Re: BudouX – 日本語の行の折り返し自動化

Koji Ishii 様
村田 様
みなさま

 小林 敏 です.

“すべての用途に対して100点の組版がある”というよりは,“用途ごとにベストな組版は異なる”ものであることは,その通りだと思います.ですので,いくつかの選択肢(すべてでなく,必要なものだけ,これを決めるのは難しいのですが,……)が必要になると思っています.

ただ,村田さんと私の間に,そう大きな意見の違いは,それほどないと私は思っています.

テキストを読む場合,注視状態(“停留”)と,次の停留点への移動運動“サッカード”)が繰り返されるということは,その通りだと思います.私が指摘していることは,主に“停留”状態にいたる移動運動(“サッカード”)の中身なんです.ここでは,たぶん,1字1字の文字を追っているのではと推測しており,その際にラテン文字組版と日本語組版では,すこし読みの内容が異なっているのでは,と思っているのです.この移動運動の際に,どんなことが起こっているのか,その読みの中身が知りたいということです.

*ただし,注視状態(“停留”)が,ラテン文字の場合,単語単位と予想されますが,日本語組版の場合,注視状態(“停留”)にいたる単位は,どうなるだろうと考えた場合,個々の人で差があると思っています.この注視状態(“停留”)にいたる単位が分かれば,それは仮に分かち書きを行う場合,どのような単位で分かち書きを行えばよいかが決まってくると思っています.

ラテン文字の場合,大文字だけの組版は,特にラテン文字に慣れていないものにとって,とても読みにくいものです.たぶん,移動運動の際に1字1字,文字を追っているのではと思っています.それが,なぜ意味の理解の阻害要因となっているのか,よくわからないのですが,

日本語組版で漢字仮名混じり文で,仮名が平仮名の場合と,片仮名の場合では,移動運動の際の1字1字の認識が,片仮名の方が,より必要になるように思うのです.そして,それ読みにくさにつながっていますが,その理由は,よくわかりません.慣れの問題なんでしょうが,どうしてそうなるのか,よくわからい,ということです.(読む際に,音に翻訳し,脳内の辞書を探すのか,ある文字列の字形の繫がりから脳内の辞書を探すのか,読みの際の脳内での処理過程も,いくつかの仮説はありますが,よくわからないというのが現実ではないか.漢字は読めないと意味がとれないのか,字形だけからでも意味もとれるか,あるいは,それは程度問題か,といったことです.)

同様の問題が,ラテン文字と日本語組版の間にも,移動運動(“サッカード”)の中身に違いがあるのでは,と私は考えているのです.ただ,そのことがよくわからない,ということだと考えています.

  Koji Ishii さんwrote

>組版はトレードオフだと思っていますので、「すべての用途に対して100点の組版があ
>る」というよりは、「用途ごとにベストな組版は異なる」ものだと思っています。そ
>の点からすれば、両方が正しいということではないでしょうか。
>
>以前にもお知らせしたと思いますが、BudouXは、Android 13から使えるようになって
>います
><https://android-developers-jp.googleblog.com/2022/07/android-13-japanese.

>html>
>。アプリ制作者がオンにしなければなりませんが、例えばシステムの設定画面など一
>部ではオンになっていて、以下添付のような画面を多くの人が見ているはずです。
>[image: image.png]
>とはいえ、個別にオンにしているので、まだこのような画面もあります。
>[image: image.png]
>「ここは分かち書きの方がいいだろう」と多くの人が思うであろう場面はあると思う
>ので、Webでも同じ選択肢があるといいと思っています。
>
>On Fri, Apr 21, 2023 at 11:19 AM Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp> wrote:

Received on Saturday, 22 April 2023 04:21:49 UTC