイアウト方法を変えることが可能です。
> 
> そうすると,以下の場合分けをして,何が問題か説明することが可能ですね.
>  a デザインは1つ
>  b ウィンドウサイズによりデザインが変わる
>  c ウィンドウの状況により,指示方針により自動で処理内容が変わる.
> 
> *この点でいえば,行長がウィンドウの状況に追随するのではなく,ある程度の自動での処理ができれば,と思っています.というのは,1行の配置字数は,少ない場合,多い場合の限界,さらに最適値というものはあると思うのです.少ない場合は,どうするか問題ですが(文字サイズが大きくて最低字数では表示できない場合はどうするか),多い場合は,余白を大きくする,段落にするなどができればよい.
> 
>>> 2 aの問題が出るのは,分割禁止(又は行頭・行末禁則)のルールが厳密だからと
>>> いうことも考えられる.だとすれば,aの回避として,特に行長の短い場合に,分割
>>> 禁止(又は行頭・行末禁則)のルールを緩くすることも考えられる.それは,どこ
>>> まで考えてよいか? 新聞のように?や!の行頭の配置は許容できるか? 英単語
>>> はどこでも分割してよいか? それとも,それをするのなら行頭そろえの方がよい
>>> のか?
>> 
>> 現在でも禁則ルールを厳しくするか緩くするかを選択できますので、その緩いパラメ
>> タで不足があるかを調べてみると良いかもしれませんね(私は拗音撥音が泣き別れに
>> なるのが不満)。行長の短い場合に自動的に禁則対象文字を緩めてくれる仕組みがあ
>> ると便利そうです。jlreq-d で auto 動作の考え方を示すとか。
> 
> 最近は,拗促音や音引の行頭配置は,従来は不可とするものも,それなりにあったが,その後,多くが許容になった.で,最近では,ちらほら目にするようになった.ところで,拗促音や音引の行頭配置の許容は,どちらかといえば,行の調整作業が面倒だったことによると思われる.
> 
> したがって,行の調整作業は自動なんだから,行長がある程度確保できる状況であれば,禁止としてもよいということを明示的に説明してもよい.(もちろん,文節または単語区切りにすれば,この問題はでない.)
> 
> ですから,条件により,auto動作により,処理が変わるという選択ができれば,とてもよいでしょう.
> 
>> 英単語は、この例のように日本語レイアウトを扱う jlreq の影響力の外の要素が持つ
>> ルールを変えるのは、よほどの理由がないと難しいと思います。
>> 
>> 行長に加え、文の種類によっても状況は大きく異なりそうですね。ほとんどの文字が
>> 全角でルビのない文と、外国語や数字など多くのプロポーショナルな要素が入る文や、
>> ルビの多く入る文ではかなり違ってきそう。
>> 
>> パラグラフの長さや会話文も影響するように思います。パラグラフの短めな文や、会
>> 話文の多い場合は両端揃えでも終わりが出たり引っ込んだりします。会話文は行頭も
>> 凸凹で、私はどこがパラグラフ区切りなのかさっぱりわからなくなります。
> 
> テキストの内容により,ある種の配置方法の選択を行うのは,紙の本では普通でした.ですからテキストの内容により何が問題となるか,あらかじめ問題点を指摘するのは必要でしょう.
> 
> ところで,Webで会話文をどう処理するか,これは,面白いというか,議論が必要な事項です.というのは,会話は通常,段落を新ため,つまり改行し,「」で括ることが多い.この改行した“「”の位置は,紙の本では,以下の3つの方法がありました(カギの字幅を二分と考える).
>  1 二分下ガリ
>  2 全角下ガリ
>  3 全角二分下ガリ
> 
> 小説を多く出版する講談社,新潮社,中央公論社,文藝春秋などは1です.Webでは,これでいいのかな,さらに,これと行頭・行末そろえと行頭そろえが絡んでくるとどうなるのかな,という問題です.
