両側ルビの例

みなさま

 小林 敏 です.

両側ルビの例

1 2つ以上の読みがある例
 五経 ごきょう,ごけい
 定家 さだいえ,ていか
 下司 げす,げし
 大王 おおきみ,だいおう

2 読み方が変化した例
 白村江 はくそんこう,はくすきのえ
 新羅 しんら,しらぎ
 百済 ひゃくさい,くだら
 昔は後ろの読みが一般的でしたが,最近は前の読みに変わったようです.今はその
過渡期で,両方を示さないといけないということか?

3 漢字の読みを示す+片仮名で別表記を示す
 いくつか見た例があるが,メモしなかったので覚えていない.

今のところ見つけていない

4 漢字の読みを示す+訓読みの俗語を示す

以下の例は曲亭馬琴作,浜田啓介校訂“南総里見八犬伝1”(新潮社,2003年5月)による
*最初が右,後ろが左
象 ぞう キサ
沛公 はいこう コウソ
従者 ずさ トモヒト

以下の例は“新日本古典文学大系1 明治編 開化風俗誌集”(岩波書店,2004年)による
*最初が右,後ろが左
陋断 ろうだん ケチナハナシ
麦麵 ばくめん パン
懲戒 ちようかい コラシメ
稗史者流 はいししやりゆう ゲサクシャ
吸螺師 すいらし ホラフキ

5 漢字の読みを示す+その言葉の説明(行間注的)を示す

以下の例は谷崎潤一郎,鈴木三重吉,野上弥生子著“少年少女日本文学館4 小さな王国・海神丸”(講談社,1987年2月)による.このシリーズは,どれも同じ形式のようです.
海神丸の例 ()は右ルビ,[]は左ルビ 説明は()で囲み,語句のルビの直後で右側に配置.この説明は例文の文末に示す.この説明があるために,説明対象の直後の語句のルビが左ルビになっている.
割(わり)のよい点[てん]では (労力(ろうりよく)に比(くら)べ利益(りえき)の多い)
黒人(くろうと)仲間[なかま]で五島[ごとう]以上[いじよう]だと (事情(じじよう)にくわしい者(もの)。玄人(くろうと))
華奢(きやしや)な身体[からだ]つきを (ほっそりして弱々しい)

Received on Tuesday, 2 August 2022 05:03:56 UTC