Re: CSSの提唱者ホーコン・ウィウム・リー氏の来日

一條です。

> 村上さん

ホーコンさんとの会話内容のお知らせありがとうございます。
時間がかなりたってしまって今更なのですが、
会話内容で思いついたことがありましたので、投稿いたしました。


* セレクタ問題
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ホーコン:それがないと互換性の問題が起きるということだね。
しかし、プロパティの数が増えすぎるのはあまりよくない。
スタイルシートのセレクタで縦書き用と横書き用のところを分けるのでだめか?

村上:いや、それではうまくいかない。
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従来のセレクタだけで対応しようとすると、縦書き・横書きのいずれか一方だけを適用するしかできませんね。


例えばbodyに縦書き、横書きスタイルの適用を切り替えるためのコントロール用のclassを付けたとしても、
そのclassを切り替えが現状ではできないと思っています。
サーバー側で判断するとしたら、user agentぐらいしか思いつきません。(かなりゆるい判断になりそうです。)
クライアント側でしたらJavascriptを利用することになりますが、user
agent程度しか現時点では判断材料がなさそうです。(これもかなりゆるい判断になります。)

javascriptを利用して、class切替をページ表示時点で確実に判断するとしたら、

・ writing modeの状態が把握できる機能(例えば window.writtingMode といったプロパティ)

が欲しいですし、また、閲覧ユーザーが任意のタイミングで切り替えたいというならば、

・ writing modeの状態が変わったことを検知する機能(例えば onwritingModeChange というようなイベント)

が欲しくなります。
(もしかして、私が知らないだけで既にあるのでしょうか?)

こうなってくると、Media Queriesで対応できていたら、楽に利用できたなとつくづく思います。


* 横書きで充分?
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村上:Webデザイナーたちは、横書きに馴染んでいるからね。
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このあたりには少々補足を。

純粋にWebサイトだけを対応していると”縦書き”スタイルの要求を受けることはないと思います。
紙媒体と関係したWebサイトの対応していると、”縦書き”スタイルの要求を受けることがあります。
要求を出す側に現行の仕組みで難しいことを説明し続けると諦めてくれますが、
思い出したように、要求を受けることがあります。

全てのagentで縦書き対応する必要があるとは、私も思いませんが、
見せ方の選択肢が色々なagentで増えるきっかけに、CSS3 Text Layoutがなればいいですね。


2010年5月15日23:52 MURAKAMI Shinyu <murakami@antenna.co.jp>:
> アンテナハウスの村上です。
>
> Junichi Niino <jniino2@gmail.com> wrote on 2010/05/06 14:42:19
>> Publickeyの新野です。はじめまして。
>> このところのCSSの縦書きなどの議論、興味深く拝見しています。
>>
>> わたし自身は議論に参加できるほどの知識はないのですが、来週金曜日似、
>> CSSの提唱者として知られるホーコン・ウィウム・リー氏がオペラのCTOとして来日されるそうです。
>>
>> 「 Tomorrow’s Web Today ( 今日考える明日のウェブ ) 」 のご案内
>> http://my.opera.com/chooseopera-Japan/blog/2010/04/21/tomorrow-s-web-today
>>
>> オペラを宣伝するつもりは全然ないのですが、オペラはCSS WGに5名の人を送り込んでいる
>> そうですし、おそらくリー氏もそれなりに発言力があるようにも思いますし、CSS WGやオペラ
>> としての縦書きCSS実装について、もしかしたら議論できるチャンスかもしれないと思いまして。
>
> このイベントに参加して、ホーコンさんと少し話をすることができました。
> 以下のような会話内容でした:
>
> ホーコン:Antenna House Formatter が CSS3 GCPM (Generated Content for
> Paged Media [1]) を実装してることはすばらしい。
> Antenna House Formatter の CSS 組版機能は多く使われている?
>
> 村上:まだまだこれからです。
>
> ホーコン:最近CSS3 GCPM仕様に加えたのは脚注を脚注領域内でインラインに
> 配置する機能だけれど、どう思う。
>
> 村上:必要な機能だと思うよ。CSSでは未実装だけど、我々のXSL-FO実装では
> ユーザーからの要望があって独自拡張として実装している。
>
> ホーコン:知ってる。Antenna HouseがCSS3 GCPMを実装することで、仕様完成に
> 貢献してくれるのがありがたい。
>
> 村上:私は今、電子書籍のEPUBの日本語対応の仕様策定に関わっているのだけれ
> ど、電子書籍ビューワーというのはスクロールするものもあるけど大抵はページ
> をめくる方式だよね。CSS3 Paged Media や CSS3 GCPM がいずれ役に立つように
> なると思う。
>
> ホーコン:同感だ。
>
> 村上:Operaに縦書きを実装することはありえる?
>
> ホーコン:ない。日本の人達に聞いたが縦書きは要らないようだ。
>
> 村上:Webデザイナーたちは、横書きに馴染んでいるからね。でも、本を書く人
> たちは縦書きを必要としているよ。だから電子書籍EPUBの縦書き対応のために、
> CSSの縦書きの仕様 CSS3 Text Layout [2]が重要。
> すべてのブラウザが縦書きをサポートする必要はないことは認める。
> でも CSS3 Text Layout で定義する margin-before/after/start/end などの
> 論理プロパティは実装してほしい。
> これらは縦書き用にデザインしたスタイルシートでも縦書き非対応のUAで
> 横書きで問題なく表示されるためのものだから。
>
> ホーコン:それがないと互換性の問題が起きるということだね。
> しかし、プロパティの数が増えすぎるのはあまりよくない。
> スタイルシートのセレクタで縦書き用と横書き用のところを分けるのでだめか?
>
> 村上:いや、それではうまくいかない。
>
> ホーコン:分かった。CSS3 Text Layoutドラフトをチェックして、後でコメント
> しよう。
>
> 以上のような話をすることができました。
> このような機会を設けていただいてありがたいです。
>
> [1] http://dev.w3.org/csswg/css3-gcpm/
> [2] http://dev.w3.org/csswg/css3-text-layout/
>
> --
> 村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
> http://twitter.com/MurakamiShinyu
> Antenna House Formatter:
> http://www.antenna.co.jp/AHF/
> http://www.antennahouse.com
>
>
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一條 美和子(ichijo.miwako@sankei.co.jp)

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Received on Monday, 24 May 2010 02:46:25 UTC