HTML5 を印刷・出版用途を含む文書形式の標準として

村上と申します。このMLに初めて投稿します。
アンテナハウスの AH Formatter という、XML/HTMLをCSSまたはXSL-FOを使って
自動組版するソフトウェアの開発に携わっているものです。

HTML5日本IG会議では、チラシを置かせていただき、ありがとうございます。
矢倉さんをはじめ、講師、スタッフのみなさま、お疲れさまでした。
HTML5とCSS3など新しいWeb標準が広がっていくことに期待が持てました。

私の関心は、HTML5の利用を、より広く文書の標準形式とすることができないか
というものです。HTML5には、rubyのような日本語文書に必要なものがあること、
section, article, header, footer などの要素が追加されたことで文書の
論理的な構造を表現しやすくなったこと、SVGの埋め込みで外字なども可能な
ことなど、印刷・出版向けの文書の標準形式とすることにも向いていると思う
のです。そうすれば、Webでの文書公開も、PDFや印刷物としての出版も同じ
ソースでできることになります。CSSを画面表示用と印刷用で分けることにより
それぞれに最適なレイアウトとすることができます。

AH Formatter は、HTMLをCSSを使ってレイアウト指定して、高品質なPDF作成
や印刷向けにレイアウトするために、CSS3のページ媒体向けの仕様などを
積極的に実装し、
- CSS3 Paged Media
- CSS3 Generated Content for Paged Media
- CSS3 Multi-column Layout
- CSS3 Text
- CSS3 Text Layout
- CSS3 Backgrounds and Borders
などに対応しています（部分実装を含む）。
これらの最新ドラフト仕様は、次のところから参照できます：
http://www.w3.org/Style/CSS/current-work

ブラウザが IE、Firefox、Safari、Chromeなどいくつも実装があるように、
ページ媒体をターゲットとした HTMLとCSSの実装も、AH Formatter だけでなく
世界にいくつかあります。私の知っているところでは次のものです：

Prince XML:   http://www.princexml.com/
PDFreactor:   http://www.realobjects.com/
Copper PDF:   http://www.cssj.jp/
AH Formatter: http://www.antenna.co.jp/AHF/

有名なブラウザに比べてどれもマイナー存在ですが、HTML（あるいはXML）を
ソースとして、高品質な印刷向けページレイアウトを必要とするときには
このような実装があるのだということを、知ってもらいたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

-- 
村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
Antenna House Formatter:
http://www.antenna.co.jp/AHF/
Personal Blog: http://shinyu.cocolog-nifty.com/

Received on Tuesday, 26 January 2010 06:43:03 UTC