Re: [jlreq-d] 段落の示し方 (#40)

段落の示し方

段落を示す場合,従来,日本語組版では,段落ごとに改行にし,さらに段落先頭行の行頭を全角下ガリとする方法がとられている.デジタルテキストでは,段落の区切りをさらに明確にするために,段落の間を1行アキとする方法が増えている.1行アキとする方法では,段落先頭行の行頭を全角下ガリにする必要はない.しかし,これまでの慣習から段落の先頭行を全角下ガリとしている例も多い.

注 段落先頭行の行頭を全角下ガリとする方法には,行頭に和字間隔(全角スペース,U+3000)を入力する方法と書式で設定する方法がある.和字間隔を入力する方法は,書式を変更する際にやや手間がかかり,また,和字間隔の直後(段落先頭行の先頭)に括弧類がくると,行の調整処理でアキが変わる可能性があり,避けた方が望ましい.

注 段落先頭行の行頭を全角下ガリとする方針であっても,段落先頭行の行頭を全角下ガリとしない次のような例がある.

    英語にならって,ドキュメントの先頭及び見出し直後の段落に限り字下げしない.
    別行にした引用,あるいは別行にした数式・化学式の直後の行を改めた先頭行の行頭は字下げしない.“とあり……”“となり……”のように前の引用や数式・化学式に文は続いているという解釈で字下げしない.ただし,改行であるとして,全角下ガリとする方法も行われている.

注 1行アキとは,ドキュメントの先頭を除き,行間を次のアキにすることである.
 文字サイズ+行間×2

注 長文のテキストを一気に読んでいく場合,1行アキは読んでいく際のアクセントとしては強すぎると指摘する人もいる.

注 見出しを立てるほどではないが,テキストの途中に区切りを入れる一つの方法として1行アキとする方法がある.段落間を1行アキとした場合,このテキストの区切りとして1行アキとする方法は採用できないので,“*”などの記号を挿入する,あるいは2行アキにするといった別の方法が必要になる.なお,安部公房著“燃えつきた地図”(新潮社(新潮文庫),2002.11.5)では,段落間のアキとして1行アキ,2行アキ,4行アキなどがあり,アキの大きさで区切りに差を付けている.

注 引用その他の場合で,スペースを節約するために段落ごとに改行にしない方法もある.この場合は,段落の区切りとして“/”を用いる例が多い.

なお,段落先頭行及び段落の途中の行は,行頭・行末そろえとし,段落末尾中の行は,行頭そろえとする方法が一般的であるが,全ての行で行頭そろえとする場合は,段落の区切りを示す段落先頭行の行頭を全角下ガリとするだけではあいまいになることもあり,段落間は1行アキとした方が段落が明確になる.

段落間のアキとして1行アキにしているのは,入力が簡単であること,また,アプリケーションに段落間のアキを設定する方法がないことによる.段落間のアキの設定が可能であれば,例えば,次のような1行アキ以外のアキを選択できる.

    行間を2倍にする
    行間に文字サイズを追加する
    1行アキの1/2のアキにする

注 印刷する書籍の場合,上記のようなアキは,一般には行わない.印刷する書籍の場合,行送り方向の実際に文字を配置する版面サイズは一定にするのが原則である.段落間に後注が挿入される場合など,行送り方向の版面サイズが乱れる場合は,後注の後ろの行間を広げて版面サイズが一定になるように調整する.こうしたことから,行送り方向の版面サイズが乱れる処理は避けられ,見出しなどの行送り方向の配置領域を行数を単位として設定していた.段落間のアキも1行アキが選ばれていた.Web等では行送り方向の版面サイズが乱れは問題とならない.となれば,段落間のアキも区別がつけばよいのであり,一般に行数を単位として指示する必要はなくなる.

注 1行アキの1/2のアキにするとは,ドキュメントの先頭を除き,行間を次のアキにすることである.
  行間+(文字サイズ+行間)/2

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