- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 08 Dec 2020 09:55:12 +0900
- To: "Atsushi Shimono (W3C Team)" <atsushi@w3.org>, public-i18n-japanese@w3.org
下農 様 小林 敏 です. "Atsushi Shimono (W3C Team)" さんwrote >> もちろん,ラテン文字でも微妙にラインより下に出る例もあるように,文字によ >> って位置の微調整はしています. > > ライン = 字面の外枠の線、か、文字の外枠(か、em-boxの外枠)のどちらでし >ょうか。 ># 多分前者? ここでいうラインはベースライン.ラテン文字の単字の小文字は厳密にベースラ イン上にある位置を揃えているとはいえない.“o”などは,字面が多少はベー スラインの下にはみ出している.視覚的に揃っているように見せるためです.同 じように和文文字も文字によっては仮想ボディの天地左右中央より位置を微調整 しているんではないかな.いいたいことは,基準線はいろいろあり,その位置に 揃えるということだけれども,視覚的に揃えるためには,実際は位置を微調整し ている,ということです. > どちらかというと和文での外枠の説明よりは、最初のメールで何度か触れた欧文と >の関連性の説明を提 >示しないと決着がつけられない話だと思っているところなのです。(木田さんがのちの >メールでおっしゃっ >ているように) > 和文文字でベースラインを、というところに行くにはまだ飛躍が大きいとは思うの >ですが、 >・外枠・em-boxの中での和文文字の配置 >・横書き・縦書きの中で欧文文字がどのように和文文字からシフトして配置されてい >たか >という情報と >・ベースラインを基準とした配置とem-boxの関係 >を整理すれば多少は理想に近い(?)修正案を出せないかなと思っているところで。x- >height (median line) >を和文文字の中央に合わせるというような乱暴すぎる議論はさすがに、というところ >ですが、どこかで対 >応付けられるなにかの基準を置けないかな、と。 この問題は,たぶん永遠に決着がつかないでしょう.和文とラテン文字は,文字 設計の考え方が基本的に異なっています.つまり,和文とラテン文字は異質な文 字なんです.それを組み合わせて使用しないといけないので,そこに苦労がある のです.和文に対して,ラテン文字を下げろ,下げるとおかしい,文字サイズを 変えろ,フォントを選ぶ際に注意すればいいことでしょう,……,と,それなり の共通の認識に到達することは難しいと思っています.ですので,私は,この問 題にはあまり近づきたくないと思っていますが,そうもいえないな,何か言わな いといけないかな,と思っています. ラテン文字列が,大文字だけ,小文字だけ,しかも短字だけと条件が揃っていれ ば,ある程度の正解はでてくるでしょう.あるいは装幀で本のタイトルを処理す るように個別ケースで,時間を掛けることが可能な場合は,たぶん正解は出てく るでしょう. しかし,各種の字形が出てきて,しかも機械的な処理をする場合は,ある程度の 線で妥協しないといけないということです.妥協が求めれるところでは共通認識 は難しいと思っていますが,何か理由をつけて,まあ,しょうがないかな,と思 ってもらうしかないのです. 以下が,その案の骨子 和文の明朝体とラテン文字のケース 1 画線の太さが一様でない(変化している)明朝体とそろえ,ラテン文字は ローマン体を選ぶ.線の太さも似たものを選ぶ. 2 明朝体の仮名とのバランス(明朝体の仮名は漢字の明朝体とは線の設計が 異なる,その意味で仮名は明朝体とはいえないかもしれないが,漢字と合う仮名 を作りだしてきたのです)を考慮し,その線のカーブが似たものを選ぶ.ボド ニーのように直線的な線のフォントを選択しない(漢字だけだと似ている感じは あるが). 3 字面の大きさを考慮し,また,通常は混ぜ組に使用されるラテン文字は小 文字が多くなるので,字面が和文とラテン文字との大きさのバランスを考慮し, ラテン文字はできるだけ“x-height”の大きなものを選ぶ.もちろん,和文より ラテン文字のサイズを大きくする方法もあるが,通常は,同じサイズでよい. 4 横組(縦組で文字を横に回転した場合を含む)の場合,仮想ボディの天地 左右中央の位置にある和文に対し,短字のラテン文字,あるいは大文字をを並べ ると和文の下端(縦組では左端)より,字面が上がって(縦組では右に寄って) 見える.しかし,この位置を変えるとアッセンダーとデッセンダーがある小文字 が行間にはみ出してしまうかもしれない.そこで,和文と欧文の仮想ボディの位 置を揃えるしかないということになる.多少は不満が残るがやむをえない.(活 字組版では,長い間,この方法で組んできた).(もちろん,個別のケースでフ ォントのサイズやフォントの選択などにより,位置の調整は施すことは採用して もよいが,それがデフォルトということではないということです). ですから,和文文字にベースラインを設定して,その位置を考慮して組むという 必要はない.和文文字のベースラインをどこに設定しても(たぶん,仮想ボディ の上端から88パーセントの位置が正解に近いかもしれないが),その和文のベー スラインにラテン文字のベースラインを揃えれば正解が出てくるということは, およそ無理なことです. また,和文フォントにはプロポーションのラテン文字を含んでいる例が多い(以 下,付属文字という).そこで,ラテン文字に,この付属文字を選ぶか,別のラ テン文字のフォントを選ぶかが問題になる. 和文文字を組み合わせるラテン文字の条件を前述したが,付属文字は,そのこと を考慮して設計されていると思われる.その意味では,通常は,この付属書体を 選べばよい,と私は思っています.もちろん,その付属書体を使用しないで,別 のフォントを選ぶことも可能であるが,その選択は,それなりに経験のいること ですので,それをデフォルトとする必要はないでしょう. >> なお,以下にも説明があります. >> https://www.jagat.or.jp/past_archives/content/view/5636.html > > あ、こちら以前にもご紹介いただいたような気がします、、&この図も利用させて >いただければ幸いで >す。 私の書いたものではないので,引用という形式にすれば使用は可能だと思います.
Received on Tuesday, 8 December 2020 00:55:41 UTC