RE: text-autospace (和欧四分アキ) における「和字」の定義

データを集めるのはよいことだと思います。私も知人に聞いてみます。

> 個人的には、Wordで組んだかどうかの指標として、
> 和欧間が四分かどうかを見るようにしています。
> つまり、そのくらい自分の目には(JIS X 4051に
> 正しく準拠した)Wordの組版例が、特異に映るということです。

ここは若干疑問が残ります。日本語の場合、ほとんどが両端揃えで、JLREQに従えば、和欧間空白は1/8emから1/2em(あるいは1/3em)の間で調整処理に使われます。つまり、各段落の最終行を除いてほとんどの場合には、厳密な「1/4emアキ」を見ることは少ないはずです。

見られているのは、最大に伸ばされた1/2emが大きすぎる、ということではないでしょうか?

最大の伸ばしになるかどうかは、使っている文字やフォント、詰めロジックそのものの性能によるので、和欧間アキの最適値を1/4emから1/5emにしたところで大きく変わるものではないような気がします。

ちなみにjustificationのロジックそのものはCSS3 Textでは定めていないので、最大が1/2emか1/3emか、あるいは伸ばしの対象としないのかは実装によります。


From: ogwata@gmail.com [mailto:ogwata@gmail.com] On Behalf Of Katsuhiro OGATA
Sent: Sunday, April 03, 2011 6:09 PM
To: Koji Ishii
Cc: 道広 勇司; public-html-ig-jp@w3.org
Subject: Re: text-autospace (和欧四分アキ) における「和字」の定義

フリーライターの小形克宏と申します。


道広さんの和欧間隔四分についての懸念に賛成いたします。
(「和x組版」への懸念は、ラテン文字以外の理解が浅いので保留させてください)

ぼく自身もそうですが、たとえばInDesignで最初にアキ量設定の和欧間を四分以下に設定する人は
かなり多いように感じています。
和欧間隔四分のデメリットは、特に欧語1文字の場合に顕著になります。
道広さんが言われた「線文字B」や「1日券」もそうですが、「Gパン」「Tシャツ」「Jリーグ」等々、
現代日本語では、こうした例が意外に多いのです。

これらの語が出現する度に、欧語の前後に穴のような空白が生じて、読みの速度を落としてしまいます。
個人的には、Wordで組んだかどうかの指標として、和欧間が四分かどうかを見るようにしています。
つまり、そのくらい自分の目には(JIS X 4051に正しく準拠した)Wordの組版例が、特異に映るということです。

ただし、ここで求められているのは、こうした個人の感想ではないでしょうね。
おそらく必要なのは、たとえば「多くの人はInDesignにおいて和欧間のアキ量設定をどう設定しているか」
というようなことではないかと思います。

道広さんに提案ですが、たとえばTwitterで美大やデザイン系専門学校の先生方に、
これについてどう教えているか聞いてみてはいかがでしょう。
もちろん、ぼくもお手伝いします。
個人の憶測で恐縮ですが、おそらくかなり四分以下に設定するよう指導しているケースが集まるように思います。
(それだけ四分というが「普通」の感覚から懸け離れているということです)



2011年4月3日0:19 Koji Ishii <kojiishi@gluesoft.co.jp<mailto:kojiishi@gluesoft.co.jp>>:
いえいえ、フィードバックはどれほど経っても、ありがたいですし、議論を深められます。ありがとうございます。

> 具体的にどういう要求があるか分からないうちに想像で仕様を考えていく
> わけにはいかないということですよね。分かりました。

日本で出版する書籍の常識を使ってタイ語の規則を規定するわけにはいかない、ということです。タイでの常識でこうだ、というのがネイティブな方含めて合意があって、要求があればW3Cは聞きますが、私はそれの良しあしを議論できるだけの知識とバックグラウンドを持っていません。英語MLでネイティブの方を含めた議論、タイでのワークショップ、そういった調査を重ねて仕様化するのであればそれはよいことですが、この日本語MLで議論できる内容ではないと思っています。

