両端揃えと行頭揃え

和欧間スペースから話題が離れているのでタイトルを変えます。

> 2022/07/15 13:01、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> Koji Ishii 様
> みなさま
> 
>  小林 敏 です.
> 
> 石井さんが気になるのは,
>  a 行頭・行末そろえの場合,字間が空いてしまう.特に行長の短い場合に問題
>  b 行頭そろえの場合,一部の行末が不ぞろいになる
> で,bよりaであるという問題は理解できますし,編集者の判断として,aの問題から行頭そろえが選ばれている,という解釈は理解できます.
> 
> この場合,以下のようなことを考慮しないといけない.
> 
> 1 Webの場合,携帯で読むことは,どんなドキュメントでも前提としないといけないか.そうであるならば,Webの場合,行長は短くなる可能性は常に考えないといけない,ということになる.

これは yes です。つまり、携帯で読むことは,どんなドキュメントでも前提としないといけない、です。

理想通りに行かないのはこの世の常で、大きな画面から小さな画面まで単一のページデザインがうまくスケールするかというとそうでもない場合が多い。なので手間をかけているサイトでは、携帯などの小さな画面用に最適化されたデザインをもっていることが多いです。その場合にはレイアウト方法を変えることが可能です。

> 2 aの問題が出るのは,分割禁止(又は行頭・行末禁則)のルールが厳密だからということも考えられる.だとすれば,aの回避として,特に行長の短い場合に,分割禁止(又は行頭・行末禁則)のルールを緩くすることも考えられる.それは,どこまで考えてよいか? 新聞のように?や!の行頭の配置は許容できるか? 英単語はどこでも分割してよいか? それとも,それをするのなら行頭そろえの方がよいのか?

現在でも禁則ルールを厳しくするか緩くするかを選択できますので、その緩いパラメタで不足があるかを調べてみると良いかもしれませんね(私は拗音撥音が泣き別れになるのが不満)。行長の短い場合に自動的に禁則対象文字を緩めてくれる仕組みがあると便利そうです。jlreq-d で auto 動作の考え方を示すとか。

英単語は、この例のように日本語レイアウトを扱う jlreq の影響力の外の要素が持つルールを変えるのは、よほどの理由がないと難しいと思います。

行長に加え、文の種類によっても状況は大きく異なりそうですね。ほとんどの文字が全角でルビのない文と、外国語や数字など多くのプロポーショナルな要素が入る文や、ルビの多く入る文ではかなり違ってきそう。

パラグラフの長さや会話文も影響するように思います。パラグラフの短めな文や、会話文の多い場合は両端揃えでも終わりが出たり引っ込んだりします。会話文は行頭も凸凹で、私はどこがパラグラフ区切りなのかさっぱりわからなくなります。


> 3 字間が空いてしまう場合,誤読される可能性は出るのか.そうであれば,何か考えないといけない.

格好悪い+そこでつっかえますが、誤読の経験は私自身はありません。他の皆様どうでしょう?

> 4 字間が空いてしまう場合,問題は見た目のバランスとすると,許容できない程度はあるのか? この場合,組版を見慣れていない一般の人と組版を見慣れた人では,大きな違いがあるようも思いますが,それはどうなのか?(私の経験では,八分アキは一般の人は気が付かないことが多いように感じている.なお,私も出版社の新人研修で四分アキも言われるまで気が付かなかった.もっとのこれは行末の4箇所ですが.)
> 
> 5 行頭そろえの場合,行末のアキが意味を持つアキ(行中の全角アキや段落の区切りを示す)と誤解される恐れを,どう回避したらよいか?

行頭揃えの場合は、空白行によるパラグラフ区切りの方が読みやすいかもしれません。行頭揃えの場合必ず空白行によるパラグラフ区切りが使われている印象がありますが、行頭揃えかつ字下げによるパラグラフ区切りという例はどの程度の割合であるんでしょうね。

行中の意味のある全角アキというのはどのような例があるでしょう、感嘆符疑問符の後、敏先生の触れられたラベル番号とテキストとの間、etc. 感嘆符疑問符の後ろ、は結構ありますが、ラベル番号とテキストとの間、は議論に影響の出るほど頻繁でもないような印象です。そもそもそういう組み方をするな、と言えるか?

関連して、折り返しの直前に句読点がくる場合にいくつかの処理方法がありますが、全角句読点そのままで後ろの半角空白を残す場合、両端揃えでも凸凹が生じて、パラグラフ区切り誤認の恐れがありますね。私自身の経験でも、おっと、と引っかかることあります。

> 要は選択の問題であるとしても,Webでは,行頭・行末そろえは,これまでの紙のように固いルールというよりは,ほんの少し,あるいはやや緩めるという選択の問題であるということになるのかな?

そう思います。印刷では校正というプロセスがありましたので、破綻や常識やぶりな例があっても目で見つけて直すことが可能です。デジタルでは全て自動的に起こりますので、破綻の可能性を少なくするようなルールが望ましいです。


こう見てゆくと、比較的ではありますが、両端揃えの適した文と、行頭揃えの適した文、があるようですね。

木田

>  Koji Ishii さんwrote
> 
>> 敏先生:
>>> 1 見た目のバランスの問題,行末の乱れは気になるか?
>> 
>> 気になるとは思うんですよね。私自身でも気になることが多いです。
>> 
>> 携帯の画面の10字とか20字詰め(行当たり字数)の世界で、例えば「?!」の行頭禁
>> 則を処理すると、3文字が次行に送られます。これを両端揃えすると、1/10em~1/5em
>> くらいの字間が空きます。これはこれで、すごく気になる。その一行がまるまる読み
>> にくくなる。行頭揃えなら、行末の揃えは気になりますが、その行は普通に読めるの
>> で、個人的には、こういう場合には、行頭揃えの方がよりよいと感じます。紙書籍の
>> 場合には、1/5em空いてしまったら校正で修正できますが、可変字詰めだと難しい。
>> 
>> そういうトレードオフの結果で、選択されたんじゃないかと思っています。
>> 
>> 思い返せば、Koboの時に、ユーザーが大きいフォント設定にすると、英単語が入った
>> 時に、ある行に二文字しか入らない状況ができてしまって、その時に両端揃えすると、
>> 二文字が天と地に分かれてしまいます。これはバグだ、リーダーでなんとかしてほし
>> い、と出版社からフィードバックがあったことがあります。いずれにしてもよくない
>> 組版なんですが、「どちらが最悪ケースで破綻が小さいか」という観点もあるのかも
>> しれません。
>> 
>> 紙組版の知識を記録していくのもとても大事で、JLREQはそこに大きな成果を残したと
>> 思っていますが、Web版は、可変字詰めで、小さい画面の可能性も考慮すると、異なる
>> 結論を選択する場面も出てくると思います。
>> 
>> 太郎さん:
>> 実は過去10年~20年くらいは私も「なにかが足りないから、Webでは両端揃えを断念し
>> ている」と思っていました。でも今は、デジタルにおける前提条件の違いから、意図
>> 的に行頭揃えを選んでいると思っています。まぁ、ここは推測なので、議論して結論
>> がでるものではありませんが。

Received on Friday, 15 July 2022 07:21:36 UTC