Re: コーテーションマークの問題点

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

木田さんの言う通りです.簡単に言えば,コーテーションマークを使っての縦・
横共通のデータは,とても難しい.多数決でよければ(あるいはデータの内容が
分かっていれば),
 横 ダブルのコーテーションマーク → 縦 「 」
ということは考えられるが,問題が残る.
ですので,縦・横共通データを考える場合は,横組でもコーテーションマークを
使わないで,カギ括弧を使うとする方法を考えた方がよい.この場合は,縦でも
カギ括弧でよく,問題がでない.

逆に,縦がカギ括弧のものを横にする場合は,カギ括弧をコーテーションマーク
に変えないで,そのまま横でもカギ括弧を使う,ということが多数派の考えなの
で,問題がでない.

どうしても横組でコーテーションマークを使いたい場合は,このテキストは,横
組専用または横組の表示を優先的に考えてほしいということを考えるしかないよ
うに思います.
 
全角問題は,こうした問題があり,解決したい場合は,この条件でなら,という
ことが現状ではやむをえないのかな,と思っています.

なお,以下のように和文中にコーテーションを使う場合,
 横組では“quotation mark”を使う方法もある.
みたいな場合,私は,原則として,このコーテーションは和文だと考えています.
(上の例でのコーテーション,私のメーラーではMS明朝やMSゴシックでは全角に
なり,前と後ろは字形が正しくなり,メイリオでは半角になり,前と後ろが同じ
形なる.)
また,以下の例,
 ルビ(ruby)は,…
この場合も,同様にパーレンは和文だと考えています.実際にも多くの本では,
こうした例では,パーレンには和文用(全角)を使用しています.

以上です.

  木田泰夫 さんwrote

>敏先生、
>
>ありがとうございます。
>
>同じデータで縦横共用にしたい場合、カギ括弧が一番目の選択、コーテーションマー
>クは選択余地はあるが難し目、という理解で正しいですか?
>
>コーテーションマークはデフォルトで欧文幅となる点が課題ですね。全角指定のでき
>るアプリケーションなら全角指定をすれば良いのですが、これができない環境の方が
>多いこと。また、全角とすべきかどうかの判断を機械的にするのが難しいので(e.g. 
>隣が英字のケース)手作業が発生してしまうこと。そんなコストをかけるくらいなら、
>カギ括弧、もしくは欧文コーテーションマーク+欧文スペースを使うとの判断になる
>局面がありそうです。
>
>もし IVS をつけるなど別コードポイントで存在すれば、入力モードが日本語の場合に
>は全角版を出す、などの補助が可能になって、判断やコストがそこで吸収されるので
>すが。
>
>木田
>
>> 2021/04/26 13:17、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
>> 
>> 木田泰夫 様
>> みなさま
>> 
>>  小林 敏 です.
>> 
>> コーテーションマークの問題点についてまとめておきます.ただし,和文として
>> の方法に限定します.
>> 
>> まず,用法.主に横組において,縦組でカギ括弧を使用する代わりに使用する
>> (横組でもカギ括弧を使用する方法もある).この方法は,だいぶ前には,かな
>> り使用されていたが,最近はやや減っているように思われる.なお,(私が関係
>> していた時)JISの規格票では,カギ括弧を使用しないでコーテーションマーク
>> を使うことになっていた.
>> 
>> この用法では,一切,カギ括弧をしない方法と,コーテーションマークとカギ括
>> 弧を使い分ける方法とがある.
>> 
>> 入れ子になる場合は,外側の親項目にシングル,内側の子項目にダブルを使う方
>> 法と,逆に外側の親項目にダブル,内側の子項目にシングルを使う方法とがある.
>> 外側の親項目をダブルにする方法が多いようだ.この方式では,入れ子にならな
>> い場合でもダブルを使う.つまり縦組の「」の代わりにダブルを使う(ちなみに
>> 私のメールのテキストはこの方式である).
>> 
>> 横組でのカギ括弧の代わりにコーテーションマークを使うのは,横組ではカギ括
>> 弧(特に終わりカギ括弧)の形がよくないので,という人もいる.
>> 
>> この横組での用法のテキストを縦組にする場合は,コーテーションマークをカギ
>> 括弧に変える必要がある.カギ括弧を使用しない用法では.コーテーションマー
>> クをカギ括弧に変えればよいが,ダブルを「」に,シングルを『』にするかどう
>> かは,そのテキストでの用法を見ないと確定できない.また,コーテーション
>> マークとカギ括弧を使い分ける方法では,コーテーションマークをどうするかは,
>> 編集方針によるので,なんとも言えない.山括弧にする,チョンチョン(ダブル
>> ミニュート)にするなどの方法が考えられる.
>> 
>> 次に縦組でも,文字を横向きにしてコーテーションマークで囲む用法もある.こ
>> の用法では縦組でもコーテーションマークを横向きにして使用する方法である
>> (横組した場合も当然にコーテーションマークである).
>> 
>> また,縦組でチョンチョン(ダブルミニュート)を使用した場合,このテキスト
>> を横組にする場合,ダブルのコーテーションマークに変える方法がある.なお,
>> チョンチョン(ダブルミニュート)には,文字コードとしてはダブルとシングル
>> があるが,私の記憶では,チョンチョンはあくまでダブルの形であり,シングル
>> を使用した例は見たことがない.
>> 
>> 横組での配置法は,大きくは2つあります.
>> 
>> シングル,ダブルとも,字幅を全角のものを使用する.結果として,それぞれ字
>> 幅を半角と考えると,前または後ろに二分のアキがある.最近は,この配置方法
>> が一般的である.この場合は,約物が連続した場合はパーレンと同じである.
>> 
>> 欧文用を使用する.シングルの字幅は一般に四分,ダブルは,シングルを2つ並
>> べる(字幅は二分となる).この場合,シングル,ダブルともに,前または後ろ
>> を四分アキにする(行頭・行末では空けない).結果として,シングルは二分,
>> ダブルは二分四分のスペースをとる.この用法は,限られている.
>> 
>> いずれの場合でもコーテーションマークの内側はベタ組である.(昔は,欧文で,
>> コーテーションマークの内側を四分アキまたはhair spaceで空ける方法があった
>> ので,和文でもこれにならい,すこし空ける配置法をたまに見かける.)
>> 
>> 以上です.

Received on Monday, 26 April 2021 09:55:10 UTC