> ただ,直感として,現在の,スクリプトを
>・漢字・仮名系
>・アルファベット,インド系,アラビア系…
> に二分するやり方はいずれ破綻すると思いました。
これも同じです。きちんとデータや理由を伴ったリクエストが来れば検討します。ない状態で、理想を追いかけることはしません。例えばCSS Level 5においてタイの要求が固まれば、おっしゃるようにスクリプトの分類は変わるでしょう。

> いろいろな方が指摘されていますが,和欧文間を四分空きとするルールが
> 教科書に書かれているのは,活版時代の名残だと思います。
> 作業性などの観点から当時は四分が妥当だったのでしょう。
> 二分数字が奇数桁入るとき両側に四分空きを入れればぴったりになります。
仰るように多くの教科書もそうですし、JIS 4051、JLREQでも規定され、Wordでは四分デフォルトで、Outlookではメールの読み書きに常に使っていて、In Designでも既定値は四分です。道広さんのご意見が異なることは理解しますが、これだけ受け入れられているのであれば、それを既定値とするのがよいと思いますが、いかがですか?

> スペーシングにこだわるタイポグラファーが四分空きを選択することは稀
> ではないかと思います。とりわけ見出し・タイトル類では。

スペーシングにこだわるタイポグラファーは、CSS3 Textでは全然足りないと思っていますので、おっしゃる通りだと思います。まずはWordやIn Designの既定値くらいを目指しませんか、というのがCSS3 Textにおける私からのご提案です。現段階で見出しをグラフィカルに凝りたい人は、画像か、SVGか、あるいは文字ごとにスペーシングを自分で設定するのが妥当だと思います。

In Designの「文字組みアキ量設定」画面でできることを全部CSS3 Textに入れてほしい、というリクエストも来ていますし、Illustratorでできるこれができない、という話が出たこともありました。

私は、今それを一度に目指すよりは、CSS3 Textは「WordやIn Designの既定値」レベルを目指して、より細かい制御は次で、と考えています。CSS3 Textの前の開始点では、禁則もない状態ですから。

その上で、既定値が四分ではなくて五分だ、というデータがあるなら、お伺いしたいです。


-----Original Message-----
From: public-html-ig-jp-request@w3.org<mailto:public-html-ig-jp-request@w3.org> [mailto:public-html-ig-jp-request@w3.org<mailto:public-html-ig-jp-request@w3.org>] On Behalf Of 道広 勇司
Sent: Saturday, April 02, 2011 11:28 PM
To: public-html-ig-jp@w3.org<mailto:public-html-ig-jp@w3.org>
Subject: Re: text-autospace (和欧四分アキ) における「和字」の定義

道広です。一月末の石井さんのメールに対するレスです。
遅くなってすみません。

>> ところで,タイ語文中に欧文が来たら? 当然空けるでしょう。
>
> 「和×?」以外の定義をここに入れるのはさらに難しいです。それはネイティ
ブな方からのリクエストが来たら、というのに任せておきたい、というのは消極
的でしょうか。

具体的にどういう要求があるか分からないうちに想像で仕様を考えていく
わけにはいかないということですよね。分かりました。

ただ,直感として,現在の,スクリプトを
・漢字・仮名系
・アルファベット,インド系,アラビア系…
に二分するやり方はいずれ破綻すると思いました。


>> ◎空き量
>> ところで,空き量が 1/4 em に固定なのはちょっと厳しいルールかなと
>> いう気がします。
>
> CSS Text Level 3で目指すのは、印刷の良いところとブラウザーの良いとこ
ろの融合であり、印刷で行ってきたすべてをブラウザーに実装しよう、というも
のではないと思っています。In Designでできるすべての設定をCSSにも、という
声もありますが、今日現在、それが広くすべてのブラウザーに受け入れられると
は思っていません。