> 
>>> 3 字間が空いてしまう場合,誤読される可能性は出るのか.そうであれば,何か考
>>> えないといけない.
>> 
>> 格好悪い+そこでつっかえますが、誤読の経験は私自身はありません。他の皆様どう
>> でしょう?
>> 
>>> 4 字間が空いてしまう場合,問題は見た目のバランスとすると,許容できない程度
>>> はあるのか? この場合,組版を見慣れていない一般の人と組版を見慣れた人では,
>>> 大きな違いがあるようも思いますが,それはどうなのか?(私の経験では,八分ア
>>> キは一般の人は気が付かないことが多いように感じている.なお,私も出版社の新
>>> 人研修で四分アキも言われるまで気が付かなかった.もっとのこれは行末の4箇所で
>>> すが.)
>>> 
>>> 5 行頭そろえの場合,行末のアキが意味を持つアキ(行中の全角アキや段落の区切
>>> りを示す)と誤解される恐れを,どう回避したらよいか?
>> 
>> 行頭揃えの場合は、空白行によるパラグラフ区切りの方が読みやすいかもしれません。
>> 行頭揃えの場合必ず空白行によるパラグラフ区切りが使われている印象がありますが、
>> 行頭揃えかつ字下げによるパラグラフ区切りという例はどの程度の割合であるんでし
>> ょうね。
>> 
>> 行中の意味のある全角アキというのはどのような例があるでしょう、感嘆符疑問符の
>> 後、敏先生の触れられたラベル番号とテキストとの間、etc. 感嘆符疑問符の後ろ、
>> は結構ありますが、ラベル番号とテキストとの間、は議論に影響の出るほど頻繁でも
>> ないような印象です。そもそもそういう組み方をするな、と言えるか?
> 
> おっしゃるように行中に全角アキまたは二分アキを施す例は多くない.?や!の後ろのアキは文末であり,行頭そろえでも誤読の恐れはないといえる.全角アキまたは二分アキは,ラベル番号とテキストとの間,性と名の間,タイトリとサブタイトルの間,その他,中点で区切るほどはではないが,なにか区切りたいという(今は例は思いつかない),など,それなりにあるが,実際には,多いとはいえない.出現頻度は,とても少ない,といえるかな(?)くらいです.でもこうした問題で,“おや”と思った経験は何回かある.
> 
> というのは,行頭・行末そろえでも,たまたはアキが行末(はみだし)位置に来た場合,悩ましい問題となるからです.?や!が行末にきた場合,その後ろがベタでも,また全角アキでも,文末であるということから問題がでないが,そうでないアキは,アキを確保してほしいという例は少ないがあります(こうしたアキは行頭禁則にすれば解決する).
> 
>> 関連して、折り返しの直前に句読点がくる場合にいくつかの処理方法がありますが、
>> 全角句読点そのままで後ろの半角空白を残す場合、両端揃えでも凸凹が生じて、パラ
>> グラフ区切り誤認の恐れがありますね。私自身の経験でも、おっと、と引っかかるこ
>> とあります。
> 
> 活字組版の時代は,木田さんのような印象はなかったのですが,最近は,私も“おや”と思うことはある.行末の句読点や括弧の後ろをベタにする例があるからかなあ,よくわからない.
> 
>>> 要は選択の問題であるとしても,Webでは,行頭・行末そろえは,これまでの紙のよ
>>> うに固いルールというよりは,ほんの少し,あるいはやや緩めるという選択の問題
>>> であるということになるのかな?
>> 
>> そう思います。印刷では校正というプロセスがありましたので、破綻や常識やぶりな
>> 例があっても目で見つけて直すことが可能です。デジタルでは全て自動的に起こりま
>> すので、破綻の可能性を少なくするようなルールが望ましいです。
>> 
>> 
>> こう見てゆくと、比較的ではありますが、両端揃えの適した文と、行頭揃えの適した
>> 文、があるようですね。
>> 
>> 木田

Received on Saturday, 16 July 2022 06:47:38 UTC