HTML5 と電子書籍フォーマット

村上です。

いま電子書籍の話題が巷で賑わっています。次のニュースもありました:
「電子書籍ビジネスの研究会設置へ 総務・文科・経産省」
http://www.asahi.com/business/update/0226/TKY201002250542.html

この「電子書籍ビジネス環境整備研究会」で、「規格統一や著作権保護、
流通のあり方などでの合意づくりを目指す」とのことです。
是非、日本独自規格を作り出すのではなくて、世界標準仕様を採用して
足りないものを提案して世界標準に取り入れていくようしてほしいです。
(日本のW3Cは、この動きに関係しているでしょうか?)

電子書籍のEPUB仕様ではコンテンツの表現に、XHTML1.1+CSS2 のサブセット
が使われています。

(参考)EPUB仕様書の日本語訳が公開されてます:
http://d.hatena.ne.jp/lost_and_found/20091209/1260365227

XHTML1.1 の将来バージョンは XHTML5 (HTML5 のXML表現)なのであるから、
将来のEPUB仕様にはそれが使われるようになるのが自然です。
同様に、CSS3が将来は使われるようになることも自然です。
EPUB仕様にも、将来バージョンでもW3Cの規格との互換性を持つことということ
が書かれています:

    1.4.3: 将来のバージョンとの互換性
    本仕様の後続世代は定められた方針に従って進むのが、本仕様の貢献者たち
    の意図である。具体的には、 
      ・コンテンツ形式の標準規格は W3C、IETF などの適用規格と互換性を持
        つこと。 
       ...

もちろんHTML5もCSS3もまだ未完成であるので、いまそれを電子書籍の仕様に
というのは無理があるのですが、いま日本で独自拡張や独自規格をと考える前に、
世界標準仕様の動きに合うようなことをやっていってほしいと願います。

電子書籍に関心のある人たちの集まりで話を聞くと、日本語レイアウトのための
仕様を電子書籍の規格に入れてほしいという声がかなりあることに気がつきます。

W3Cでは日本語レイアウトタスクフォース(JLTF)の活動があり、W3C技術ノート
「日本語組版処理の要件」という資料がまとめられています:
http://www.jagat.jp/content/view/931/250/

「W3Cが近い将来、CSS、SVG、XSL-FOなどの技術に本格的な日本語組版機能を
反映させるために記述されたもの」です。
将来、これが電子書籍にも反映されることになって、Webでも電子書籍でも、
いまの紙の本に引けをとらない美しく読みやすい日本語レイアウトが普通になっ
てほしいと思います。

以上、HTMLと電子書籍について最近思うことを書いてみました。

-- 
村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
http://twitter.com/MurakamiShinyu
Antenna House Formatter:
http://www.antenna.co.jp/AHF/

Received on Friday, 26 February 2010 10:18:04 UTC