私も,印刷でできることを(今)すべて実現してほしいとまでは思いません。

> CSS Text Level 3が普及した後、広く声が上がるようであれば、CSS Text
Level 4で、あるいは印刷・電子書籍など特定分野でのみ強い声が上がるようで
あれば、特定分野向けの別仕様でカバーするべきだとは思いますが、CSS Text Level 3ではパラメータなどを極力減らし、極力スイッチレベルで済むものに
絞った方が受け入れられやすいだろうと思っています。他の機能を見ていただい
ても、ワープロでもできることがまだCSS Text Level 3では満たされていません
ので、まずは第一歩、とお考えいただければと思っています。

理解できます。バランスとか優先度の問題なのでしょうね。

和欧間の空き量が可変であることは,CSS 2.1 の word-spacing に比べて
より基本的なことだと私には思えたので,ご提案しました。

いろいろな方が指摘されていますが,和欧文間を四分空きとするルールが
教科書に書かれているのは,活版時代の名残だと思います。
作業性などの観点から当時は四分が妥当だったのでしょう。
二分数字が奇数桁入るとき両側に四分空きを入れればぴったりになります。

スペーシングにこだわるタイポグラファーが四分空きを選択することは稀
ではないかと思います。とりわけ見出し・タイトル類では。

空き量を指定することができないのであれば五分空きが無難だと思います
し,印刷物の本文でそうしている人は少なくないと思いますが,あまり文
献に現れる数値ではないでしょうから,説得が難しいですね。

