Re: 組版=テキストレイアウト?

みなさま、

貴重な議論をありがとうございます。これらの言葉の持っているニュアンスをより深く理解することができました。元の語義、それからそれをデジタルに当てはめたときに何を意味するのか、という点はもうちょっと頭の中で温め続けても良いのかなと思いました。

今回の議論を頭に置きながら、その場その場での言葉選びを考えてゆきましょう。タイトルは最後のお楽しみということで。

木田

> 2024/05/08 9:09、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
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> 山本 様
> 木田 様
> みなさま
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>  小林 敏 です.
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> 私も,山本さんの意見に,基本的には同意いたします.
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> つまり,JLReqでもそうですが,jlreq-dで問題とすべき事項は,あくまで組版処理の問題が原則であり,最低に必要な限りで設計,つまりレイアウトの問題も説明されるよ,ということです.
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> ですから,レイアウトの問題を,より積極的に取り上げようということではないと考えています.
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> ただし,JLReqよりは,jlreq-dの方が,レイアウトの問題の取り上げ方が,いくぶんかは増えるということだと思います.それは,Webでの組版処理および仕事の進め方が,JLReqで考えたいたものと変化してきているという事情があると思っています.
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> だからといって,jlreq-dの主題は,テキストレイアウトである,ということは,いえないように思います.
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>  Taro Yamamoto さんwrote
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>> もう少しコメントします。
>> 
>> 
>>> - 私の考えは,aです.これまでの各種の組版に関連する本などでは,bとする例は,ないと思います.そして,レイアウトには,行頭の括弧類の配置方法や行の調整処理を含めて,そこには複数の配置処理方法がありますから,設計の段階では,どの方式を選択するかを決めないといけない.
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>> たしかに、レイアウト(およびそこで行われる指定の内容を)を書籍の本文組版とそれに付随する範囲でのページ構成要素(ページがあればですが)と見出しに限定した場合には、a.の考え方が完全に成り立つと思います。伝統的な書籍の組版(book typography)においてはこのレイアウトの考え方は正しいと思います。
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>> 他方で、デザインの範疇がその範囲を超えた現代では、typeや画像や写真や図版のレイアウトとデザインの方法は無限にありえます。行頭の括弧類の配置方法、行の揃え方、行の角度、行と行の相対的な位置関係などについて、個々のtypeやtypeを組んだ一行あるいは複数の行やパラグラフやページ中の一つあるいは複数のtype areaの間の相対的な位置関係についても、デザイン(つまりそれらのレイアウト=配置)の方法は無限にあり得ます。見出しについても同じことが言えます。行の揃えの方法も、中心揃え、行頭揃え、行末揃えといった、JLREQやJIS x 4051が想定する範囲の選択肢に限定されるものではなく、無限にあり得ます。行を常に水平または垂直に組む必要が常にあるわけではありません。これは見出しについては特に言えることですが、一部の詩歌や文芸書においても可能性が慣習的な様式に限定されているわけではありません。
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>> JLREQが定めようとしていることは、デザインの可能性を示すことではなく、あくまで慣習的な日本語組版におい最低限必要かつ一般に受け入れられ妥当と考えられる選択肢を推奨し、あるいは選択可能にすることだと理解しています。もしそうであれば、そこで指定される「レイアウト」は、webの特殊性を考慮した拡張はあるにせよ、基本的には書籍の本文組版とそれに付随する範囲での見出しに限定さています。
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>>> - なお,付け加えると,見出しの配置処理の設計は,あきらかにレイアウトの範疇です.そして,書籍の場合は,行送り方向の設計を,原則として行を単位にレイアウト(行ドリという)してきました.(それは,行を単位にすると問題が単純化され,考えやすくなりということと,行送り方向の配置領域(とまり版面サイズ)を常に一定にして,半端がでないようにするという事情はあったからです.)
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>> たしかに、CSSが提供しているあらゆるpropertyなどを駆使すれば、どんなデザインやレイアウトでも可能かもしれませんが、これまでJLREQで議論してきた内容の多くは、デザインとレイアウトの可能性の限界に挑戦するような、プロのデザイナーを対象とするのではなく、逆に、専門家でなくても、デフォルトでも、それなりに読みやすいwebテキストが作成できることを意図していたと私は理解しています。もし、この想定が正しいとすれば、そこで提供されるデザイン上・レイアウト上の選択肢の多くは、上で述べたように、見出しの場合も、組版上の(typesettingと関連した)要請からくる慣習的に妥当な範囲にあらかじめ限定されたものになるでしょう。
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>> 最初に述べたように、JLREQの内容にはレイアウトやデザインも含まれる、ということ
> が正しいとして、だからここで決めることは「レイアウト」であり「デザイン」だと言ってしまうと、「レイアウト」や「デザイン」の可能性の範囲を限定してしまうことが危惧されます。
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>> 組版やtypesettingの観点から、web上で好ましいtypographyの在り方を構想している、その中で、レイアウトやデザインとも重なる領域についても考えざるをえないことについては、まったくそのとおりだと同意します。
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>> と、考えてきますと、「テキストレイアウト」の語を全面的に取り入れて「組版」を止するのであれば、「テキストレイアウトの基本」とか「テキストレイアウトの基礎」、「基礎的テキストレイアウト」、「基本的テキストレイアウト」、あるいは「必須テキストレイアウト」などと呼びたくなるのですが。そんなまどろっこしい言葉は使えない、という声が上がるでしょうね。するとやはり「テキストレイアウト」ですか? うううん、どうなんでしょ。
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>> 山本

Received on Wednesday, 8 May 2024 05:52:11 UTC