Re: [jlreq] 落語ネタ:縦書き中の欧文 (#317)

縦組の中にアラビア数字を入れる場合,一般には正常な向きにするが,図に示したように横転させて挿入する例もある.この場合のアラビア数字は,活字組版時代から二分の字幅(横組でいえば文字の横幅)が多かった.それは,横組を含め,アラビア数字と和文の間は四分アキにするので,奇数桁の場合には,行長に半端が発生せず,行の調整処理の必要がなくなるからである.活字組版時代でも二分に字幅の数字は準備され,明朝体の活字とよく合う数字が準備されていた.活字組版時代では――今では考えられないが――校正段階で文字の挿入・削除があると,行末・行頭で,どの文字が移動するか指示したものである(字送りという).文字幅が分かっていると,この字送りの指示がやりやすかった.

最近では,二分に字幅にしない例(図の2番目)も徐々に増えている.縦中横に使用する場合などを考慮すると二分の字幅がほしい.OTFでは二分の字幅のアラビア数字を使用できるが,デザインがいまいちである例もある.通常の本文では,和文とあった二分の字幅のアラビア数字のアラビア数字を考えてほしいものである.

なお,図に示した3番目の例(字幅が全角)は,さすが縦組では見かけないが,横組では使用している例がある.あまりバランスのよいものではないので,避けた方がよいであろう.アラビア数字は字間を空けず,まとまっていることで認識しやすい.

そもそも全角の数字は,縦組で1字のアラビア数字を縦向きで配置する場合に準備されたものである.縦組でいえば,文字の左右の幅(ボディ)が全角未満であると,活字組版では,とても面倒であったことによる.文字の形に関係なく,活字組版では,全角の台(ボディ)に文字を鋳込むことができたので,全角の台にすることは簡単である.そうなると,今度は,その全角のボディにあう字形がほしくなり,全角のアラビア数字が準備されるようになった.今では,文字の向きは簡単に指示できるし,文字の横幅の異なる文字が縦組の行中に挿入されても,処理に苦労しない.まずは,和文とよくあう二分の字幅の文字を用意し,もっぱら,それを使用し,必要に応じて配置方法を指示すればよいだろう.

もちろん,文字組版では,いろいろな状況があり,いろいろな文字があれば便利である.活字組版時代から,アラビア数字には字幅(文字の横幅)が,二分以外に,三分や四分のものがあった.こうしたものは,限られた範囲で,どうしても使用せざるを得ない場合にだけ使用すと考えた方がよいであろう.

漢数字でも,天地のサイズを二分にした文字もあった(平字という).年齢などを括弧に入れて示す場合,新聞などでよく使用されていた.どうも数字というものは,いろいろと変化させてというか,工夫して使いたがるものであるようだ.それだけ組版処理は,やっかいになるが,まあ,それに応じていくしかないのかもしれない.

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Received on Friday, 12 November 2021 00:57:43 UTC