(11/01/30 19:43), Koji Ishii wrote:
> 道広さん、ご見識、ありがとうございます。
>
>> 上記のうち,[1] を考慮すれば,分かち書きをするスクリプトはすべて
>> alpha に含めたくなります。
>> 微妙なのは和文・ハングル混植です。たとえば
>>   ハングルはハングルで한글と書きます。
>> の場合,ベタがいいのでしょうか? これは和ハン混植を実践されている
>> 方のご意見を伺いたいところです。
>> (私の素人目では空いててもおかしくないと思いますが)
>
> そうですね、ハングルは空白で区切りますから、道広さんの原則に従えばアケてもいいように思えますが、「和欧」と分けた時に「欧」に入るのか、というと微妙なところもあり、難しいですね。個人的には同意しますが、データがありません。ご見識の深い方がいらしたらぜひお伺いしたいです。
>
>> ところで,タイ語文中に欧文が来たら? 当然空けるでしょう。
>
> 「和×?」以外の定義をここに入れるのはさらに難しいです。それはネイティブな方からのリクエストが来たら、というのに任せておきたい、というのは消極的でしょうか。
>
>
>> ◎欧文括弧の外側
>
> コンテキストに依存するものは、自動処理しないべきだと思います。従来通り、必要な場所に必要なマックアップ、あるいはスタイルを入れて処理するべきではないでしょうか。
>
>
>> ◎空き量
>> ところで,空き量が 1/4 em に固定なのはちょっと厳しいルールかなと
>> いう気がします。
>
> CSS Text Level 3で目指すのは、印刷の良いところとブラウザーの良いところの融合であり、印刷で行ってきたすべてをブラウザーに実装しよう、というものではないと思っています。In Designでできるすべての設定をCSSにも、という声もありますが、今日現在、それが広くすべてのブラウザーに受け入れられるとは思っていません。
>
> CSS Text Level 3が普及した後、広く声が上がるようであれば、CSS Text Level 4で、あるいは印刷・電子書籍など特定分野でのみ強い声が上がるようであれば、特定分野向けの別仕様でカバーするべきだとは思いますが、CSS Text Level 3ではパラメータなどを極力減らし、極力スイッチレベルで済むものに絞った方が受け入れられやすいだろうと思っています。他の機能を見ていただいても、ワープロでもできることがまだCSS Text Level 3では満たされていませんので、まずは第一歩、とお考えいただければと思っています。
>
>
> -----Original Message-----
> From: 道広 勇司 [mailto:mich2@moji.gr.jp<mailto:mich2@moji.gr.jp>]
> Sent: Friday, January 28, 2011 3:20 PM
> To: Koji Ishii
> Cc: Yasuo Kida; public-html-ig-jp@w3.org<mailto:public-html-ig-jp@w3.org>; ISHINO k16
> (k16@antenna.co.jp<mailto:k16@antenna.co.jp>)
> Subject: Re: text-autospace (和欧四分アキ) における「和字」の定義
>
> 道広と申します。先日 ML に入れていただきました。
> 文字・組版・印刷・ウェブに興味を持っている素人に毛が生えた者です。
>
> 話の流れからちょっと外れてしまうのですが…。
>
>
> ◎なぜ空けるか,どこを空けるか
> 和欧間を空けたい理由は三つほどあると思います。
>
> [1] 和文中に二語の欧文があった場合,和欧間がベタだと奇妙に見える。
>
>   線文字BはMichael Ventrisが解読した。
>
> [2] 欧文は,和文(とくに仮名)に比して,視覚的なサイドベアリングが
>  少ない。欧文単語同士はワードスペースで隔てられるが,和文との境界
>  をベタにすると和文同士以上にくっついて見える。
>
> [3] 和文と欧文は異質なので,緩衝地帯を設けることでうまく溶け合って
>  見える。これは主観的すぎるので,賛同者は少ないかもしれません。
>  また,漢字・平仮名・片仮名だって異質ではないかという反論もあるで
>  しょう。
>
>
> 上記のうち,[1] を考慮すれば,分かち書きをするスクリプトはすべて
> alpha に含めたくなります。
>
> 微妙なのは和文・ハングル混植です。たとえば
>
>   ハングルはハングルで한글と書きます。
>
> の場合,ベタがいいのでしょうか? これは和ハン混植を実践されている
> 方のご意見を伺いたいところです。
> (私の素人目では空いててもおかしくないと思いますが)
>
>
> 分かち書きをしなくても,タイ文字などは [2], [3] の理由からやはり空
> けるのが妥当と思います。
>
> ところで,タイ語文中に欧文が来たら? 当然空けるでしょう。
> そうすると,alpha と ideograph だけでは済まないということになります
> ね。文字のカテゴリーとして,分かち書きしないスクリプトの数+1が必
> 要になるのではないでしょうか。
>
> alpha と ideograph の二つで済ませるのであれば,「あとはあらわにスペ
> ースを入れてくれ」とせざるを得ないように思います。
>
>
> ◎欧文括弧の外側
> 欧文括弧類の外側をどうするかは難しいです。
>
>   その理由は文献[23]にあるように…
>
> のとき,[23] の前後は空いてほしいですが,
>
>   …ではないとされる<sup>[23]</sup>。
>
> のときはベタでないとおかしいです(もしくはヘアスペース)。
> ※これは sup のスタイルで解決するのかな?
>
>
> ◎空き量
> ところで,空き量が 1/4 em に固定なのはちょっと厳しいルールかなと
> いう気がします。
> 四分空きというのは活版時代の名残りではないでしょうか。
> 使う書体と文字サイズによるでしょうが,私は本文中では 1/5 em 空き
> をよく使います。
> とりわけ以下のようなケースで,1/4 em が空き過ぎに感じます。
>
>   特割切符(1 日券)
>
> さらに問題なのはディスプレイタイプ(見出し類)のように文字が大き
> い場合で,多くの場合,1/4 em では空きすぎて見えるでしょう。
>
> 空き量が指定できるのがいいと思うのですが。
>


--
道広勇司
http://moji.gr.jp/

http://moji.gr.jp/cafe/

http://twitter.com/horuf/




--
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
小形克宏(うさぱら有限会社) OGATA Katsuhiro (USAPARA corp.)
ogwata@gmail.com<mailto:ogwata@gmail.com>

Received on Sunday, 3 April 2011 09:48:33 UTC